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September 2022

第8回アフリカ開発会議(TICAD8)共同記者会見における岸田内閣総理大臣冒頭発言

  • 共同記者会見(TICAD8 2日目)
共同記者会見(TICAD8 2日目)

2022年8月27日及び28日、岸田文雄内閣総理大臣は、総理大臣公邸から、チュニジア共和国で開催されたTICAD8(第8回アフリカ開発会議)*にオンラインで出席しました。8月28日には、共同記者会見で冒頭発言を行い、次のように述べました。

新型コロナ発生以降で初めて、そして2度目のアフリカ開催となったTICAD8を、チュニジアで成功裏に終えることができたことを嬉しく思います。

今回、共同議長かつホスト国を務めていただいたサイード・チュニジア共和国大統領、同じく共同議長を務めていただいたサル・セネガル共和国大統領、全てのアフリカの参加国、さらには企業関係者を含めTICAD8の成功のために共に尽力いただいた全ての関係者、そしてチュニジア国民の皆様に深く感謝申し上げます。

また、今回多くの首脳から安倍元総理大臣の逝去に対し、丁重な弔意を賜り、心から感謝申し上げます。

今回のTICAD8を通じ、ダイナミックな成長が期待されるアフリカの活力をひしひしと感じることができました。この躍動する力によりアフリカが成長することに合わせ、日本も共に成長していくことが重要と感じています。

一方、現状では、格差や環境問題等のグローバル経済の矛盾がアフリカに集中していることも事実です。また、ロシアによるウクライナ侵略により引き起こされた食料危機や不公正・不透明な開発金融といった課題への対応も急務となっています。

こうした中、日本は、アフリカと「共に成長するパートナー」でありたいと考えています。日本はアフリカの課題克服に共に取り組むことにより、成長に力強く貢献する。それを通じて日本も学び、成長する。そうしたパートナーとして、日本は「人」に着目したアプローチを取る。こうした考えを説明して、多くのアフリカ首脳から賛同を得ました。これは、私が提唱している「新しい資本主義」を体現するものでもあります。

今回私が表明した官民総額300億ドル規模の資金の投入は、「人への投資」や「成長の質」を重視し、様々な課題をアフリカの人々と共に解決しながら、強靱で持続可能なアフリカを実現していくためのものです。

特に、日本としてアフリカの更なる発展を実現するため、以下に取り組みます。

第一に、人々の生活の質を改善するための40億ドルの「アフリカ・グリーン成長イニシアティブ」の立上げ、

第二に、活力ある若者の起業を支えるため、日本経済界による100億円超の「スタートアップ向け投資ファンド」、

第三に、アフリカの未来を支える30万人の「人材育成」、

第四に、包括的な民間セクター開発のための、アフリカ開発銀行との最大50億ドルの支援、

第五に、感染症対策等支援のためグローバルファンドへの最大10.8億ドルの新規拠出、

第六に、食料・エネルギー価格高騰の中、人々の生活を守る強靭で持続可能な社会を構築するため、1.3億ドルの食料支援及びアフリカ開発銀行の「緊急食糧生産ファシリティ」への3億ドルの協調融資。

日本は、これらの取組を通じて、アフリカと共に手を携え、アフリカのオーナーシップを基盤とした成長に力強く貢献していきます。

各種取組を進める上でも、人の国際的な往来の再活性化が重要です。多くのアフリカ諸国を含め、日本人が海外渡航する際の感染症危険情報のレベルを引き下げたところですが、水際対策においても、日本への入国がG7並みに円滑になるよう、段階的に緩和を進めます。

TICAD8は本日を以て終わりますが、重要なのは今回の議論を踏まえていかに具体的な行動に移していくかです。TICADはプロセスであり、アフリカの更なる発展に向け、共に歩んでいきたいと思います。

次回は、2025年に、日本でアフリカの皆様をお迎えできることを楽しみにしています。ありがとうございました。

* TICADとは、Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略であり、アフリカの開発をテーマとする国際会議。1993年以降、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行及びアフリカ連合委員会(AUC)と共同で開催。

注記: 本記事は、外務省の同意を得て、同省が公表した資料に基づいて作成しています。