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  • 2000年以上前、弥生時代の日本で制作し始められた勾玉を、現代のヒスイで再現したもの
  • 日本で最も良く知られている緑色のひすい
  • 白色のひすい
  • いくつかの色が混じっているひすい
  • いくつかの色が混じっているひすい
  • 約5000年前、縄文時代に制作された大珠(たいしゅ)(出土品)

October 2021

日本を代表する石:ひすい

2000年以上前、弥生時代の日本で制作し始められた勾玉を、現代のヒスイで再現したもの

ひすいは、日本国内で産出され、古代の日本人にも愛された宝石である。2016年9月、一般社団法人日本鉱物科学会は、ひすい(ひすい輝石、及びひすい輝石岩)*を日本の国石に選定した。ひすいについて、日本人との古代からの関わりや、その魅力を紹介する。

約5000年前、縄文時代に制作された大珠(たいしゅ)(出土品)

ひすいは、地球表層の二つのプレートが重なり合う場所、いわゆる沈み込み帯のみで形成されると考えられている。日本では緑色のやや透明感をもったひすいは、価値ある宝石として知られ、そのほか白や薄紫、水色などのものもある。

日本のひすいは、新潟県の糸魚川(いといがわ)地域が主要な産地であるが、全国各地でもひすいは産出する。

日本におけるひすい加工の歴史は、古代にさかのぼり、ひすいを用いた装飾品は今から5000〜6000年前の縄文時代前期の遺跡からも発見されている。例えば、縄文時代に飾り玉として作られた「大珠(たいしゅ)」は、人類初のひすい加工品と言われる。また、弥生時代(紀元前10世紀頃~紀元後3世紀)やそれに続く古墳時代(3世紀~6世紀頃)の副葬品として、ひすいで作られた勾玉(まがたま)を連ねた首飾りが多数、出土していることから、弥生時代の終わりには、日本のほぼ全域で用いられていたことが分かっている。ひすいは日本列島に暮らす人々が最も古くから愛してきた宝石とも言える。

日本で最も良く知られている緑色のひすい

古代において珍重されたひすいだが、奈良時代(710年~794年)以降、約1200年もの間、その存在は人々から忘れ去られていた。その理由はよく分かってはいない。再び脚光を浴びることになるのは、1938年、新潟県糸魚川市の小滝川でひすいの原石が発見されたことによる。その周辺地域が国内最大のひすい産地であることが分かり、この地域を流れる小滝川や青海川の河床に点在するひすいの岩塊が天然記念物として保護されるようになったのである。この一帯には、野外で自由にひすいを観察できる場所があり、日本海に面する翡翠(ひすい)ふるさと館(糸魚川市)では、重量102トン、世界最大級のひすい原石を目にすることができる。2009年8月には、古代のひすい文化等が評価され、ユネスコ世界ジオパークとして「糸魚川ジオパーク」が認定された。

2016年9月、鉱物科学や関連諸分野の学問の進歩と普及に努める一般社団法人日本鉱物科学会(以下、JAMS)によってひすい(ひすい輝石、及びひすい輝石岩)は日本の国石に選定された。

「国石の選定では、より多くの人々に岩石や鉱物、つまりは石への関心を持ってもらうことが目的でした」とJAMSの会長を務める地球科学者の宮脇律郎さんは言う。

白色のひすい

国石選定に当たって、JAMSではまずワーキンググループを立ち上げ、「国産の美しい石」「世界的な重要性」「日本人の生活との関わり」など5つの条件を定めた。そして、ワーキンググループや一般公募で選ばれた22種類の石が候補となり、2016年に開催された総会で、最終候補に残った花崗岩、輝安鉱(きあんこう。アンチモナイト)、金、水晶、ひすいの5種類の中からひすいが「日本の石」として選ばれた。

いくつかの色が混じっているひすい

「ひすいは、ナトリウム、アルミニウム、ケイ素などの元素で構成されていますが、その生成メカニズムはまだ完全には解明されていません。こうした謎もひすいの魅力の一つと言えるかも知れません」と宮脇さんは言う。

日本で広く知られている国産の美しい石、ひすい。古代からの日本人との関わり、加工し使用してきた歴史をも秘め、これからも日本を代表する石として愛されていくに違いない。

* ひすい(ひすい輝石岩)は、ひすい輝石を主な鉱物とする岩石。

いくつかの色が混じっているひすい