美容医療サービスの消費者トラブル サービスを受ける前に確認したいポイント
「キレイになりたい」「かわいくなりたい」――そう思って受けたはずの「美容医療サービス」で、20代から30代の女性を中心に幅広い世代でトラブルが発生しています。また、美容医療サービスの施術には、少なからず身体的なリスクが伴い、予想外の腫れや痛みなどのトラブルが複数みられます。そこで、美容医療サービスを受ける前にチェックしたい主な2つのポイントを、ぜひ知ってください。
1美容医療サービスに関するトラブルってどんなもの?
全国の消費生活センターに寄せられる美容医療サービス(注1)に関する相談は、これまで2,000件程度で推移してきましたが、近年は増加傾向にあり、令和4年度(2022年度)は3,700件を超えています。
医療脱毛等で身近になりつつある美容医療サービスですが、寄せられるトラブルの中には契約内容や解約条件等に関するトラブルや、施術により、やけどや傷が生じる危害も一定数発生しており、注意が必要です。美容医療サービスを受ける前にチェックしたい=大事なポイントをぜひ知ってください。
※資料:国民生活センター PIO-NETに登録された「美容医療」に関する消費生活相談情報
(令和5年(2023年)9月30日現在(消費生活センター等からの経由相談の件数は除きます))
(注1)美容医療サービスとは、医師による医療のうち、「専ら美容の向上を目的として行われる医療サービス」を指し、医療脱毛、脂肪吸引、豊胸手術、二重まぶた手術、包茎手術、審美歯科等が主な施術(医学的処置、手術及びその他の治療)とします。
最近の事例
美容医療サービスに関する相談
- 美容クリニックで顔のシミ取りレーザー治療を体験で受けた後、モニターになれば安くなると勧誘され10回コースの契約をしたが説明に不審な点がある。解約したい。
- 二重まぶた手術の相談に行き、当日中の手術を強く勧められて手術を受けたが、金額や仕上がりに納得がいかない。一部でよいので返金してほしい。
- インターネットで見つけたクリニックに出向き、説明を受けた当日に包茎治療の手術を受けた。高額すぎるので減額してほしい。
- インターネットで検索した美容クリニックで「効果がある」と言われ植毛手術を受けたが、ほとんど毛が生えていない。全額返金してほしい。
- 鼻筋を良くする手術を受けたが、医療用で安全だと言われて挿入した樹脂のリスクを説明されていなかったことが後から分かった。返金してほしい。
美容医療サービスに関する相談のうち、危害に関する相談
- 美容外科でボトックス注射をした額の腫れが引かない。別の病院を受診したいが、施術した美容外科がカルテの開示請求に応じない。
- 毛穴とニキビ跡の悩みがあり美容皮膚科で施術を受けたが、顔が赤く腫れた。痛くて耐えられないのでやめたいが、解約可能か。
- 美容外科クリニックで顔のリフトアップ手術と二重まぶた手術を受けたが、顔全体が内出血をおこし腫れが引かず仕事に支障が出た。二重まぶた手術も糸がはみ出したままだが、医師は「失敗ではない」と言う。返金してほしい。
- 医療レーザー脱毛で襟足にやけどの跡が残り腫れて皮膚から膿が出た。クリニックに治療費などを請求できるか。
- 美容外科で頬のたるみ解消の施術を受けたときに、右頬に細かい傷がついたので苦情を伝えたが、認めてもらえない。傷を治してほしい。
※「最近の事例」は、相談者の申し出内容をもとにまとめたものです。
2サービスを受ける前の注意点は?
美容医療などの施術を受ける場合は、医師から効果やリスクなどの十分な説明を受けた上で、落ち着いてよく考えてから施術を受けるか決めましょう!
美容医療サービスを受けるに当たってのチェックポイント
Check1 医師の説明を「十分に」理解できましたか?
- 施術の効果、想定される副作用や合併症
- 薬や材料、機器などの安全性・有効性
- 他の施術方法(選択肢)の有無
- 施術の費用(保険適用の有無)、回数
- 解約条件などの契約内容
施術の内容や契約について十分に説明を受け、納得をした上で施術を受けましょう!
Check2 その施術は、「今すぐ」必要な施術ですか?
- 「今すぐ契約すれば安くなる」など、即日の施術や契約を強引に勧められた。
- 希望していない施術をしつこく勧められた。
美容目的の施術は、多くの場合、緊急性が低いと考えられます。冷静に考えましょう!
3トラブルに遭ったときの相談先は?
一定の美容医療サービス(注2)のうち、サービスの提供期間が1か月を超え、かつ支払総額が5万円を超えるものは、平成29年(2017年)12月1日から特定商取引法において規定する特定継続的役務提供の対象となりました。このようなサービスについては、法定の契約書面を受け取った日を1日目として8日間は無条件で契約の解除(クーリング・オフ)を行うことができるとともに、クーリング・オフ期間の経過後であっても、残りの契約について中途解約を行うことができます。
なお、いわゆる「エステティック」(エステティシャン等が行う、美容医療に該当しない役務)の提供期間が1か月を超え、かつ支払総額が5万円を超えるものも特定継続的役務提供の対象であり、同様にクーリング・オフや中途解約などが可能です。
(注2)一定の美容医療サービスとは、脱毛、にきび・しみ・そばかす・ほくろ等の除去、肌のしわ・たるみ取り、脂肪の溶解、歯のホワイトニング等について、特定商取引法施行規則で定める方法(例えば、光の照射、薬剤の注射など)によるものとします。
万一、美容医療サービスをめぐるトラブルに遭ったときは、一人で悩まず、早めに最寄りの消費生活センターなどに相談しましょう。
相談窓口
※お近くの消費生活相談窓口をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
土日祝日についても、市区町村や都道府県の消費生活センター等が開所していない場合には、国民生活センターで相談を受け付けるなど、年末年始(12月29日から1月3日)を除いて原則毎日ご利用いただけます。
※医療に関する苦情・心配などのご相談については、医療安全支援センター総合支援事業ホームページに、全国の医療安全支援センターの連絡先が掲載されています。
※医療に関する広告のご相談については、医療機関を所管する地方自治体の窓口にご連絡をお願いします。
(取材協力 消費者庁、厚生労働省 文責 政府広報オンライン)