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Highlighting JAPAN

 

 

新潟のプロチーム、サッカーとバスケットボールによる地域活性化

プロリーグに所属するサッカーチーム『アルビレックス新潟』とバスケットボールチーム『新潟アルビレックスBB』──スポーツクラブの連帯が地元の一体感を醸成している。

元々新潟県は学校スポーツや地域スポーツが盛んであったが、本格的なプロスポーツはサッカーから根付いた。1955年創立の『新潟イレブンサッカークラブ』を前身とするアルビレックス新潟は、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に1999年に加盟した。2002年の日韓ワールドカップでも使用された4万2000人収容のスタジアム『ビッグスワン』の建設をきっかけに、観戦招待券を近隣地域に配布して集客に注力するなど、様々な施策を行った。その結果、Jリーグ加盟の年からわずか4年で観客動員数を10倍にまで伸ばした。

一方、ホームアリーナ『アオーレ長岡』の、駅直結という好立地を活かしているのが、日本男子プロバスケットボールリーグ(Bリーグ)に所属する新潟アルビレックスBBである。アリーナが市の施設と複合化し、イベントスペースでは試合前から複数の屋台が出店する。県外からの来場者も多く、長岡市を始めとした新潟県の地域活性に貢献している。現在、新潟県には「アルビレックス」の名称を持つスポーツ団体が8競技・12チームある。

株式会社アルビレックス新潟代表取締役社長の中野幸夫さんは、こう語る。
「Jリーグの3つの理念の一つに『豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与』があります。サッカーの普及・促進は当然ですが、それ以外にも色々なスポーツを通じて地域と関わっていこうという考えが根底にあります。したがって、我々は“プロサッカーチーム”というより、“総合スポーツクラブ内の一部署”といった概念の方が強く、新潟のスポーツ発展のため他競技とのコミュニケーションを密に取って、何か一緒にできることはないかとアイデアを出し合っています」

株式会社 新潟プロバスケットボール代表取締役社長の小菅学さんも、同様に「横とのつながり」の重要性を指摘する。
「サッカーとバスケットは、両リーグの開催時期がずれています。サッカーのオフシーズンは、逆にバスケットは佳境の時期で、そういう事情もあってか、最近はサッカーのユニフォームを着て応援に来てくださる人も増えてきました。観客の皆さまはバスケットの応援というよりは、新潟を応援するといった感覚をお持ちになっているのかもしれません」

サッカー・バスケットボール以外でも、野球・スキー・陸上・チアリーディングなどの各スポーツ団体のチーム名とチームカラーが、県内で統一されているのは、日本ではほとんど例がない。総合型地域スポーツクラブを目指し、チーム名とチームカラーを統一したことにより一体感が生まれ、県民が「アルビレックス」を新潟の公共財として捉えることができるムードが育ってきた。

各アルビレックスによる連携の取組の一例として、ジュニア世代の指導にかかわる下部組織の一体化が挙げられる。子供たちが自分に合ったスポーツを見つけ自由に指導を受けられる機会を提供することは、才能の発掘にもつながる。

「スポーツには直接心へと訴え、感動を与えてくれる力があります。情熱を持って応援できる元気なチームが地元にあれば、世代を超えたコミュニケーションもより円滑となり、ひいてはそれが地域活性化の一端をも果たすと信じています」という中野さんの想いは、新潟の地で確実に実を結び始めている。