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消費者団体訴訟制度
不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルに遭ったら活用を!

令和4年(2022年)10月13日

不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルが後を絶ちません。こうした消費者トラブルの未然防止・拡大防止及び被害回復を図る制度があることをご存じでしょうか。
その制度が「消費者団体訴訟制度」です。そこで、今回はこの「消費者団体訴訟制度」の内容や具体的事例について分かりやすくご紹介します。

1「消費者団体訴訟制度」とは?

「消費者団体訴訟制度」とは、内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者に代わって事業者に対して訴訟などをすることができる制度をいいます。
民事訴訟の原則的な考え方では、被害者である消費者が、加害者である事業者を訴えることになりますが、(1)消費者と事業者との間には情報の質・量・交渉力の格差があること、(2)訴訟には時間・費用・労力がかかり、少額被害の回復に見合わないこと、(3)個別のトラブルが回復されても、同種のトラブルがなくなるわけではないこと、などから、内閣総理大臣が認定した消費者団体に特別な権限を付与したものです。
具体的には、平成19年6月7日から施行されている「差止請求」と、平成28年10月1日から施行されている「被害回復」との2つの制度からなっています。
なお、不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルに遭ったときは、まずは各地の消費生活センターにご相談ください。消費者ホットライン「188」番で身近な消費生活センターや相談窓口をご案内しています。

2「差止請求」って?

事業者の不当な行為に対して、内閣総理大臣が認定した適格消費者団体が、不特定多数の消費者の利益を擁護するために、差止めを求めることができる制度です。

差止請求の流れ

大まかな手続の流れは以下のとおりです。

(1)消費者からの情報提供などにより被害情報を収集・分析・調査
(2)事業者に対し、業務改善を申し入れ(裁判外の交渉)
(3)団体と事業者で協議
(4)(交渉成立の場合)事業者による業務改善
(5)(交渉不成立の場合)事業者に対し、提訴前の書面による事前請求をした上、裁判所へ訴え提起
(6)判決、または裁判上の和解
(7)結果の概要について、消費者庁のウェブサイトなどで公表

差止請求の対象

「消費者契約法」(※)「景品表示法」「特定商取引法」「食品表示法」に違反する不当な行為です。具体的には、「不当な勧誘」「不当な契約条項」「不当な表示」などがあります。以下にいくつかの事例を紹介します。
※:消費者契約法が改正され、下記(*1~4)の類型も差止請求の対象(令和5年6月1日施行)

