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令和元年(2019年)7月2日

不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルに遭ったら
「消費者団体訴訟制度」の活用を!

不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルが後を絶ちません。こうした消費者トラブルの未然防止・拡大防止及び被害回復を図る制度があることをご存じでしょうか。
その制度が「消費者団体訴訟制度」です。そこで、今回はこの「消費者団体訴訟制度」の内容や具体的事例について分かりやすくご紹介します。

1.「消費者団体訴訟制度」とは?

「差止請求」と「被害回復」の2つの制度

「消費者団体訴訟制度」とは、内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者に代わって事業者に対して訴訟などをすることができる制度をいいます。

民事訴訟の原則的な考え方では、被害者である消費者が、加害者である事業者を訴えることになりますが、(1)消費者と事業者との間には情報の質・量・交渉力の格差があること、(2)訴訟には時間・費用・労力がかかり、少額被害の回復に見合わないこと、(3)個別のトラブルが回復されても、同種のトラブルがなくなるわけではないこと、などから、内閣総理大臣が認定した消費者団体に特別な権限を付与したものです。

具体的には、平成19年6月7日から施行されている「差止請求」と、平成28年10月1日から施行されている「被害回復」との2つの制度からなっています。

なお、不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルに遭ったときは、まずは各地の消費生活センターにご相談ください。消費者ホットライン「188」番で身近な消費生活センターや相談窓口をご案内しています。

2.「差止請求」って?

事業者の不当な行為に対して、適格消費者団体が差止めを求めることができる制度

事業者の不当な行為に対して、内閣総理大臣が認定した適格消費者団体が、不特定多数の消費者の利益を擁護するために、差止めを求めることができる制度です。

差止請求の流れ

大まかな手続の流れは以下のとおりです。
(1)消費者からの情報提供などにより被害情報を収集・分析・調査
(2)事業者に対し、業務改善を申し入れ(裁判外の交渉)
(3)(交渉不成立の場合)事業者に対し、提訴前の書面による事前請求
(4)(交渉成立の場合)事業者による業務改善
(5)適格消費者団体による裁判所への訴え提起
(6)判決、または裁判上の和解
(7)結果の概要について、消費者庁のウェブサイトなどで公表

差止請求の対象

「消費者契約法」(※)「景品表示法」「特定商取引法」「食品表示法」に違反する不当な行為です。具体的には、「不当な勧誘」「不当な契約条項」「不当な表示」などがあります。以下にいくつかの事例を紹介します。

※:消費者契約法が改正され、下記(*1~9)の類型も差止請求の対象(令和元年6月15日施行)

(1)不当な勧誘

  • 「不実告知(ふじつこくち)」
    重要事項について事実と違うことを言う
  • <例>「この機械を付ければ電気代が安くなる」と勧誘し、実際にはそのような効果のない機械を販売。

  • 「断定的判断の提供」
    将来の変動が不確実な事項について確実であると言う
  • <例>将来値上がりすることが確実ではない金融商品を「確実に値上がりする」と説明して販売。

  • 「不利益事実の不告知」
    利益になることだけを伝え、重要事項について不利益なことは故意または重大な過失(*1)によって教えない
    *1:故意に告げなかった場合だけでなく、重大な過失によって告げなかった場合を対象に追加
  • <例>眺望・日照を阻害する隣接マンションの建設計画があることを知りながら、そのことを説明せずに「眺望・日照良好」と説明してマンションを販売。

  • 「不退去」
    帰ってほしいと言ったのに帰らない
  • <例>消費者の自宅において、何度も帰ってほしいと言っているのに勧誘を続けて販売。

  • 「退去妨害」
    帰りたいと言ったのに帰さない
  • <例>販売店において、消費者が何度も帰りたいと言っているのに勧誘を続けて販売。

  • 「不安をあおる告知」(*2)
    社会生活上の経験が乏しいことにより、願望の実現に大きな不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、契約が必要と言う
  • <例>就職活動中の学生に対して「このままではどこにも就職できない。」と言って不安をあおり、高額な就職セミナーの契約をさせる。

  • 「好意の感情の不当な利用」(*3)
    社会生活上の経験が乏しいことにより、勧誘者も同様に好意を抱いていると信じ込んでいることを知りながら、契約しなければ関係が破綻すると言う
  • <例>好意を寄せているふりをして、特定のお店などで「この商品を買ってくれないと関係を続けられない」と言って高額な商品を購入させる。

  • 「判断力の低下の不当な利用」(*4)
    加齢または心身の故障により 判断力が著しく低下していることから、現在の生活の維持に大きな不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、契約が必要と言う
  • <例>加齢により判断力が著しく低下した消費者に対して「このままだと定期収入がないのでお金がなくなり、生活ができなくなる」と言って不安をあおり、投資用マンションを購入させる。

