音声広報CD「明日への声」トラックナンバー3(HTML版)|令和4年(2022年)1月発行分

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音声広報CD「明日への声」 vol.83(令和4年(2022年)1月発行)

トラックナンバー3

(タイトル:女性)

なくそう、所有者不明土地。土地相続のルールが変わります!

(イントロダクション:女性)

土地の所有者が亡くなった後、相続登記がされないなどの理由により、いわゆる「所有者不明土地」となってしまうケースが増えています。土地の活用が阻害されたり、管理が適切に行われないために隣接する土地へ悪影響が出たりと、地域全体の問題にもなっています。所有者不明土地の解消に向けて、令和5年以降、不動産や相続に関するルールが順次変わります。新しいルールについてご案内します。

(本文:Q.女性/A.男性)

Q:所有者が分からず、倒壊しそうな空き家や荒れ果てた土地がそのまま放置されて危険だ、景観や治安も悪くなるといったニュースを聞いたことがあります。

A:そうなんです。今、そういった所有者不明土地が増えていて、全国的な問題となっています。
「不動産登記」という言葉を聞いたことはありますか?「この土地や建物は自分の物です」ということを、法務局に申請して、公に示すものです。申請が認められると、不動産登記簿に、土地や建物の詳細や所有者の住所・氏名などが記録されます。

Q:その登記簿を見ても所有者が分からない土地が増えてしまっているということですね。所有者が分からない土地は、日本にどれくらいあるのでしょうか。

A:国内の土地の約22%と言われています。これは、九州本島の面積と同じくらいで、しかも、年々増えていると言われています。

Q:大変な広さですね。所有者不明土地になってしまうことで、どのような問題が起こるのでしょうか。

A:開発したい土地に所有者不明土地があると、所有者を探し出すのに多くの費用と時間がかかり、公共事業や民間取引といった土地の利活用を進めることができません。また、所有者不明土地は、管理が行き届かないまま放置されることが多く、防犯や防災の観点からも、周辺の地域に悪影響を与える可能性が高いんです。例えば、土砂崩れの対策工事が必要な場所に所有者不明土地があると、所有者を探し出すまでに時間がかかり、その間は工事を進めることができず、危険な状態のままになってしまいます。所有者不明土地の解消は喫緊の課題なのです。

Q:周りの住民にも迷惑を及ぼすことになりかねませんね。
なぜ、所有者が分からない土地があるのでしょうか。

A:これまでは、相続登記の申請は義務ではありませんでした。申請をしなくても困ることが少ないこともあり、親が亡くなり土地を相続しても、登記の申請をしないままのケースも少なくないのです。
そのため、登記簿上は親が所有者のままで、実際は、その相続人である子供などが所有しているという事態が起こります。所有者不明土地のうち、約3分の2がこのようなケースです。その他、所有者が引っ越しをしたにもかかわらず、住所変更の登記を申請せず、登記簿を見ても連絡を取ることができなくなってしまうケースもあります。

Q:土地の所有者やその住所が変わっても、登記簿が更新されないので、所有者不明となってしまうんですね。新しいルールではどのように変わりますか?

A:これまで義務ではなかった土地や建物に関する相続の登記が義務化されます。具体的には、相続により不動産を取得したことを知ってから3年以内に、正当な理由がなく、登記を申請しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。この新しいルールは、令和6年までに施行される予定です。このほか、氏名・住所変更の登記も義務化され、令和8年までに施行される予定です。

Q:申請しないと罰則があるんですね。登記申請の負担を軽くするような仕組みは何か用意されているのでしょうか?

A:はい。新しいルールが定着し、登記申請を促進するために、簡単に義務を果たせる仕組みも設けられます。例えば、3年以内には遺産分割の話合いがなかなかまとまらないといったケースもあるかと思います。このような場合には、「自分が相続人である」と法務局に申し出ることで相続登記の申請義務を果たしたものとみなすルールが整備されました。この申出は、単独ですることができます。また、亡くなった親が所有していた土地を全て把握することができずに、相続登記の申請漏れが生じるということを防ぐために、親が名義人となっている不動産の一覧の証明書を発行してもらえる所有不動産記録証明制度が設けられています。このほかにも、登記費用の一部軽減も検討される見込みです。

Q:不動産の所有者が不明となり、不動産の管理や処分に関する話が進められないという問題を聞いたことがあります。どうしても土地の所有者が分からない不動産については、どのようなルールが設けられるのでしょうか?

A:新しいルールでは、裁判所が所在不明の所有者に代わって、個々の不動産を管理する「管理人」を選任することができるようになります。不当に権利を奪ってしまうことにならないように、本当に所在不明なのか、連絡が取れないのか、裁判所にきちんと確認してもらい、管理人を付けてもらいます。この管理人は、裁判所の許可を得て、不動産を売ることもできます。

Q:裁判所が関与して話を進められるようになるんですね。

A:ほかにも、相続などで取得した土地を手放すことができる制度が新しく創設されます。ただし、国が引き取るには、管理や処分に費用や労力がかかり過ぎない土地であることなどの、一定の要件が設けられており、法務大臣の承認を得ることが必要です。また、土地を手放すには、10年分の管理費用に相当する負担金を支払う必要があります。

(エンディング:女性)

現在、「所有者の分からない土地」がたくさんあり、大きな問題になっています。土地や建物をきちんと管理することはとても重要です。所有者不明土地の解消に向けて、不動産を相続した場合の 登記の義務化を始め、不動産や相続に関するルールが大きく変わります。
この機会に、土地や建物を将来誰が受け継ぐのか、誰に受け継がせるのかなど、ぜひ話し合ってみてください。
所有者不明土地の解消に向けた不動産や相続の新ルールに関するお問合せは
法務省民事局 電話:代表番号 03-3580-4111 にご連絡ください。
法務省ホームページでは、今回の法改正の内容などを紹介しています。「法務省 所有者不明」で検索してください。

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