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Highlighting JAPAN

 

日本のグローバル化を応援するアメリカ人

長年の国際マーケティングの経験を生かし、企業と提携して日本のグローバル化をサポートするルース・マリー・ジャーマンさん。30年の日本生活で学んだ日本の良さと、日本らしさを活かせるビジネスとは。

米国ノースカロライナ州に生まれ、ハワイで育ったルース・マリー・ジャーマンさんは米国タフツ大学在学中に日本の南山大学へ留学、日本語を学んだ。その後1988年に日本企業に入社し、日本での生活は30年になる。

当時の日本はバブル景気の真っ最中で、「忙しくてもパワフルな日本人上司や同僚にも恵まれ、まだそれほど上手くない日本語で必死に付いて行きました」。社が創設したアメリカンフットボール部のチアリーダー初代キャプテンとなり、総務部にて日本のビジネスを学んだ。

その後ジャーマンさんは翻訳や通訳業務を行うべく独立、しかし最初に入社した企業の社長がその企業を離れて、2000年に不動産会社を再興したのを機に、ジャーマンさんも社長と共に移った。同社は、日本の国際化が加速するとのビジョンから、日本へ仕事でやって来る外国人用に特化した家具付きの賃貸物件開発に力を入れ、ジャーマンさんは12年間に渡り、来日する毎年3000名以上の外国人ビジネスパーソンへ個々の要望に丁寧に応えた住環境やライフスタイルを提供した。彼らのために日本中のサービスを探し回った経験で培った日本文化やビジネスへの造詣を活かし、現在はジャーマン・インターナショナルの代表取締役として企業の国際営業戦略立案に携わっている。「日本の国際化は加速し、今や日本全体の在住外国人は240万人です。そこに外国人観光客も急増している。日本企業にとっての課題は、増えていく外国人消費者をどう顧客にするかです」とジャーマンさんは語る。

日本企業が外国人向けに供給しているサービスや商品は、日本にやって来る外国人が期待する体験とずれているゆえに潜在顧客を逃がしている、とジャーマンさんは指摘する。「例えば旅館の露天風呂。素晴らしいおもてなしではあるけれど、そもそもお風呂文化のない国から来た旅行者には、人前で裸になって集団でお風呂に入り、しかも野外という状況には心理的抵抗があるのです。初めて日本に来る旅行者の中には、ビジネスホテルのごく小さなプラスチック製ユニットバスに生まれて初めて浸かり、それで大満足という人も多いのです。日本文化をそのまま翻訳するのではなく、外国人にもわかりやすい形にするお手伝いをしています」

ジャーマンさんの会社が提携を結ぶのは、外国人を呼び込みたい外食産業やホテル、レジャー産業、そして日頃外国人観光客と接する機会の多い鉄道関連会社など。「来客数増加や現場スタッフの士気が著しく改善されるなどの実績が上がっており、どの企業とも信頼関係を結べている。日本人が今、本気で外国人対応に取り組み、外国人の見方が必要とされている所に、大きなやりがいを感じます」と、ジャーマンさんは充実感を噛み締める。

日本で子育てをしたジャーマンさんは、日本では働く母親にプレッシャーがまだあるとも感じるが、日本人の約束を守り、感謝を尽くすビジネス姿勢を称賛する。「日本の素晴らしい社会常識や道徳の中に、外国人をどんどん巻き込んで新しい経済を作っていきたい。そしていつかは米国で政治家となり、日米両国を行き来する生活をして、米国に日本的な道徳の良さを伝えたい」。国際化が加速する日本を応援するジャーマンさんの夢は大きい。

撮影場所:
HOTEL & RESIDENCE ROPPONGI(ホテル&レジデンス六本木)
メンバーズサロン1310