  • 「霊感等による知見を用いた告知」(*5)
    特別な能力により、そのままでは重大な不利益が生じることを示して不安をあおり、契約すればこれを回避できると言う
  • <例>「私は霊が見える。あなたには悪霊がついていて、このままでは病状が悪化する。この数珠を買えば悪霊が去る」と言って勧誘。

  • 「契約締結前に債務の内容を実施等」(*6)
    契約締結前に、契約内容の一部または全部を実施し、実施前の状態に戻すことを著しく困難にし、契約させる等
  • <例>注文を受ける前に、消費者宅の物干し台の寸法に合わせてさお竹を切断し、代金を請求する。

  • 「過量契約」
    通常必要とされる商品の量やサービスの回数などを著しく超えると知りながら販売する
  • <例>一人暮らしであまり外出せず、普段着物を着用することもない消費者に対して、そのことを知りながら勧誘し、着物を何十着も販売。

(2)不当な契約条項

  • 「事業者は責任を負わないとする条項」
    損害賠償責任の全部を免除する条項や、事業者の故意または重過失による場合に損害賠償責任の一部を免除する条項
  • <例>「当社のコンピューターシステム、ソフトウェアの故障、誤作動により生じた障害については、当社は免責されるものとする」という条項

    <例>「当社が過失のあることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負うものとします」という条項(*7)

    *7:事業者が責任の有無や限度を自ら決定する条項を対象に追加

  • 「どんな理由でもキャンセルできないとする条項」
    消費者の解除権を放棄させる条項
  • <例>販売した商品については、いかなる理由があっても、契約後のキャンセル・返品はできないとする条項

    <例>「お客様は、当社に過失があると当社が認める場合を除き、注文のキャンセルはできません」という条項(*8)

    *8:事業者が消費者の解除権の有無を自ら決定する条項を対象に追加

  • 「消費者の後見等を理由とする解除条項」(*9)
    事業者に対し、消費者が後見開始等の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する条項
  • <例>マンションの賃貸借契約における「賃借人が後見開始の審判を受けたときは、賃貸人は直ちに本契約を解除できる」という条項

  • 「消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等」
    契約の解除に伴う平均的な損害額を超えるキャンセル料や、年利14.6%を超える遅延損害金を定める条項
  • <例>結婚式場の契約における「実際の使用日の1年以上前にキャンセルする場合には契約金額の80%を解約料として支払う」という条項

(3)不当な表示

  • ダイエット食品の広告に、効能の実証データも根拠もない利用者の体験談をねつ造して「食べてもやせられる!」と表示(優良誤認表示)
  • 常に同じ価格で販売している商品を「今なら半額!」と表示(有利誤認表示)

(4)(1)~(3)以外

  • 「クーリング・オフはできない」と言って、申込みの撤回・契約の解除をみとめない訪問販売
  • 「申し込むまで毎日電話するぞ!!」と脅迫めいた勧誘をする電話勧誘販売
    などの特定の取引
  • 販売の用に供する食品の名称、消費期限または原産地などについて著しく事実に相違する食品の表示など

差止請求の成果

例えば以下のようなものがあります。

(1)自動車販売・買取事業者のキャンセル料の割合を是正
キャンセルした時期などを一切考慮せず、一律にキャンセル料の支払いを要求する条項について差止請求訴訟を行った結果、事業者側が裁判で以下のとおり請求の全てを認めました。

  • 自動車売買契約に関し、上記のような条項を含む意思表示はしない。
  • 上記のような条項が記載された契約された契約書を直ちに破棄。
  • 従業員に対し、以上の旨などを記載した書面を配布。

(2)投資事業者の不当な勧誘を是正
事業者の不当な勧誘について差止請求訴訟を行った結果、裁判所がその請求を認める判決を出しました。

  • 株式の客観的価値と著しく異なる価値を告知。
  • 未登録の事業者である旨を告げず、株式購入を勧誘。
  • 株式を買い取る具体的予定がないのに、第三者をして、買い取る旨を告げさせる。

以上のような問題勧誘について、「今後、行ってはならない」という判決が事業者に対し言い渡されました。

3.「適格消費者団体」とは?

内閣総理大臣によって認定された消費者団体。全国に21団体(令和元年6月現在)

不特定多数の消費者の利益を擁護するために、差止請求権を適切に行使できる専門性などの要件を満たしたうえで、内閣総理大臣によって認定された消費者団体を「適格消費者団体」といいます。

【適格消費者団体に認定されるための主な要件】

  • 特定非営利活動法人(NPO)または一般社団法人もしくは一般財団法人であること
  • 不特定多数の消費者の利益擁護のための活動を主たる目的として、相当期間にわたり継続して適正に行っていること
  • 組織体制や業務規程を適切に整備していること
  • 消費生活及び法律の専門家を確保していること
  • 経理的な基礎を有すること など

【適格消費者団体一覧】(令和元年6月現在)

(団体名をクリックすると、その団体のウェブサイトへ飛びます。)
詳しくは、消費者庁「全国の適格消費者団体一覧」をご覧ください。

不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルに遭ったら、まずは各地の消費生活センターにご相談ください。消費者ホットライン「188」番で身近な消費生活センターや相談窓口をご案内しています。
また、同種の消費者トラブルの未然防止・拡大防止を図るために、これらの適格消費者団体にその情報提供をお願いします。

4.「被害回復」って?

