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INDEX

  • 迎賓館赤坂離宮の本館
  • 京都迎賓館「藤の間」
  • 迎賓館前の公園にオープンした休憩所
  • 2019年に開館時間が延長された際の、照明の明かりに浮かび上がる京都迎賓館
  • 京都迎賓館「桐の間」

September 2020

迎賓館の一般公開

迎賓館赤坂離宮の本館

東京と京都にある二つの迎賓館は、世界各国から国王、大統領、首相などの賓客をお迎えして、おもてなし(接遇)するための国の迎賓施設である。両迎賓館とも、賓客の接遇に支障のない期間、一般にも公開されており、参観者は、建物の内部まで入り、日本の建築、美術、工芸の技術の粋を集めた室内装飾や調度品などを見ることができる。

迎賓館前の公園にオープンした休憩所

迎賓館赤坂離宮

東京の四ツ谷駅にほど近い「迎賓館赤坂離宮」(略称「迎賓館」)は、元々、1909年に東宮御所(皇太子の御所)として建設された。第二次世界大戦後、政府の様々な組織が使用したが、大規模改修を行った上で、1974年に迎賓館赤坂離宮として開館した。その際、茶の湯(茶道)等日本ならではのおもてなしをするための和風別館「游心亭」(ゆうしんてい)が新設された。それ以来、迎賓館は国公賓等の賓客の滞在、首脳会談や国際会議の開催を行う等外交の舞台となっている。2009年には本館、正門などが国宝に指定された。

2016年4月には、通年での一般公開を始め、国内外から数多くの観光客が訪れるようになった。現在は、入り口での検温、手指消毒スプレーの設置、参観者間の距離の確保など、新型コロナウイルス感染症対策を行った上で、公開されている。

地上2階、地下1階の本館は、幅125メートル、奥行き89メートル、高さ23.2メートル。日本で唯一のネオバロック様式の西洋風宮殿建築である。本館には接遇のための4つの部屋が設けられている。賓客のサロンとして使われ迎賓館で最も格式の高い「朝日の間」は、天井に朝日を背に、チャリオットに乗った女神オーロラが描かれており、床には桜花がデザインされた手織りのカーペット・緞通(だんつう)」が敷きつめられている。晩さん会が催される「花鳥の間」のシオジ材の板壁には、四季の草花と鳥を描いた30枚の七宝焼が飾られている。賓客の歓迎式典等が行われる「羽衣の間」には、日本の謡曲「羽衣」を題材にした絵画が描かれている天井に、高さ3メートルの迎賓館で最も大きなシャンデリア3基が備えられている。来客の控えの間等で使われる「彩鸞(さいらん)の間」には、「鸞(らん)」と呼ばれる平和を象徴する霊鳥の黄金のレリーフが飾られている。ほかにも大ホール、噴水のある主庭などの見所がある。

2020年6月には、迎賓館正門前の公園に入場無料の休憩所がオープンした(午前9時から午後5時まで。水曜定休)。休憩所には、室内とテラスに休憩スペースが設けられているほか、迎賓館等の映像が流れるマルチビジョンや、多機能トイレ、カフェ、ギフトショップもある。

アクセス:JR・東京メトロの「四ッ谷」駅から徒歩約7分
公開時間:午前10時から午後5時まで(原則、水曜日が休館)
参観料金:大人1500円 (本館・庭園の参観が可能。和風別館の参観には事前予約が必要、本館・和風別館・庭園2000円)
URL: www.geihinkan.go.jp/akasaka/



京都迎賓館

2019年に開館時間が延長された際の、照明の明かりに浮かび上がる京都迎賓館

京都迎賓館は、長い歴史と豊かな伝統文化を誇る古都・京都において、海外からの賓客をもてなすため、2005年に開館した。京都御苑の中に位置する建物は、歴史的な景観や周辺の自然環境との調和を図るため、日本の伝統的な住居である入母屋(いりもや)屋根と数寄屋(すきや)造りの外観である。また内装は、日本的な和の雰囲気が感じられるように、木材、和紙を豊富に取り入れている。そのコンセプトは、伝統的な日本建築の粋と美しさに現代の建築技術を融合した「現代和風」、そして日本庭園とまわりの建物が絶妙に調和する「庭屋一如(ていおくいちにょ)」の思想である。

京都迎賓館は2016年から通年での一般公開を開始した。現在は、新型コロナウイルス感染症対策を行った上で、人数を限定したガイドツアーによる一般公開を事前予約制で行っている。

京都迎賓館「藤の間」

京都迎賓館では、日本の伝統技能を用いた美しい調度品の数々を見ることができる。晩餐会や大臣会合などが行われる際に、招待されたゲストの控室、随行員の待合とするなど多目的に使用される「聚楽(じゅらく)の間」には、鉄釘を一切使わないで組み立てられる京指物(きょうさしもの)の伝統的技法で制作され、鮮やかな赤の西陣織の布地が張られた安楽椅子が配置されている。晩さん会や歓迎式典の会場として使用される「藤の間」では、綴(つづ)れ織の技法を用いて39種類の草花が織り込まれている壁面装飾、華やかさを盛り上げている。本格的な京料理を供する和の晩さん室「桐の間」は畳敷きの和室で、中央には全長12メートルの漆黒の漆塗りのテーブルが置かれ、主賓が座る位置からは日本庭園が眺められる。さらに、池に渡された「廊橋(ろうきょう)」からは池面に映る建物とともに色とりどりのたくさんの錦鯉がゆったりと泳ぐ様を見ることができる。

京都迎賓館「桐の間」

京都迎賓館では、11月21日(土)、22日(日)の2日間、19時まで開館時間を延長し、16時30分、17時10分、17時50分にスタートする少人数のガイドツアーを実施する。この日、建物や庭園は照明の光に浮かび上がり、日中とは異なる景色を見せる。建物の障子を通して柔らかく、金色に輝く照明が池に映り込み、建物が浮かんでいるように見え、庭園の紅葉はより美しさを増す。

アクセス:京都市バス「府立医大病院前」バス停下車徒歩約7分。京都市営地下鉄烏丸線「今出川」駅下車徒歩約15分。京阪電鉄「出町柳」駅下車徒歩約20分
公開時間:午前10時から午後5時まで
参観料金:大人2000円(当面の間、ガイドツアー方式で1日10回実施。各回定員30名。事前予約が必要)
URL: www.geihinkan.go.jp/kyoto/