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February 2023

喜多方ラーメン:冬の朝の熱々ラーメン

  • 多彩なトッピングの喜多方ラーメン
  • ほうれん草がトッピングされた喜多方ラーメン
  • 基本的な喜多方ラーメン
  • チャーシューがトッピングされた喜多方ラーメン
  • 雪の積もった「蔵のまち」
多彩なトッピングの喜多方ラーメン

福島県の喜多方ラーメンは、昼や夜だけでなく朝ごはんとして親しまれるほど愛されるご当地グルメだが、寒い冬が一番楽しめるかもしれない。

ほうれん草がトッピングされた喜多方ラーメン

日本の国民食のひとつ、ラーメン。全国各地に、その土地に行かなければ食べられないご当地ラーメンが数多く存在する。福島県北西に位置する喜多方市は、巷(ちまた)で日本三大ラーメン*の一つと言われている「喜多方ラーメン」で名高い。

その特徴は、麺が太く、少しちぢれていることだ。小麦粉に水分を多く含ませてじっくり寝かせた麺で、もちもちとしたコシがある。そして、スープは通常、豚骨と煮干しで作られた醤油ベースのだし汁である。麺とスープのコンビネーションが絶妙な味わいとなる。

基本的な喜多方ラーメン

喜多方観光物産協会の樟山敬一 (くすやま けいいち)会長は、「街中に喜多方ラーメンの店がいくつもある中で、市民は自分のお気に入りの店があり、足繁く通うんです」と話す。

喜多方ラーメンの発祥は、約100年前の屋台が始まりと言われ、その後、専門店が増えていった。その名が全国に知られるようになったのは、50年ほど前のことだ。喜多方では昔から醤油や味噌、清酒といった醸造産業が盛んで、多くの蔵が建っていた。その蔵のある風景に情緒を感じた人たちの間で、喜多方は「蔵のまち」として知られるようになる。喜多方を訪れた観光客たちの「蔵の風景もいいが、ラーメンも美味しい」という評判が口コミで広がり、人気に火がついた。今のようにソーシャルメディアがない時代に喜多方ラーメンが人気となったのは、その味に多くの人々が感動したからにほかならない。

チャーシューがトッピングされた喜多方ラーメン

この喜多方ラーメン、現地ならではの楽しみ方のひとつが、朝にラーメンを食べる “朝ラー”だ。日本でラーメン店などの飲食店は通常、昼直前に開くが、喜多方ラーメン店の多くが朝から店を開ける。その理由は諸説あり、「喜多方市内にあった工場で夜勤を終えた人が、朝ごはんとしてラーメンを食べたから」「早朝の農作業を終えた人に、気軽に食べられる朝ごはんとして好まれたから」「昔、夜行列車で喜多方に早朝着いた多くの人がラーメンで暖をとったから」などなど。その理由は何であれ、今も昔も変わらず、“朝ラー”に多くの人が集まり、遠方から深夜に車を飛ばしてやってくる人もいる。

“朝ラー”は一年中できるが、「特に冬の朝に熱々のスープをすすりながら食べるラーメンは格別」と話すのは、喜多方市観光交流課の花見栄 (はなみ さかえ)さん。

「朝、雪かきを終えた時に、ラーメン店に足が向くことが多いですね。人気店にもなれば、冬でも朝から行列ができていますよ」と話す。

雪の積もった「蔵のまち」

喜多方市のある会津地方は、平均1メートルを超える豪雪地帯であり、例年、12月の末ごろから2月の末ごろまで一面雪景色となる。冬の寒さに身が震える中、熱々の喜多方ラーメンを味わえば、この地でこのラーメンが愛される理由が分かる。

* よく日本のマスコミでは、北海道札幌市の札幌ラーメン、九州の福岡県福岡市の博多ラーメンと、この喜多方ラーメンを三大ラーメンとして取り上げている。