不当な事業者に対して、特定適格消費者団体が被害の回復を求めることができる制度

不当な事業者に対して、適格消費者団体の中から内閣総理大臣が新たに認定した特定適格消費者団体が、消費者に代わって被害の集団的な回復を求めることができる制度です。

以下は不当な勧誘や契約条項により消費者トラブルに遭ったときの消費者の対応を示したものです。「相談はしたが特に行動はとらなかった」が最も多いのに対して、「弁護士・司法書士や相談機関などに交渉を依頼した」、「訴訟を提起した」は少なく、泣き寝入りする人が多いことがうかがえます。

そこで、差止請求の制度を一歩進めて、被害者である消費者の金銭的な被害の回復を図るために、新しい法律の「消費者裁判手続特例法(正式名称:消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例法)」が平成25年12月11日に公布され、被害回復の制度が平成28年10月1日から施行されています。

(出典)消費者庁「消費者被害についての意識調査」(平成23年1月実施)

【被害回復の流れ】
大まかな手続の流れは以下のとおりです。

(1)第1段階

  • 適格消費者団体の中から新たに認定を受ける「特定適格消費者団体」が、事業者側の責任確定のために提訴

(2)第2段階(勝訴判決や和解によって、事業者側の責任が確定した場合)

  • 特定適格消費者団体が裁判所に個別の消費者の債権を確定するための手続に入ることの申立て
  • 特定適格消費者団体から対象となる消費者へ情報提供
  • 消費者が特定適格消費者団体に依頼(授権)
  • 特定適格消費者団体は依頼(授権)のあった消費者の債権を集約して裁判所に届出
  • 裁判をせずに、事業者と特定適格消費者団体(消費者)間の協議による決着も可能だが、決着が付かない場合は裁判所が簡易な手続のもとで決定を行う(簡易確定決定)
  • 簡易確定決定に異議がある場合は、通常の訴訟手続へ移行
  • 協議内容や簡易確定決定に従い、届出を行った消費者に対して事業者が金銭を支払う(支払わない場合には強制執行も可)

【被害回復の対象】
事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって、消費者契約に関する「契約上の債務の履行の請求」「不当利得に係る請求」「契約上の債務の不履行による損害賠償の請求」「瑕疵担保責任に基づく損害賠償の請求」が対象となります。想定される事例としては、「事業者が返還すべき金銭を不当に支払わない場合」「約款等で使用されている契約条項」「物に瑕疵(かし)がある場合」「詐欺的な悪徳商法」があります。以下にいくつかの裁判となった事例を紹介します。

  • ゴルフ会員権の預り金返還
    理事会の議決により預り金の据置期間が延長され、返還を拒絶された。
  • 学納金返還
    入学を辞退し、前払授業料の返還を求めたが、不返還特約を理由に拒絶された。
  • マンションの耐震基準
    分譲マンションを購入したが、当該マンションは耐震基準を満たしていなかった。
  • 詐欺的未公開株取引
    だまされて、経営実態のない会社の未公開株を購入させられた。

【被害回復の効果】
消費者は、第1段階の手続の結果を踏まえて、最終的に裁判に勝てるか否かの見通しをある程度立てたうえで、第2段階の手続への加入の有無を決めることができるため、泣き寝入りの減少が見込まれます。

また、消費者が個々に訴訟を起こす場合に比べて時間・費用・労力が大幅に軽減することも期待されます。

5.「特定適格消費者団体」とは?

内閣総理大臣によって認定された適格消費者団体。全国に3団体(平成30年4月現在)

適格消費者団体になるための要件に加え、被害回復を適切に行うことができる新たな要件を満たしたうえで、内閣総理大臣によって認定された適格消費者団体を「特定適格消費者団体」といいます。

【特定適格消費者団体に認定されるための主な要件】

  • 差止請求関係業務を相当期間にわたり継続して適正に行っていること
  • 組織体制や経理的基礎を適切に整備していること
  • 理事に弁護士を選任していること   など

【特定適格消費者団体一覧】(平成30年4月現在)

(団体名をクリックすると、その団体のウェブサイトへ飛びます。)
詳しくは、消費者庁「全国の特定適格消費者団体一覧」をご覧ください。

不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルに遭ったら、まずは各地の消費生活センターにご相談ください。消費者ホットライン「188」番で身近な消費生活センターや相談窓口をご案内しています。
また、同種の消費者トラブルの被害回復を図るために、特定適格消費者団体にその情報提供をお願いします。

<取材協力:消費者庁/国民生活センター 文責:政府広報オンライン>

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