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  • 炊飯器で作った炊きたてご飯
  • 1 国産初の自動式電気炊飯器(1955)
    2 ご飯を保温できるジャー炊飯器(1972)
    3 圧力 IH 炊飯器 (1992)
    4 内釜に炭を使った高火力対応のIHジャー炊飯器(2006)
  • ご飯を炊くために使用される羽釜

November 2020

進化する炊飯器

炊飯器で作った炊きたてご飯

伝統的な「かまど」からIHジャー炊飯器へと、炊飯器は日々進化を遂げている。

ご飯を炊くために使用される羽釜

1960年代中頃まで、日本では多くの家庭がかまどでご飯を炊いていた。精米した米を水で研ぎ、少し時間をおいてから、木の蓋のついた羽釜で一時間掛からずに炊き上げる。「はじめちょろちょろなかぱっぱ、赤子泣いても蓋(ふた)とるな」と言い、最初の工程では弱火で米に水分を吸収させ、次の工程では強火で炊き上げ徐々に火力を弱め、最後の工程で温度を保って蒸らす。これが日本の米の美味しい炊き方である。「赤子泣いても蓋とるな」とは、蒸らし工程が正しく行われないとつやのあるふっくらしたご飯が炊けないという教訓である。

家庭にとって大事な炊飯だが、手間がかかり、当時の主婦の負担は大きかった。

1950年代に、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品が急速に普及する中、1955年に登場したのが「自動式電気炊飯器」だった。当初、「電気製品で炊飯ができるのか」という疑問の声もあったが、スイッチを入れれば米が手間なく、自動で炊けるという便利さが人気を集め、全国の家庭に広がった。一般社団法人中央調査社の調査によれば、1959年には炊飯器の世帯保有率が19.6%、1969年に55.2%、そして1971年に90%を超え、1980年以降は95%以上と全国に普及した。

1 国産初の自動式電気炊飯器(1955)
2 ご飯を保温できるジャー炊飯器(1972)
3 圧力 IH 炊飯器 (1992)
4 内釜に炭を使った高火力対応のIHジャー炊飯器(2006)

日本人は米の味へのこだわりが強いため、炊飯器も単に自動で炊けさえすれば良いという訳ではない。海外で米と言えば、細長い形のインディカ種であるが、日本で流通する国産米は820余(2019年産)を数えるほど品種(銘柄)は多いものの、ほとんどがジャポニカ種という短く円形に近い形の種類である。ジャポニカ種は、粘り気と甘味が特徴であり、炊く際は、それをうまく引き出さなければならない。炊飯器のメーカー各社はこうした課題に挑戦し、各家庭の支持を勝ち取ってきた。

メーカー各社はさらに電子技術を取り入れ改善を続けた。例えば、1972年には炊飯後に保温もできる「ジャー炊飯器」、1979年には炊飯量に合わせて加熱を制御する「マイコンジャー炊飯器」を市場に投入し、普及に弾みをつけたのである。

炊飯器にとってエポックメイキングとなったのは1988年のIH(電磁誘導)式炊飯器だった。それまでのマイコン式電気炊飯器は内釜の底に設けたヒーターで加熱したが、IH式は、IHコイルに流す電流の強さをコントロールしながら内釜全体を大火力で加熱が出来るようになり、その後さらに進化し「硬め」「ふつう」「やわらかめ」など好みに合わせた炊き方を可能にした。1992年には、当時の健康志向に合わせ、玄米や雑穀米を美味しく炊き上げる圧力IH炊飯器が登場したことで、炊き技の幅が広がり、今では100種類を超える炊飯メニューを搭載するようになっている。

日本人の食生活が多様化し、例えばパン食が増えているが、「おいしいご飯」に対するこだわりと欲求は変わらない。メーカー各社は内釜の素材や炊き方を工夫するなど、おいしさを追求する製品開発努力を続けている。

子どもの頃、母親の手伝いで、かまどでご飯を炊いたことがあるという東京在住のやす子さんは、かまどがあれば美味しいご飯が炊けるかもしれないと笑いながら、「東北の米どころで育ちましたから、ご飯の味にはこだわりがあります。ご飯を用意する中で炊飯器の進化を実感していますね。白米だけではなく、玄米や炊き込みご飯も楽しめます。美味しいご飯を一緒に食べるのが、やはり家族一番の楽しみかもしれません」と言う。

日本の炊飯器メーカーは、日本だけでなくアジアを中心に、その国で生産される米に適した炊飯器の開発を進め、現地生産や輸出に、現在取り組んでいる。65年の日本の炊飯器開発の技術の集積が、各国の米を美味しく炊き上げることにつながっている。

炊飯器メーカー7社の最新モデル