スマートフォン等のインターネット接続機器の普及によって、インターネットはますます私たちの生活に身近になりました。最近は、こどもたちも自分のスマートフォンを持ち、メールや調べ物、ゲームなどを利用することが多くなりました。一方で、不適切なサイトなどにアクセスし、犯罪やトラブルに巻き込まれるケースも絶えません。そこで、トラブル防止のために、保護者が知っておきたいことを紹介します。
1自分専用のスマートフォンを持つこどもはどのくらいいるの?
進学や進級をきっかけに、こどもにスマートフォンを持たせることを検討しているご家庭は多いのではないでしょうか。自分のスマートフォンを持つこどもの割合は年々増加しています。内閣府が行った「令和4年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によれば、専用のスマートフォンを利用している割合は、小学生で64.0%、中学生で91.0%、高校生では98.9%に達しています。
このように自分専用のスマートフォンを持つこどもが多くなっている中で、保護者の皆さんは、自分のこどもがどのようにスマートフォン等を利用しているか、きちんと把握していますか。先ほどの調査結果によれば、青少年のインターネットの利用内容は、高校生では、動画視聴(96.2%)、検索(91.2%)、音楽視聴(91.0%)、コミュニケーション(89.8%)が、中学生では、動画視聴(93.9%)、検索(87.4%)、ゲーム(84.9%)、音楽視聴(79.9%)が、小学生では、動画視聴(88.1%)、ゲーム(86.2%)、検索(74.1%)がそれぞれ上位を占めています。
また、1日のインターネット平均利用時間は、小学生が213.7分、中学生が277.0分、高校生が345.0分で、1日3時間以上インターネットを利用する青少年の割合は、小学生が52.7%、中学生が69.9%となり、高校生が78.0%となっています。
スマートフォンでのインターネット利用は、家庭以外の場所でも行われるため、保護者の目が届きにくいのが現状です。そのため、こどもがインターネット上でトラブルに遭遇したり、問題行動があったりした場合でも、保護者が把握できていない場合が少なくありません。
2こどもたちのインターネット利用に潜む危険とは?
インターネット上の世界には、こどもたちにとって役立つ情報がたくさんある一方で、暴力的な表現やアダルト画像といった悪影響を及ぼす不適切な情報が数多く存在します。 また、メールやインターネット掲示板、SNSなどのコミュニティサイトについても、利用方法を誤ると、自分が気付かないうちに見知らぬ人に個人情報を知られてしまったり、巧みな言葉で誘惑され、犯罪に加担してしまうなど、様々なトラブル等が生じる危険があります。
こどものスマートフォン利用に関するトラブル等の例
書き込みやメールでの誹謗中傷やいじめ
SNSなどで人の悪口を書き込むなど、インターネット上での人権侵害やいじめが発生し、被害に遭ったこどもが不登校となるなどの事例も発生しています。
SNSなどに載せた個人情報の流出
SNSなどに安易に個人情報を記載したために、写真や名前、メールアドレスが知らないところで勝手に使われ、嫌がらせを受ける被害が発生しています。
SNSを通じて知り合った人からの誘い出しによる性的被害
最近は、出会い系サイトではなく、SNSやゲームサイトなどで知り合った人からの誘い出しを受けて、こどもが性的被害を受けるケースが増えています。令和4年(2022年)にSNSに起因する犯罪被害にあったこどもの数は1733人(暫定値)となっています(※)。
※資料:警察庁「令和4年の犯罪情勢」
無料ゲームサイトでの意図しない有料サービスの利用
「無料」とうたっているオンラインゲームで遊んでいる間に、アイテムが有料であることに気付かず購入してしまったため、高額の料金を請求されてしまうトラブルが、こどもたちの間で多く発生しています。
「闇バイト」等情報によりアルバイト感覚で犯罪に加担
「高額バイト」、「即日即金」などの文言を用い、SNSで強盗・特殊詐欺等の犯罪の実行犯を募集する手口があり、こどもが重大な犯罪に加担する危険があります。
こどものインターネットトラブルの事例について、さらに詳しく知りたい場合は総務省「インターネットトラブル事例集」をご覧ください。
3ネットの危険からこどもを守るために保護者ができる3つのポイントとは?
こうしたトラブルに巻き込まれることなく、こどもたちが安全に安心してインターネットを利用するために、保護者がその特徴や、様々なリスクについて理解しながら、こどもを見守ることが重要です。そのため知っておきたいことやできることを紹介します。
(1)ペアレンタルコントロールを活用する
ペアレンタルコントロールとは、こどものスマートフォン等の使用状況を保護者が把握したり、安全管理を行ったりする仕組みで、OS事業者、アプリ開発事業者からサービスが提供されています。例えば、こどもがスマートフォン等でゲームをプレイする場合、保護者のスマートフォンでこどもの日々のプレイ状況を確認したり、プレイする時間や時間帯の調整、課金の制限等を行ったりすることができます。こどもの使用状況に応じて上手く活用しましょう。

(2)フィルタリングを利用する
不適切な情報や危険な出会い等を防ぐために、フィルタリングを賢く利用しましょう
こどもがスマートフォン等を利用する際には、不適切な情報へのアクセスを制限する「フィルタリング」を活用しましょう。うっかり、あるいは故意に危険なサイトにアクセスしないようにコントロールしてくれる便利な機能です。それによって、出会い系サイトやアダルトサイト、暴力的な表現のあるサイトなどを、こどもが閲覧できないようにします。
なお、携帯電話会社では、18歳未満のこどもがスマートフォン等を利用する場合には、フィルタリングサービスについての説明や設定を行っています。こどもの年齢や使い方によりレベル設定ができ、利用したいサイト、SNS等の個別設定もできますので、上手に使ってこどもの安全を守りましょう。

(3)ルール作り
家庭のルールをこどもと一緒に作り、成長とともに少しずつ見直していきましょう
実社会でやってはいけないことは、インターネット上でもやってはいけません。こどもがスマートフォン等で上手にインターネットを活用できるようにするために、家庭のルールを作りましょう。ルールづくりは保護者の一方的に押し付けではなく、こどもと一緒になって、利用目的や利用場所・時間帯を話し合ってルールを決めることが大事です。また、そのルールは、成長とともに少しずつ見直していくことが必要です。
それから、インターネットやSNSなどを利用する際のルールやマナーを守る習慣を身に付けさせましょう。
スマートフォン等の利用状況については、こどもと折に触れて話し合い、問題がないか確認してください。万が一、トラブルが生じたときには、こどもが一人で抱え込まず、すぐに保護者に相談するよう、普段からこどもと話しておきましょう。

ルール作り
- 名前や顔写真、学校名などは書き込まない。
- 友達にメールやメッセージのやり取りを強要しない。
- 利用する場所や時間を決める。
- パスワードは親が管理する。
- トラブルの時はすぐに保護者に相談する。
(取材協力:内閣府 文責:政府広報オンライン)
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