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March 2023

金のふりかけ

  • 料理や飲み物にふりかけることで、おもてなしの心を金のふりかけは演出する。
  • 小さな酒盃に浮かぶ金のふりかけ
  • 金のふりかけの拡大写真
  • 筒のふたを回すと金箔が出る。
  • 金のふりかけの紙筒(11センチメートル、2センチメートル)と箱
料理や飲み物にふりかけることで、おもてなしの心を金のふりかけは演出する。

日本では、ちょっとしたおもてなしの場面に使える、高純度の金箔を用いた「金のふりかけ*」が人気を集めている。

筒のふたを回すと金箔が出る。

「目の前で筒を振って、私たちの金箔をお客様の料理や飲み物に振りかけると、多くの人が笑顔になります」と、広島県広島市にある株式会社歴清社の藤井育代さんは言う。

「金のふりかけ」は近年、人気を集めている。細長い紙筒のふたをひねって軽く振ると、細かい金箔が小さな穴から少しずつ出てくる。日本ではお祝いの席の料理や日本酒、寿司、またお菓子などに金箔をのせて、華やかな雰囲気を演出する文化的習慣があることから、この金のふりかけが商品開発された。

金のふりかけの拡大写真

「金には人を笑顔にし、ひいては世界を幸せにするような力があると私たちは考えています。より多くの人に、より身近に金を通じて幸福感を味わっていただきたいという思いから、私たちは金のふりかけを開発しました」と言う。少量の金を食しても、人体に害はなく、消化せずに体の外に排出されるとされており、日本では、金は食品添加物として政府から使用が認められている。

歴清社の「金のふりかけ」は、銅を一切使用していない高純度の金箔を使用して作られており、贅沢さを追求している。歴清社は、もともと屏風商としてのルーツを持つが、1905年に洋金箔(真鍮製の箔)を用いた、変色しにくく実用にも耐えうる金紙の開発に成功した。日本の伝統工芸技術として受け継がれる“箔押し”を生かした様々な製品づくりを続けている。箔押しは、0.0001ミリメートルほどのごく薄い金箔や銀箔を紙に貼り合わせる技術で、古来、神社仏閣の建築や、部屋の仕切りや装飾に用いられる屏風や襖紙などに用いられてきた。その伝統的な箔文化をもっと人々に身近に感じて欲しいと提案した一つが、料理や飲み物に用いる「金のふりかけ」だ。長さ11センチメートル、直径2センチメートルほどの円筒形の紙筒に金箔が入っており、持ち運びにも便利だ。乾杯時にシャンパンやワインに振りかけるなど、場面に応じた演出として利用されるほか、贈り物としても人気が高い。2019年には、公益財団法人日本デザイン振興会のグッドデザイン賞を受賞している。

金のふりかけの紙筒(11センチメートル、2センチメートル)と箱

また、近年、日本の若い女性の間では成人式やパーティーで晴れ着を着る時に、髪に金箔をつけるスタイルが流行している。金のふりかけを使えば簡単に髪の毛がキラキラと輝いて豪華な印象になるという。

小さな酒盃に浮かぶ金のふりかけ

「日本では貴重な金を、ごく薄く加工して使う技術が発達しました。その繊細な美しさを、若い女性たちにも手軽に楽しんでいただけていると感じています」と藤井さんは言う。

同社では、箔押し紙を用いたハガキやスケッチブックやブローチなど多様な商品を展開し、人々の日常生活の中に輝かしいアクセントを添える箔製品の普及を目指している。

* ふりかけは、主に炊いたご飯にふりかけて使う、粉末状あるいはそぼろ状の日本の調味料