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Highlighting JAPAN

 

 

甲子園、日本人が熱くなる都道府県別代表校対抗の高校野球

野球は日本の国民的スポーツと言える。プロ入りした選手では、高校野球の日本一が決まる舞台「甲子園」で活躍した選手が多い。

阪神甲子園球場(甲子園)は1924年「全国中等学校野球優勝大会」のために建設された(1948年の学制改革で「高等学校」へ移行)。1953年からはNHKがTV中継を始め、年2回、春と夏に行われる計80以上の試合が全イニング放映されている。本来はプロ野球・阪神タイガースの本拠地だが、年間約1ヵ月間はアマチュアの高校野球のために球場を明け渡す。

1915年の大会開始当初は5000人規模の球場で開催されていたが、観客を収容しきれなくなったことで甲子園が建設された。1924年に完成し、収容人数が一気に5万人以上と約10倍になったため球場が一杯になるかを危ぶむ声もあったが、開始3日目で超満員になったという。何故甲子園での高校球児のプレーはこのような高い人気を集めてきたのか。

「試合前後に両チームが礼を交わすこと、日本人が好む和を尊ぶ団体競技であることに加え、出身地や縁のある土地の代表校、母校などを応援したいという日本人の郷土意識の強さも理由だと思います。さらに全国各地から何十台もバスを連ねてやって来て、選手を力の限り応援する保護者やOB、教師、生徒などのサポートも感動的です。これらの事象が歴史となり、甲子園は“聖地”として日本人の心に刻まれたのではないでしょうか」と公益財団法人 日本高等学校野球連盟・竹中雅彦事務局長は言う。

特に日本人が熱狂するのは夏の大会である。「各都道府県の代表校が一発勝負のトーナメントに挑む試合形式が大きな要因だと思います。この甲子園で引退を迎える3年生を含む選手たちは背水の陣で試合に臨み、プレー一つ一つに全身全霊を込める。だからこそ予測のつかないドラマが生まれ、時に公立校が強豪私立校を破るジャイアントキリングが起きるのです。ちなみに甲子園ではかつて、現在日本のプロ野球やメジャーリーグでプレーする選手が数多く活躍しており、そうしたスター選手の初々しい時代を見られることも人気の理由だと思います」と竹中事務局長は加える。

ただし、少子化問題や他のスポーツの存在感の拡大など強い危機意識もあるという。
「『高校野球200年構想』を立ち上げ、その中の普及事業の一環として、今年からは過去も含め春・夏大会出場の各校の監督や選手に協力してもらい、甲子園で小学校低学年の男女児童を対象とした野球体験イベントを始めました。このような種が実を結んでいけばと考えています」と竹中事務局長は言う。

高校野球の全国大会の通称である「甲子園」は、日本では高校生の全国大会を指すものとしてスポーツだけでなく各種の大会・企画の名称として数多く使われている。例えばアニメ甲子園、スィーツ甲子園、ダンス甲子園、演劇甲子園など挙げられる。

2018年夏の第100回記念大会では、全国から史上最多となる56校が甲子園にやって来て熱戦を繰り広げる。いつにも増して列島各地のボルテージは上がるだろう。