Home > Highlighting JAPAN >Highlighting Japan December 2014>未来を支えるインフラシステム

Highlighting JAPAN

previous Next

未来を支えるインフラシステム

スケジュール通り

最新システムと熱意が日本での安全で

正確な旅行を支える(仮訳)



外国人が日本に来て驚くこととして真っ先に挙げられるのが、列車運行の正確さだ。定時運行、安全運行といった日本人にとっては「当たり前」ともいえる日本の鉄道の特徴は、最高水準の技術とサービスとして世界から称賛を集める。日本の列車運行の高い質を支えているのは何か、東日本旅客鉄道株式会社(以下JR東日本)鉄道事業本部運輸車両部の橋本英樹氏にお話を伺った。

「JR東日本では新幹線・在来線含め69線区で一日あたり1万2773本の列車を運行し、1710万人のお客さまにご利用いただいています。これだけの本数を走らせるための運行スケジュールはとても過密で、朝のピーク時には東京を横断する中央線の2分間隔を筆頭に、東京都心部の環状線である山手線の2分20秒間隔など、安全な運行スケジュールを綿密に計算しながら最高の利便性を追求しています。新幹線も東京~大宮間はピーク時には4分間隔で運行し、一日最大400本程度走っています」。

国鉄時代の1972年にコンピューターでダイヤを管理する自動進路制御装置(PRC)が導入されて以来改良が続けられ、現在では東京圏輸送管理システム(ATOS)、新幹線総合システム(COSMOS)という最新システムのもと、これだけ多くの列車の定時運行を実現しているが、列車の定時運行という概念はシステム化が進む以前の日本でも根付いていたのだと橋本氏は言う。「時間を皆が守るという日本人の一般的な感覚が、鉄道に正確さを求めることとなり、基準が世界の国々よりも厳しいのではないでしょうか。現在は高度な最新技術が導入されていますが、人の注意力と電話連絡だけで列車の運行を行っていた時代でも、列車の定時運行は『普通』なことと捉えられていました」。

新幹線においても高度なシステムがあらゆる業務を総合的に支えており、自然災害時の大幅な遅延を含めても1列車あたりの年間平均遅延時間は1分未満という驚異的な定時性を誇るが、秒単位で決まっている各駅の通過時刻を守るために時間配分をするのは運転士であり、関係者の教育やトレーニング、保守点検の徹底もこのような質の高いサービスの提供には不可欠とされる。

「かつて人が管理してきた部分の多くを今はシステムが管理していますが、そのシステムを運用しているのはやはり人なのです。運転士や車掌が時間を確認しながら動かしていることで定時性を確保し、ダイヤが乱れた際に折り返し運転をしたり、他の線路を走らせたりといった運転整理の指令を出すのも人です。例えば新幹線では東京駅で12分間停車して折り返していますが、降車2分、車内清掃・椅子の回転7分、乗車3分と配分されており、皆がこれを守り12分後に正確に発車できるのです」。

列車の安全運行のためにはまず事故がないことが必要不可欠という考えのもと、首都圏各駅のホームドアの設置や乗客のマナー向上を呼び掛ける啓蒙運動なども推進し、システムや技術のさらなる進化と共に、ソフトとハード両面から徹底した列車の定刻運行を実現している。「日本の列車運行管理システムは高度情報化時代の先端を行くものですが、それを最大限に生かして質の高いサービスを提供するためのルールと人の存在があります」と橋本氏はいう。

諸外国と比較しても輸送人員が突出して多い日本の鉄道。華やかな最先端技術を支えているのは勤勉さと使命感に溢れる人々の存在といえよう。

 

 



previous Next