被災地を支える TEC-FORCE(テックフォース)

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ラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection

大規模自然災害の発生時に、縁の下の力持ちとして活動する組織、その名は「TEC-FORCE」!実は国交省職員です。彼らの日頃培ったインフラのスペシャリストとしての知識・技術と「現場力」を生かし、様々な機材を活用して、土砂などで寸断した道路を切り開きます!番組では、自衛隊、警察、消防が行う救助活動を支え、さらに被災地の早期復旧に向けた被害状況調査なども行う彼らの活動を深掘り!TEC-FORCE隊員として活動経験がある職員をお招きし、現場の声もお届け!

ゲスト

国土交通省 水管理・国土保全局
防災課長
西澤 賢太郎

スペシャリスト
TEC-FORCE
一二三 諒

ストリーミング(音声で聴く)

放送日
令和5年(2023年)10月22日
再生時間
17分54秒
配信終了予定日
令和6年(2024年)10月21日

文字で読む

青木
この「TEC-FORCE」というワード、足立さんは聞いたことありますか?
足立
聞いたことないですね。「TEC-FORCE」と聞くと格好良い響きだなと思いました。
青木
自然災害の状況を伝えるニュースなどで、耳にすることがあるかたもいるかもしれませんが、「TEC-FORCE」とは「Technical Emergency Control FORCE」の略で、国土交通省の「緊急災害対策派遣隊」の通称名です。
足立
緊急災害対策派遣隊ということは、自衛隊や消防のようなものですか?
青木
惜しい!TEC-FORCEは、緊急事態が発生したときに技術的な支援を行う部隊というような意味になるんですが、簡潔に説明すると、自衛隊や警察、消防は、人命救助を最優先に活動する組織ですが、一方のTEC-FORCEは、そうした自衛隊員や警察官、消防隊員が活動しやすいように、土砂や浸水で通行止めになってしまった道路などを、応急的に通れるようにすることが主な活動です。また、それに限らず、被災した道路や川の調査など、自治体を支援することも目的とした組織です。
足立
自治体や自衛隊などの活動をバックアップする組織だから、縁の下の力持ちということなんですね。
青木
そうなんです。自衛隊や警察、消防などは、被災されたかたと直に接する機会があり、また、その活動内容などがマスコミで取り上げられることも多く、多くのかたが知っていると思います。でも、TEC-FORCEは縁の下の力持ち、言ってしまえば裏方。なかなかその存在を知られることがないので、今日は深掘りしがいがあります!ゲストはお二人です。国土交通省水管理・国土保全局防災課長西澤賢太郎さん、そして、TEC-FORCEとして活動経験のある同じく防災課災害対策室の一二三諒さんです。一二三さんには、後ほど体験談を伺ってまいります。
足立
まずは、西澤さん、TEC-FORCEがどんな組織なのか改めて教えていただけますか。
西澤
はい。地震や台風などで被害が大規模になると、自治体が対応できない場合が出てきます。このようなときに、国土交通省の職員が応援に駆け付け、被害状況の調査、大雨で浸水したエリアの排水、通行止めになった道路の応急復旧、二次災害を防止する措置のアドバイスなどを行うのがTEC-FORCEです。国土交通省の職員は、利根川や荒川といった大河川や、国全体の骨格となるような国道1号といった道路などを日頃から整備、維持管理していますので、日常業務で培った知識や技術力は、災害時にもいかされています。
足立
なるほど。日々の業務の経験がそのままいかされるんですね。それこそ、スペシャリストと言えますね。
青木
川や道路などのことを一番知っているわけですからね。
足立
ちなみに、TEC-FORCEはいつ頃からあるんですか?
西澤
創設されたのは2008年4月です。創設以前も国土交通省では災害が発生する度に被災地に職員を派遣し、その都度、体制を整えて対応をしていましたが、近年、大規模な自然災害が頻発しています。その為、その備えとして、迅速に支援できる体制を予め整えておく必要があると考え、TEC-FORCEを創設しました。
青木
TEC-FORCEは、基本的に自治体から要請を受けて国土交通省が派遣するんですよね。
西澤
はい。ただし大規模な災害で自治体の機能が失われている場合は、要請がなくても派遣することもあります。
足立
TEC-FORCEの隊員はどういった方々なんですか?
西澤
国土交通省の地方組織である地方整備局の職員を中心に、地方運輸局、研究機関など、国土交通省の様々な機関の職員で構成しており、災害の規模に応じて全国から被災地に派遣されます。
青木
ちょっと想像してみましょうか。一たび災害が発生すると、山が崩れたり、川が氾濫したり、道路が寸断されることがあります。すると自衛隊や警察、消防は人命救助や捜索活動を行います。また、自治体は被災した道路や川などの復旧のために、それらの調査を行うわけですが、それらを行う際、土砂やガレキ、氾濫した水があると、それが障壁になって速やかに活動が行えません。
足立
しかも、無理に活動しようとすると、二次災害が起こってしまうかもしれないですよね。
青木
そうなんです。そこで、TEC-FORCEの出動です。
西澤
冒頭にもお話しましたが、TEC-FORCEの隊員は、普段は、道路や河川、砂防などのインフラ整備や維持管理を業務としていますので、一人一人がインフラに関するスペシャリストです。つまり、日頃から現場で知識を蓄え技術を磨き、即座に現場で対応できる「現場力」を持っています。さらに、災害の発生時にも的確に技術的な支援ができるよう、日頃から訓練や研修を受けています。
青木
その豊富な知見から被災地の山や川、道路の被災状況を迅速に把握し、速やかにガレキや土砂などで塞がれた道路を切り開いたり、土砂を撤去したり、市街地に溜まった水を排水したりします。さらに、被災した自治体が管理する道路や河川堤防などの調査に協力したりするんです。西澤さん、そのため、TEC-FORCEでは様々な災害対策用の機材を所有しているんですよね。
