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  • 善峯寺にある樹齢300年のシダレザクラ
  • 二条城にあるヤエザクラ
  • 嵐山地区のヤマザクラ
  • ソメイヨシノと八坂の塔
  • 仁和寺の御室桜

April 2021

京都の春を彩る桜

善峯寺にある樹齢300年のシダレザクラ

千年余、日本の都として栄えた古都、京都。春には、一月以上にわたって、様々な種類の桜が咲き誇る素晴らしい景観で知られている。写真家の橋本健次さんに京都の桜についてお話を伺った。

嵐山地区のヤマザクラ

京都は、春は桜、秋は紅葉の色で彩られる。京都の人々は、昔から、春には桜の花を愛(め)でることを楽しんだ。歴史的には、6世紀初頭、奈良に都が置かれていた時代には、貴族の間で香りの良い梅の花見をしていたという。794年に京都に都が移ってから、次第に春の花見の主役は桜となった。17世紀頃までには、花見は広く庶民の楽しみとなった。

「毎年、春の訪れとともに開花する桜には、心がワクワクします」と、写真家・橋本健次さんは言う。京都で生まれ育った橋本さんは、美しい京都の風景を40年余撮り続けてきた。橋本さんは、桜の繊細な色と華やかさには深い思い入れがある。

ソメイヨシノと八坂の塔

現在、日本の桜のほとんどは18世紀後半から19世紀始めに生まれたソメイヨシノという新しい品種であり、本州では3月下旬から4月下旬に咲き、10日から二週間ほどで散ってしまう。だが、京都の桜は、花を愛でることのできる期間が異なる。3月中下旬に枝が垂れるようにして咲くシダレザクラが咲き、野生種のヤマザクラが咲き始める。4月に入るとソメイヨシノが咲き、続いて赤みが濃いベニシダレザクラ、そして最後は花びらが幾重にも重なるヤエザクラが咲く。京都では、毎年1月余にわたって、これら様々な種類の桜を楽しむことができる。

仁和寺の御室桜

橋本さんは、京都の風景の中に咲く桜の美しさを表現することを心掛けてきた。京都にある約2800とも数えられる寺社仏閣を始めとする数々の名所・旧跡に春の彩を添える桜があり、撮影ポイントも多い。橋本さんの頭の中には、どの桜が、どの時間、どんな天気の時最も美しく見えるか、そのデータがしっかりと蓄積されている。

「桜の木は、その姿も花の咲き方も年々変わります。これから伸びる若い桜、枯れていく桜。だから同じ桜の木でも、何度でも足を運びたくなるんですね」と橋本さんは微笑を浮かべる。

二条城にあるヤエザクラ

数ある京都の桜の中でも、橋本さんが今、京都で一番姿が美しいと感じているのは、京都市南西の山中にある善峯寺(よしみねでら)の樹齢300年のシダレザクラなのだという。橋本さんがファインダー越しに愛(いと)おしく思う一押しの桜もまた、変わってゆくのだろう。このように、京都の春は、身近な場所で様々な桜を楽しめる。それが京都の魅力の一つでもある。

新型コロナウイルス感染症の影響のため、京都を訪れることは難しいが、世界中の多くの人々が写真を通して、京都の桜が彩る美を感じることはできるだろう。