(1)不当な勧誘

「不実告知(ふじつこくち)」
重要事項について事実と違うことを言う
(例)「この機械を付ければ電気代が安くなる」と勧誘し、実際にはそのような効果のない機械を販売。
「断定的判断の提供」
将来の変動が不確実な事項について確実であると言う
(例)将来値上がりすることが確実ではない金融商品を「確実に値上がりする」と説明して販売。
「不利益事実の不告知」
利益になることだけを伝え、重要事項について不利益なことを故意または重大な過失によって教えない
(例)眺望・日照を阻害する隣接マンションの建設計画があることを知りながら、そのことを説明せずに「眺望・日照良好」と説明してマンションを販売。
「不退去」
帰ってほしいと言ったのに帰らない
(例)消費者の自宅において、何度も帰ってほしいと言っているのに勧誘を続けて販売。
「退去妨害」
帰りたいと言ったのに帰さない
(例)販売店において、消費者が何度も帰りたいと言っているのに勧誘を続けて販売。
「退去困難な場所へ同行されての勧誘」(*1)
事業者が、勧誘することを告げずに、消費者を任意に退去することが困難な場所に同行し、その場所において勧誘をした場合
(例)「景色を見に行こう」と事業者に誘われ、交通の便の悪い山奥に一緒に行ったところ、行った先で儲け話の勧誘を受けた。
「威迫による相談妨害」(*2)
事業者が、威迫する言動を交えて、消費者が契約を締結するかどうかについて第三者に相談の連絡を行うことを妨げた場合
(例)契約するかどうか親に電話で相談して決めたいと事業者に言ったところ、「もう大人なんだから自分で決めないとだめだ」と迫られ相談させてもらえなかった。
「不安をあおる告知」
社会生活上の経験が乏しいことにより、願望の実現に大きな不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、契約が必要と言う
(例)就職活動中の学生に対して「このままではどこにも就職できない。」と言って不安をあおり、高額な就職セミナーの契約をさせる。
「好意の感情の不当な利用」
社会生活上の経験が乏しいことにより、勧誘者も同様に好意を抱いていると信じ込んでいることを知りながら、契約しなければ関係が破綻すると言う
(例)好意を寄せているふりをして、特定のお店などで「この商品を買ってくれないと関係を続けられない」と言って高額な商品を購入させる。
「判断力の低下の不当な利用」
加齢または心身の故障により 判断力が著しく低下していることから、現在の生活の維持に大きな不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、契約が必要と言う
(例)加齢により判断力が著しく低下した消費者に対して「このままだと定期収入がないのでお金がなくなり、生活ができなくなる」と言って不安をあおり、投資用マンションを購入させる。
「霊感等による知見を用いた告知」
特別な能力により、そのままでは重大な不利益が生じることを示して不安をあおり、契約すればこれを回避できると言う
(例)「私は霊が見える。あなたには悪霊がついていて、このままでは病状が悪化する。この数珠を買えば悪霊が去る」と言って勧誘。
「契約締結前に債務の内容を実施等」
契約締結前に、契約による義務の全部若しくは一部を実施し、又は契約の目的物の現状を変更し、実施又は変更前の状態に戻すことを著しく困難にし、契約させる等(*3)
*3:事業者が契約締結前に契約の目的物を変更し、原状の回復を著しく困難にした場合も対象に追加
(例)注文を受ける前に、消費者宅の物干し台の寸法に合わせてさお竹を切断し、代金を請求する。
(例)不用品買取りのために訪問した事業者に指輪やネックレスを見せたところ、切断しないと十分な査定ができないとして全て切断され、売らざるを得なくなってしまった。
「過量契約」
通常必要とされる商品の量やサービスの回数などを著しく超えると知りながら販売する
(例)一人暮らしであまり外出せず、普段着物を着用することもない消費者に対して、そのことを知りながら勧誘し、着物を何十着も販売。

(2)不当な契約条項

「事業者は責任を負わないとする条項」
損害賠償責任の全部を免除する条項や、事業者の故意または重過失による場合に損害賠償責任の一部を免除する条項
(例)「当社のコンピューターシステム、ソフトウェアの故障、誤作動により生じた障害については、当社は免責されるものとする」という条項
(例)「当社が過失のあることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負うものとします」という条項
「事業者の損害賠償責任の一部を免除する条項で、免責の範囲が不明確なもの」(*4)
事業者に軽過失がある場合にのみ損害賠償責任の一部が免責されることを明らかにしていない条項
(例)「当社は、法律上許される限り、1万円を限度として損害賠償責任を負います」という条項
「どんな理由でもキャンセルできないとする条項」
消費者の解除権を放棄させる条項
(例)販売した商品については、いかなる理由があっても、契約後のキャンセル・返品はできないとする条項
(例)「お客様は、当社に過失があると当社が認める場合を除き、注文のキャンセルはできません」という条項
「消費者の後見等を理由とする解除条項」
事業者に対し、消費者が後見開始等の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する条項
(例)マンションの賃貸借契約における「賃借人が後見開始の審判を受けたときは、賃貸人は直ちに本契約を解除できる」という条項
「消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等」
契約の解除に伴う平均的な損害額を超えるキャンセル料や、年利14.6%を超える遅延損害金を定める条項
<例>結婚式場の契約における「実際の使用日の1年以上前にキャンセルする場合には契約金額の80%を解約料として支払う」という条項

(3)不当な表示

  • ダイエット食品の広告に、効能の実証データも根拠もない利用者の体験談をねつ造して「食べてもやせられる!」と表示(優良誤認表示)
  • 常に同じ価格で販売している商品を「今なら半額!」と表示(有利誤認表示)

(4) (1)~(3)以外

  • 「クーリング・オフはできない」と言って、申込みの撤回・契約の解除をみとめない訪問販売
  • 「申し込むまで毎日電話するぞ!!」と脅迫めいた勧誘をする電話勧誘販売などの特定の取引
  • 販売の用に供する食品の名称、消費期限または原産地などについて著しく事実に相違する食品の表示など

