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Highlighting JAPAN

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未来を支えるインフラシステム

特別な郵便サービス

日本の郵便の仕組をミャンマーへ導入(仮訳)



日本で手紙を一通出せば、国内ならたいてい翌日には汚れや破れもなくきれいに届く。日本の郵便制度の優れたスピードと正確さは、日本のインフラの信頼性を示す好例だ。

そんな日本の郵便制度をミャンマーに導入する動きが進んでいる。2014年4月、ミャンマー連邦共和国と日本との間で、郵便分野における協力が合意された。事業の主体は総務省が担い、実際の活動には日本郵便が参画して専門家を派遣、ミャンマー郵便電信公社との実務者協議が重ねられ、視察や実地調査を経て具体的な指導が始まっている。

現地で指導に当たっているのは、集荷から配達までの正確なオペレーションに詳しい日本郵便のOBや現役の社員だ。2~4週間の指導をしたのち、インターバルを設けてミャンマー側の定着を図り、再び現地を訪れて進捗を確認するということを繰り返し、2014年11月までに指導は5回、派遣者はのべ25名、のべ130日に及ぶ指導が行われた。

まず日本郵便が着手したのは、郵便物の翌日・翌々日の配達の徹底だった。それには作業の効率化や時間管理が必要であり、運送便のスケジュール管理も重要だ。運送便が出る時刻に合わせて輸送準備のスケジュールを管理することは、日本語の「ケッソク(結束)」という言葉とともに現地でも使われている。

また、顧客満足の考え方も導入した。日本の郵便局内で実際に使っている郵便物仕分け用のケースや棚をミャンマーへ提供し、レイアウト変更と整理整頓によってゆとりある快適な客用スペースを作った。郵便局での作業やサービスを標準化やお客様への接遇を教える集合研修も実施した。日本語の「いらっしゃいませ」に対応する挨拶として、お客が来たら「ミンガラーバー」(こんにちは)と笑顔で挨拶するよう徹底したところ、ミャンマーのミャッ・ヘイン通信・情報技術大臣が視察で訪れた際、その挨拶を聞いて大変喜んだという。

やがてミャンマーのスタッフはただ教えられたことを吸収するのでなく自発的に意見を上げてくるようになった。日本の丁寧な指導とミャンマー側の努力が実り、ミャンマー全土で1400箇所ある郵便局のうち、ヤンゴン、マンダレー、首都ネーピードーの3都市の中央郵便局と34のモデル郵便局を対象とした「送達日数を約一日短縮する」という目標はほぼ達成の目途がたった。

どこの郵便局に行っても同じように良いサービスが受けられるよう、作業手順のマニュアル化も進めている。さらに観光ニーズなどを取り込み、郵便物の取扱い数を増やすため、日本郵便の切手デザイナーに依頼して3つの中央局用にそれぞれの風景入り日付印を新規に作成し、導入した。

「せっかく送達日数が短くなったのですから、日付印もきれいに押したいですよね」と、同社郵便・物流法人営業担当執行役員の白土惠一氏はソフトインフラ産業たる郵便のプロとして誇りを語る。「私たちはインフラの根幹となる郵便の信頼性を上げるお手伝いをしたかった。日本の郵便制度がこれまで培ってきた知見を共有して、郵便に携わる者のマインドを伝えたいのです」。

ミャンマーの郵便サービスがより正確になれば、日本からの国際郵便も早く届き、日本郵便のサービス向上にもつながる。また、ミャンマーの郵便制度が国民の信頼を得れば、ミャンマーが自律的に新事業を展開できるようになる。相乗効果を期待した日本郵便は、今後の海外郵便事業体との連携にも意欲をのぞかせている。



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