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Highlighting JAPAN

食品ロスの削減推進

日本は食品ロスを削減するための様々な取組を実施している。

食品ロスの問題は、2015年9月に国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の「目標12」に位置付けられるなど、今日、その削減が国際的に最も重要な課題の一つとなっている。

日本では、食品ロスが年間600万トン以上発生していると推計されている。世界には栄養不足の状態にある人々が多数存在する中で、食料の多くを輸入に依存している日本としては、食品ロスの削減は真摯に取り組むべき課題である。

日本では、2019年10月1日に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行された。この法律は、「食品ロスの削減」を「まだ食べることができる食品が廃棄されないようにするための社会的な取組」と定義し、国民一人一人が主体的にこの課題に取り組み、国民運動として食品ロスの削減を推進するために制定された。

2018年度に消費者庁が実施した消費者の意識に関する調査結果によれば、食品ロス問題の認知度は74.5%となっている。

食生活の中で「もったいない」を意識した場面として、期限切れ等で食べずに捨ててしまうとき(55.7%)、レストラン等で他人の食べ残したものを見たとき(48.7%)、自分又は自分の家族等が食べ残したものを見たとき(37.5%)、ごみ(特に生ごみ)を捨てるとき(21.5%)などが上位を占めた。

 食品ロスを減らすための取組として、残さずに食べると回答した人が60.7%と最も多く、冷凍保存を活用する、料理を作り過ぎない、賞味期限を過ぎてもすぐには捨てずに自分で食べられるか判断するという回答が4割を超えている。このほか、飲食店等で注文し過ぎない、残った料理を別の料理に作り替えるという回答も見られた。消費者庁では、料理レシピサイト「クックパッド」に「消費者庁のキッチン」を設けて、「食材を無駄にしないレシピ」などを紹介している。

フードチェーンでは、小売店などが設定するメーカーからの納品期限や店頭での販売期限の設定といった商習慣により返品や廃棄が生じており、食品ロスの発生要因の一つとなっている。こうした課題に対し、納品期限の緩和や品質保持技術による賞味期限の延長などの改善に取り組む企業が出てきている。また、開封後の劣化を抑制し鮮度の保持期間を延長する容器、酸素や水蒸気のバリア性能を高めて長期保存を可能にする包装、あるいは、使い切り・食べきりサイズに応じた容器包装など、高度な技術を生かし、食品ロスの削減に役立つ容器包装の開発も進んでいる。

レストランやホテルなどでは、適量を注文する呼びかけや食べ残しを持ち帰りできるサービスの実施、小盛りメニューの提供、小売店などでは、小分け商品の販売や商品棚の手前(販売期限が近い商品)から購入することを促す取組が行われている。

長野県松本市では、会食や宴会などで乾杯後の30分間とお開き前の10分間は席を立たずに料理を楽しむことで、食べ残しを減らす「残さず食べよう!30・10運動」を進めるとともに、食品ロスの削減を推進する飲食店や事業所等を「残さず食べよう!」推進店・事業所として認定している。「30・10運動」は、全国的にも同様の取組が広がっている。

福井県では、全国に先駆けておいしい食材を使っておいしく料理を適量作って食べきる運動「おいしいふくい食べきり運動」を展開し、2016年度には、福井県から全国の自治体にネットワークへの参加を呼びかけ、「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」が設立された。情報の共有・発信と全国共同キャンペーンを活動の柱とし、2019年10月10日現在で408自治体が参加するまでに活動の輪は広がっている。

消費者庁が、徳島県において、家庭における食品ロス削減の取組についての実証事業を実施した結果、家庭で食品ロスの計量を行うことで約2割、計量に加え、削減の取組を行うことで約4割の食品ロス量が削減したという結果が得られた。これは食品ロス量を計量することにより、自らが発生させている食品ロスに気付き、以降の行動が改善されたと考えられる。消費者庁はこの結果を基に、啓発資材を作成し、家庭における食品ロス削減の取組の推進に活用している。