Home > Highlighting JAPAN > Highlighting Japan January 2019 > 活躍する外国人

Highlighting JAPAN

 

国際的なスノーリゾート白馬でバケーションを

豪州出身のベイコン・ダニエルさんは、長野県白馬村で5箇所の貸別荘とパブ経営、輸入業を営む。ビール醸造所の立ち上げにも成功。日本のスキーリゾートブームの中、外国人観光客が好んで訪れる、西洋的な滞在スタイルとは。

本州の中心、北アルプスの山間部にある白馬村は1998年長野オリンピックの開催地ともなった、日本人がよく知るスキーリゾートである。だが白馬盆地内に9ヶ所ものスキー場を擁し、今やオンシーズンにはオセアニアや北米から一冬に23万人もの外国人が訪れる一大国際観光地であることを知る日本人は、決して多くはない。

「白馬を国際的に紹介できて、とても満足です。白馬のパウダースノーは海外のスキーヤーやスノーボーダーに『ハクパウ』と呼ばれて高く評価されており、2017年には世界的に著名なスノーボーダーが白馬を訪れ、私たちのホテルに宿泊しました」と、白馬村在住のベイコン・ダニエルさんは語る。彼は2007年、白馬に欧米スタイルの長期滞在用貸別荘ハクバホリデーを開業したのを皮切りに、現在では一度に計94人が宿泊できる5箇所41室の貸別荘、白馬在住の英国人醸造家をビジネスパートナーに招いたクラフトビール醸造所や、併設の英国風パブ経営へと精力的に事業を拡大し、多くのゲストをもてなしてきた。

オーストラリア・メルボルン出身のダニエルさんは2000年、バックパック一つで日本へやってきた。英語講師として働き、転職した日系企業では日本で働く外国人エグゼクティブのリクルーターとして多忙な日々を送った。仕事で出会うCEOたちから日本と外国をつなぐビジネスの極意を学んでいた頃、バケーションで訪れた白馬に大きな魅力と可能性を感じた。「メルボルン郊外の雄大な自然の中で育った自分にとって、この白馬はどの季節も最高です。外国人スキーヤーはきっとこの白馬を好きになると直感しました」。外国人の長期休暇の習慣に合わせ、ホテルではなくキッチンや複数のベッドルームを持つコンドミニアム形式、スキーを履いたまま部屋の目の前からリフトに乗って滑りに行ける宿泊施設を始めたところ、大好評を得た。「白馬は野沢温泉も近く、帰りに京都に寄ることもできる絶好の位置。美しい日本の自然や文化と、住んでいるように旅行することを好む西洋的な休暇スタイルのハイブリッドで、ゲストの反応は上々です」

ダニエルさんのけい眼は証明され、今や成田や羽田空港から外国人観光客向けの直行バスが運行しているなど、白馬に大ブームが起きている。自分で料理をする観光客が近隣の大手スーパーマーケットに買い物に行くため、ピークの時間帯は数千人の外国人客で実に国際的な風景が見られる。

「日本は私のような外国人にも、資金調達を可能にしてくれる。企業家精神を応援する素晴らしい風土」と満足しているダニエルさんだが、彼にとって日本で働く壁があるとすれば語学の問題くらいだと語る。だがそれも日本人の妻である綾子さんという優秀なパートナーかつ最高の理解者がいるため、「二人の絶妙な役割分担ができている」とベイコン夫婦は口をそろえる。北アルプスの雄大な大自然に囲まれ、家族や地元の友にも恵まれ、「今後も事業拡大に努め、理想を言えば家族のために日豪を年の半分ずつ行き来できたら最高です。これ以上良い人生は考えられません」とダニエルさんは心から幸せそうに微笑む。ダニエルさんが白馬の自然に感じたインスピレーションは、彼の人生を導いたようだ。