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Highlighting JAPAN

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未来を支えるインフラシステム

空中から点検

飛行ロボットを用いたインフラの

維持管理(仮訳)


日本では、高度成長を迎えた1960年代から80年代にかけてインフラの整備がピークを迎え、今後20年で建設後50年以上を経過する施設が加速的に増えることが予想される。それに伴い、最新の技術を活用し、コストを抑えながら、安全性の向上を図る「インフラ長寿命化基本計画」が進められている。

警備会社のALSOKは、同社の強みであるロボット技術を使ったインフラの長寿命化に着手した。「元々警備会社として金融機関などの警備輸送業務などを行うと同時に、ロボットシステムを使ったビルメンテナンスや点検、監視などの事業も行ってきました。社会インフラの維持管理は、それらの事業の延長線として今まで培ってきたノウハウを生かすことのできる分野だと考えました」とALSOK開発企画部の土谷尚賢氏はいう。

ALSOKでは2014年10月、まず小型飛行ロボットを使った太陽光発電施設の点検サービスを実験的に開始した。従来は測定器を用いてソーラーパネルを一枚ずつ確認するという非常に手間の掛かる作業だったが、飛行ロボットに飛行経路を覚えさせれば、発熱などの異常を自動で収集してくれる。メガソーラーの点検作業に用いられる飛行ロボットは、「自律飛行」と「手動操縦飛行」が行える。自律飛行では、パソコンで指定した緯度・経度・高度などに従って自動で飛行でき、離陸や着陸も自動で行う。手動操縦飛行では、コントローラーを使って建築物などに近接して撮影する。自動的に姿勢を安定させる装置がついているため、比較的操縦はしやすい。機体にカメラを搭載し、無線映像によって地上からでも動画を確認できる。搭載できるカメラも、赤外線カメラや光学ズームカメラなど様々なカメラを搭載可能だ。

この飛行ロボットが今後、橋梁や道路、鉄道などのインフラの点検にも用いられるという。これまで橋梁の点検は遠くから橋梁をチェックする「遠方目視」というものが中心だったが、国土交通省は安全性を最優先するため、2m以上の橋梁はすべて5年に1度「近接目視(手の届く距離での目視)」することを決め、橋梁の点検を強化する通達を全国の自治体に出した。

一般的に近接目視をするためには、足場を組む、橋梁点検車を借りるなど莫大なコストと時間が掛かる。しかもロープを使って橋梁を撮影するとなると、熟練の技術者が必要となり、地方自治体ではなかなか実行に移すのは難しい。そこで活躍が期待されるのが、ALSOKのような飛行ロボットだ。飛行ロボットを操縦して橋梁下部から撮影することで、安全かつスピーディに点検用画像の取得が可能となる。テスト飛行では鋼材の錆付きや亀裂などを確認できたが、さらに画像処理技術の高度化を進め、コンクリートのひび割れ等の撮影にも対応できるよう開発を進めていく。今年11月の現場実証での結果を受け、3年以内の実用化に向けてさらなる開発と改良が進められる予定だ。

将来、日本のインフラ技術とともに、インフラの保守を担うロボットも世界の各国へ向けて輸出されていくようになるかもしれない。



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