西澤
はい。上空から広範囲に被災状況を把握するためのヘリコプターをはじめ、ドローン、衛星通信車、照明車、排水ポンプ車、遠隔操縦できる重機など多数保有しています。
青木
ドローンは、いろんな現場で活躍していますが、ドローンなら、立ち入り困難な被災現場や二次災害が懸念される被災現場でも上空からより詳細な被災状況を把握できますし、衛星通信車があると、災害で通信網が麻痺しても、衛星による通信が可能です。また照明車は夜間も作業を実施するために必要不可欠なんですよね。
足立
ありとあらゆる状況に対応できるように備えているんですね。
青木
ここからは、TEC-FORCEの隊員でもある一二三諒さんに具体的な活動を伺っていきましょう。
足立
まず、一二三さんは、日頃、どんなお仕事をされているんですか?
一二三
普段は、政府が主体となって行っている大規模な災害を想定した訓練の実施や、災害が発生した場合の情報収集、例えば震度5弱以上の地震が起こった場合に、30分以内に職場に出勤して、国土交通省で把握した被災情報を官邸等に報告するなどしています。
足立
スペシャリストですね。まさに、国土交通省の災害対応のコントロールタワーという感じがします!
一二三
そうですね!そのコントロールタワーのリーダーが、西澤課長です。
青木
西澤さん、現在、TEC-FORCEの隊員は何名くらいいるんですか?
西澤
自治体などからのニーズの高まりもあり、隊員数は創設当時からおよそ6倍で、1万6,200名が指名されています。
青木
それぞれ、河川や道路、地域の担当があるということですか?
西澤
そうですね。整備局の事務所も含めて、あらゆるところの職員をTEC-FORCEの隊員に指名しているので、いろんな災害に対応できるようにしています。これまで東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨、東日本台風など133の災害に延べ13万6,000人を派遣してきました。
足立
一二三さんは、TEC-FORCEの隊員に指名されたとき、どのように思われましたか?
一二三
TEC-FORCE隊員になることは、国土交通省に入ることを決めたきっかけでもあったので、被災地で困っている方々のために、少しでも役に立てたらと思いました。
青木
隊員になると研修があるそうですね。
一二三
研修では、被災状況調査における必要な資機材やそれらの使用方法、危険箇所の対応などのポイントを学べます。また、TEC-FORCEとして何度も活動しているかたから、経験談や心構えを聞くこともできて、初めて派遣される人でも安心して現場に向かうことが出来ます。
足立
実際、TEC-FORCEとしての活動で、今でも心に残ることはありますか?
一二三
私がTEC-FORCEとして派遣されたのは、2019年の東日本台風でした。総降水量は多いところで1,000ミリメートルを超えるような雨が降っていましたので、静岡県や新潟県、関東甲信地方や東北地方など広範囲にわたって被害が発生していました。私は、神奈川県の山間部の土砂災害に関する調査を担当しており、当初予定していたルートが土砂で塞がっていたので、途中で車を降りて数キロ歩きながら調査したことが印象に残っています。最近では、こうした人が近付けない場所はドローンを活用して調査を行うようになってきています。
足立
どんどん進化しているんですね。このTEC-FORCEの活動をするようになって、一二三さんご自身に変化はありましたか?
一二三
それまではデスクワークが中心だったんですが、被災した現場を知ることで、被害がどのように発生したのかを見ることができて、再び同じような被害に遭わないためにどうしたら良いのかを考えるきっかけが出来ました。
足立
やりがいを感じるのはどんなときですか?
一二三
やはり、TEC-FORCEの活動をしている際に、被災された地域の方々から「ありがとう」と声を掛けていただいたり、調査報告書をとりまとめて被災自治体へお渡しする際に、役場の方々から感謝の言葉をいただいたときに、自分が行っているTEC-FORCE活動が、人の役に立てていると実感できるときです。
青木
日本は気候変動に伴い、豪雨災害などが今以上に激しくなったり、頻発する恐れがあります。また南海トラフ巨大地震や首都直下地震に見舞われる恐れもはらんでいます。西澤さん、今後、ますますTEC-FORCEの活動が重要になってきますね。
西澤
はい。国土交通省では、そうした災害が発生した際、被災地を迅速に支援して、被災された皆さんが、1日も早く元の生活を取り戻せるように取り組んでいきたいと思います。TEC-FORCEの隊員の中には、ドローンを操る女性隊員や、迅速な排水を可能にする排水ポンプ車を熟知した男性隊員など、様々な隊員がいます。こうしたスペシャリストたちのインタビューや災害対策用機材の紹介、災害時の活動写真、上空からのドローン映像などのコンテンツをTEC-FORCEのホームページで紹介しています。是非、ご覧いただければと思います。
足立
今日の話を聞いて、TEC-FORCEは本当に縁の下の力持ちなんだということが分かりました。しかも、ありとあらゆる状況に対応できるように常に備えているというところがすごいなと思いました。ヘリコプターやドローンといった機械もありますし、道路や河川の状況を普段から見ているからこそ、スムーズに解決できるので、そういう人たちがいるということを知れて良かったです。
青木
僕が印象に残ったのは、一人一人がインフラに関するスペシャリストというところです。TEC-FORCEの隊員は、普段は道路や河川、砂防などのインフラ整備や維持・管理を業務としていて、誰よりも精通しているわけです。だから、災害時にも頼りになるということが分かりました。

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