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May 2022

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律について

  • 様々なプラスチック使用製品
  • プラスチック製の容器
様々なプラスチック使用製品

日本は、プラスチック使用製品のライフサイクルの各段階において、自治体、事業者、消費者など全ての関係者が連携して「プラスチックの資源循環の取組(3R (Reduce、Reuse、Recycle)+Renewable)」を促進するため、今年4月から、新たな法律「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(以下、法)を施行した。

プラスチック製の容器

はじめに

プラスチックは軽く、丈夫で、成形しやすく、錆びにくいなどの特性があり、現代社会には必要不可欠な素材であり、その有用性から、幅広い製品や容器包装に利用されている。

その一方で、海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応を契機として、日本では、国内におけるプラスチックの資源循環を促進する重要性が高まってきた。そこで、多様な物品に利用されているプラスチックに関し、包括的な資源循環体制を強化するための法を2022年4月に施行した。法は、多様な物品に利用されているプラスチックという素材に着目し、製品の設計からプラスチックごみの処理に至るまでのライフサイクルの各段階において、あらゆる主体におけるプラスチックの資源循環の取組(3R+Renewable)を促進するための法律である。日本は現在、プラスチックの資源循環の実現に向けて、国、自治体、事業者、消費者など全ての関係者が相互に連携しながら、プラスチック使用製品のライフサイクルの各段階で積極的に取組を進めている。

設計・製造段階

法に基づき、政府は、プラスチック使用製品の設計・製造事業者による環境配慮設計を促すため、「プラスチック使用製品設計指針」を策定した。具体的には、プラスチックの使用量を少なくすること、過剰な包装を抑制すること、製品を分解・分別し易くすること、再生プラスチックやバイオプラスチックを利用することなどを定めている。さらに、政府は、特に優れた製品設計を認定する制度を創設した。政府は認定製品を率先して調達するともに、消費者や事業者に対して認定製品を使用するよう努めることを求めている。

販売・提供段階

法は「特定プラスチック使用製品」を提供する小売・サービス事業者に対して対策を求めている。特定プラスチック使用製品とは、小売店や飲食店等が提供するプラスチック製のフォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー、ストロー、宿泊施設が提供するヘアブラシ、くし、カミソリ、歯ブラシ、シャワーキャップ、そして、クリーニング店等が提供するハンガーや衣類用カバーの計12製品である。これらの特定プラスチック使用製品を提供する小売・サービス事業者には、声かけによる消費者への意思確認の徹底や、ポイント還元、有料化等の提供方法の工夫や、代替素材への転換等の提供する製品の工夫の取組を求めている。

排出・回収・リサイクル段階 ~リサイクル~

「排出・回収・リサイクル」段階では、三つの内容を措置している。一つ目は、市区町村による分別収集・リサイクルの取組である。日本の多くの市区町村は、容器包装リサイクル法に基づき、不要となったペットボトルなどのプラスチック製容器包装を、住民と協力して資源として分別、回収、リサイクルしている。法では、プラスチック製容器包装に加えて、不要となったプラスチック使用製品についても、自治体が分別収集・リサイクルすることを求めている。二つ目として、自治体による回収だけでなく、プラスチック使用製品を製造する事業者等が自主回収やリサイクルを取り組みやすくする措置を設けた。さらに、三つ目として、プラスチックごみの排出事業者には、排出の抑制やリサイクルを求めるとともに、排出事業者がリサイクルに取り組みやすくなる措置を設けた。

終わりに

日本は、法に基づき、プラスチック使用製品のライフサイクル全般で、あらゆる主体における「3R+Renewable」の取組の促進を通じて、プラスチックの資源循環の更なる高度化を行い、サーキュラーエコノミー(循環社会)への移行を目指していく。

注記: 本記事は公表資料等に基づき作成している。

プラスチック資源循環のイメージ図
製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までに関わるあらゆる主体におけるプラスチック資源循環等の取組(3R+Renewable)を促進するための措置を講じたもの。