「国民投票法」って何だろう?
平成19年5月18日に、「日本国憲法の改正手続に関する法律(憲法改正国民投票法)」が公布され、同法の一部を改正する法律が平成26年6月20日に公布・施行されました。これは、私たちが憲法改正に関して最終的な意思決定をするための手続きを定めた重要な法律です。この法律の概要や仕組みをご紹介します。
1国民投票に関する手続きを定めた法律
日本国憲法第96条では、憲法改正の手続きについて、「国会で衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成を経た後、国民投票によって過半数の賛成を必要とする」と定められています。
この憲法改正のための国民投票に関する手続きを定める「日本国憲法の改正手続に関する法律(憲法改正国民投票法)」が、平成19年5月14日に成立し(5月18日公布)、平成22年5月18日から施行されました(同法の一部を改正する法律が平成26年6月20日に公布・施行)。
これにより、日本国憲法の改正について、国民の承認にかかる投票(国民投票)が、国民によって直接行えるようになりました。
日本国憲法第96条
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
国民投票の投票権とは
国民投票の投票権は、年齢満18歳以上の日本国民が有することとされています。
2憲法改正のための国民投票の流れ
憲法を改正しようとするときには、国会議員により憲法改正案の原案が提案され、衆参各議院においてそれぞれ憲法審査会で審査された後、本会議に付されます。両院それぞれの本会議にて3分の2以上の賛成で可決した場合、国会が憲法改正の発議を行い、国民に提案したものとされます。
また、憲法改正の発議をした日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に国民投票が行われます。
憲法改正のための国民投票のおおまかな流れは、以下のとおりになります。
(1)憲法改正原案の発議
法律で定める一定数(衆議院100人以上、参議院50人以上)の国会議員の賛成により、憲法改正案の原案(憲法改正原案)が発議されます。
(2)憲法改正の発議
憲法改正原案は、衆議院憲法審査会及び参議院憲法審査会で審議され、衆議院本会議及び参議院本会議にて3分の2以上の賛成で可決されます。両院で可決した場合は、国会が憲法改正の発議を行い、国民に提案したものとされます。
(3)国民投票の期日
国民投票の期日は、憲法改正の発議をした日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に国民投票が行われます。
(4)広報・周知
憲法改正案の内容を国民に知ってもらうため、国民投票広報協議会(各議院の議員から委員を10人ずつ選任)が設置されます。憲法改正案の内容や賛成・反対の意見、そのほか参考となる情報を掲載した国民投票公報の原稿作成、投票記載所に掲示する憲法改正案要旨の作成、憲法改正案などを広報するためのテレビやラジオ、新聞広告などを行います。
また、総務大臣、中央選挙管理会、都道府県及び市町村の選挙管理委員会は、国民投票の方法や国民投票運動の規制、そのほか国民投票の手続きに関して必要な事項を国民に周知することとされています。
(5)国民投票運動
憲法改正案に対し、賛成又は反対の投票をするよう、又はしないよう勧誘することを「国民投票運動」といいます。政党やその他の団体、マスコミ、個人などが、一定のルールのもとに「国民投票運動」を行うことができます。例えば、投票期日14日前からは、国民投票広報協議会が行う広報のための放送を除き、テレビやラジオの広告放送は制限されます。
(6)投票
投票は、国民投票にかかる憲法改正案ごとに、一人一票になります。投票用紙には、賛成の文字及び反対の文字が印刷され、憲法改正案に対し賛成するときは賛成の文字を囲んで「○(丸)」の記号を書き、反対するときは反対の文字を囲んで「○(丸)」の記号を書き、投票箱に投函(とうかん)します。また、選挙の投票と同じく、期日前投票(投票期日前14日から)や不在者投票、在外投票などが認められています。
(7)開票
憲法改正案に対する賛成の投票の数が投票総数(賛成の投票の数及び反対の投票の数を合計した数)の2分の1を超えた場合は、国民の承認があったものとなり、内閣総理大臣は直ちに憲法改正の公布のための手続きを執ります。
(8)結果を官報で告示
国民投票の結果を官報で告示します。
(取材協力:総務省 文責:政府広報オンライン)