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  • 久米桜麦酒株式会社の大山Gビール
  • 季節限定ビール「八郷」(やごう)に使う酒米の栽培
  • 2011年WBA (World Beer Awards) の Grain-only Wheat Beer部門でワールドベストに輝いた大山Gビールのヴァイツェン
  • 地元農家と一緒に育てたビール大麦用「ダイセンゴールド」
  • 地下150メートルから大山の伏流水を汲み上げ、ビールを造る。
  • 季節限定ビール「ヴァイエンホップ」で使われる自家栽培のホップ
  • くめざくら大山ブルワリーの内部

December 2020

大山の自然がつくるビール

久米桜麦酒株式会社の大山Gビール

鳥取県の大山(だいせん)にあるビール醸造所(ブルワリー)は、地元産の大麦、自家栽培の摘みたてホップを使い、「伝統」と「革新」を意識しながら、季節の移り変わりを表現するビールを追及している。

2011年WBA (World Beer Awards) の Grain-only Wheat Beer部門でワールドベストに輝いた大山Gビールのヴァイツェン

鳥取県の大山は標高1729メートル、中国地方でもっとも高い山である。733年に完成した「出雲国風土記」に「神の居ます山」と記され、今も神聖な山として敬われている。大山の山頂に現れた万物を救う地蔵菩薩への信仰は、平安時代末以降、牛馬のご加護を願う人々を大山寺に集め、一帯には豊かな自然と美しい景観、そして広大なブナの森が手つかずのまま残された。ブナの森のお陰で、大山山麓一帯は良質な伏流水や湧水に恵まれている。

その大山の麓、伯耆町(ほうきちょう)の標高300メートルの土地で、地下150メートルから伏流水をくみ上げて、その水を原料としてビール造りに取り組んでいるのが1996年に設立された久米桜麦酒(くめざくらばくしゅ)株式会社である。同社の「大山Gビール」は、定番ブランドであるフラッグシップのヴァイツェン(小麦麦芽を多く使い醸造するビール)、ピルスナー(淡色のラガービール)、ペールエール(淡色麦芽を多く使い醸造するビール)、スタウト(濃い色のコクのあるビール)を始め、約35種類(年間)に及ぶ。

地元農家と一緒に育てたビール大麦用「ダイセンゴールド」

「ビールの原料である麦芽、ホップ、酵母は、それぞれ多くの種類があり、どれを選ぶかによって多種多様なビールができます」と久米桜麦酒株式会社工場長の岩田秀樹さんは語る。

同社は、地元農家とともに原料の栽培から取り組んでいる。例えば、大山固有の二条大麦「ダイセンゴールド」を始め、酒米として有名な「山田錦」や鳥取産「強力(ごうりき)」を栽培し季節限定ビールの原料の一部として使用している。また、ビールの苦みや香りを出すホップは醸造所の隣の畑で自家栽培、近年は小麦も育てている。摘み立てのホップを使った秋季限定生産の「ヴァイエンホップ」は、程よい柑橘系の香りと爽やかな苦みを楽しめる。大山Gビールの醸造所はレストランを併設している。

地下150メートルから大山の伏流水を汲み上げ、ビールを造る。

「8月にホップを収穫してすぐに仕込むと、翌月にビールが飲めます。私たちは日本の豊かな四季の移り変わりを、季節ごとにビールで表現したいと考えています」

季節限定ビール「ヴァイエンホップ」で使われる自家栽培のホップ

大山Gビールは、これまでに国際的なビールの審査会で高い評価を受けてきた。例えば、2011年、イギリスで開催されたワールド・ビア・アワードで、大山GビールのヴァイツェンがWorld's Best Grain-only Wheat Beer部門で最優秀賞のワールドベストに輝いた。

「近年のテーマは、“伝統と革新の両立”です。我々がヨーロッパ視察で感じた伝統とアメリカ視察で感じた革新を活かし、常に伝統を意識しながらもチャレンジできるブルワリーでありたいと思っています」と岩田さんは語る。

くめざくら大山ブルワリーの内部

この大山を中心とする一帯は1936年に大山隠岐国立公園に指定され、2016年には大山が日本遺産に認定されている。大山を背に日本海に面するこの地域は、風光明媚な自然を楽しめるだけでなく、山海の幸にも恵まれている。冬に旬を迎える地元産の松葉カニもビールとの相性が良い。

大山隠岐国立公園では、多くの場所で素晴らしい夕日が楽しめる。その夕日は、風景を刻々と変化させていく。夕日を眺めながら、大山の麓で作られた食べ物や飲み物を味わうのは至福の時である。

季節限定ビール「八郷」(やごう)に使う酒米の栽培