Skip to Content

INDEX

  • 高速道路網
  • ETC2.0双方向送受信
  • ITSスポットの設置箇所 (2018.7.1)

March 2021

ETC2.0:車と道路の双方向通信

高速道路網

2016年以降、日本の高速道路で使用される、車両に搭載されたETC(「エレクトロニック・トール・コレクション・システム」の略)の技術が更なる進化を遂げてきた。今日では、安全で快適な運転をサポートするだけでなく、災害時の適切な情報サービスの提供にも役立っている。

ETC2.0双方向送受信

島国である日本の国土は、12,000キロメートルを超える高速道路を含む、約120万キロメートルの道路で縦横につながれている。その高速道路の利用を快適にしているシステムの一つがETCである。

日本でETCの研究開発が進められたのは、交通渋滞が社会的問題となっていた1990年代のことで、2001年に高速道路での運用が開始された。現在では、一般に普及し、高速道路における利用率は90パーセントを超えている。

国土交通省道路局ITS(高度道路交通システム)推進室の中元達朗さんは、運用開始から20年が経過したETCの効果について「高速道路での渋滞は、料金所部が約3割と最も多く発生していましたが、ETCの導入により、これがほぼ解消しました。また、料金所を通過する平均速度の向上により、走行車両から排出される二酸化炭素等が減少し、料金所周辺の環境改善に大きく寄与しています」と語る。

そして2016年からは、ETCから更に進化したETC2.0の本格運用が開始されている。

ETC2.0による大きな変化は、大容量の双方向通信が行われる点にある。

料金収受のみの通信だったETCと異なり、ETC2.0では、位置情報や走行距離、加速や急停止など車両の走行履歴の計測データを使い、新たなサービスを提供する。そのデータは、ETC2.0対応車載器から、都市間高速道路では10〜15キロメートル間隔、都市内高速道路では約4キロメートル間隔に設置された路側機に送られる。

例えば、渋滞など道路交通情報をリアルタイムで受信し最速ルートがカーナビに表示されるほか、事故多発地点での注意喚起や、障害物の手前での回避警告などの安全運転を支援する情報を受けることができる。

また、物流事業者へ収集データを提供し、運行管理の効率化やドライバーの安全運転に役立てるサービスなど、官民連携の事業も始まっていた。道路管理の面でも、収集データを参照することで事故や渋滞を未然に防ぐ対策を立てることが可能である。

ITSスポットの設置箇所 (2018.7.1)

2020年に熊本県を中心に発生した豪雨災害の際には、通行データを集約し、詳細な道路の通行可否情報を事業者や防災行政機関に提供した。

ETC2.0は車と道路に関するデータの収集と情報提供を同時に行う世界で初のシステムである。実現した背景には、センシング、通信など、日本のITの飛躍的な技術革新がある。

また、ETC2.0のデータと民間事業者が保有するデータを共有して統計処理、データ加工を行うことが、大学も参画して、始まっている。その結果を調査、分析することで、渋滞を回避するようなより高度なサービスの実現も期待できる。

そこで、国土交通省は、23の新しいETC2.0サービスのアイデアを公募・選定し、実証実験を行っているところである。これらにはAIによる渋滞・事故予測に基づく交通最適化、光センサー技術を用いた交通流の計測から自動走行の支援につなげるなどが並ぶ。

2021年2月末時点で、ETC2.0の普及台数は、約611万台、2020年12月における高速道路での利用率は25.0パーセントで、今後はこの普及が課題となる。

中元さんは「国土交通省としては、利用者にとって魅力的な機能の充実や、料金割引との連携など、早期普及や負担軽減のための措置について検討を進めていきます」と語る。

ETC2.0の普及によって、モビリティサービスは、より強化、向上する。ひいては様々な社会課題解決につながることが期待されている。

カーナビゲーションの情報