差止請求の成果

例えば以下のようなものがあります。

(1)オンラインゲームを含むポータルサイトの会員規約上の免責条項を是正
ポータルサイトを運営する事業者の会員規約における、当該事業者の措置(利用停止措置や会員資格取消措置を含む)により会員に損害が生じても、当該事業者は一切損害を賠償しないとする条項等について適格消費者団体が差止請求訴訟を行った結果、裁判所が請求を認める判決を出しました。

(2)投資事業者の不当な勧誘を是正
適格消費者団体が事業者の不当な勧誘について差止請求訴訟を行った結果、裁判所がその請求を認める判決を出しました。

  • 株式の客観的価値と著しく異なる価値を告知。
  • 未登録の事業者である旨を告げず、株式購入を勧誘。
  • 株式を買い取る具体的予定がないのに、第三者をして、買い取る旨を告げさせる。

以上のような問題勧誘について、「今後、行ってはならない」という判決が事業者に対し言い渡されました。

3「適格消費者団体」とは?

不特定多数の消費者の利益を擁護するために、差止請求権を適切に行使できる専門性などの要件を満たしたうえで、内閣総理大臣によって認定された消費者団体を「適格消費者団体」といいます。

適格消費者団体に認定されるための主な要件

  • 特定非営利活動法人(NPO)または一般社団法人もしくは一般財団法人であること
  • 不特定多数の消費者の利益擁護のための活動を主たる目的として、相当期間にわたり継続して適正に行っていること
  • 組織体制や業務規程を適切に整備していること
  • 消費生活及び法律の専門家を確保していること
  • 経理的な基礎を有すること など

適格消費者団体一覧(令和4年7月現在)

(団体名をクリックすると、その団体のウェブサイトへ飛びます。)

詳しくは、消費者庁「全国の適格消費者団体一覧」をご覧ください。
不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルに遭ったら、まずは各地の消費生活センターにご相談ください。消費者ホットライン「188」番で身近な消費生活センターや相談窓口をご案内しています。
また、同種の消費者トラブルの未然防止・拡大防止を図るために、これらの適格消費者団体にその情報提供をお願いします。

4「被害回復」って?

不当な事業者に対して、適格消費者団体の中からさらに内閣総理大臣が認定した特定適格消費者団体が、消費者に代わって被害の集団的な回復を求めることができる制度です。
不当な勧誘や契約条項により消費者トラブルに遭ったときの消費者の対応としては、相談はするものの特に行動はとらない場合が多く、弁護士・司法書士や相談機関などに交渉を依頼するといったことや訴訟を提起するといった行動は少なく、泣き寝入りする人が多いと考えられます。
そこで、差止請求の制度を一歩進めて、被害者である消費者の金銭的な被害の回復を図るために、新しい法律の「消費者裁判手続特例法(正式名称:消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例法)」が平成25年12月11日に公布され、被害回復の制度が平成28年10月1日から施行されています。
その後、令和4年に、同法について、制度の対象範囲の拡大、和解の早期柔軟化、消費者に対する情報提供方法の充実、特定適格消費者団体を支援する法人(消費者団体訴訟等支援法人)の認定制度の導入等を内容とする改正がなされました。改正法は、公布の日(令和4年6月1日)から1年半を超えない範囲で政令で定める日から施行されます。

被害回復の流れ

大まかな手続の流れは以下のとおりです。

(1)第1段階
適格消費者団体の中から新たに認定を受ける「特定適格消費者団体」が、事業者側の責任確定のために提訴

    (2)第2段階(勝訴判決や和解によって、事業者側の責任が確定した場合)
  1. 特定適格消費者団体が裁判所に個別の消費者の債権を確定するための手続に入ることの申立て
    ※令和4年改正法の施行後は、第1段階での和解が柔軟化されたことに伴い、第2段階の手続に進むことなく和解内容に則って被害回復が図られることも可能となります(改正法の施行日は、公布の日(令和4年6月1日)から1年半を超えない範囲で政令で定める日)。
  2. 特定適格消費者団体から対象となる消費者へ情報提供
  3. 消費者が特定適格消費者団体に依頼(授権)
  4. 特定適格消費者団体は依頼(授権)のあった消費者の債権を集約して裁判所に届出
  5. 裁判をせずに、事業者と特定適格消費者団体(消費者)間の協議による決着も可能だが、決着が付かない場合は裁判所が簡易な手続のもとで決定を行う(簡易確定決定)
  6. 簡易確定決定に異議がある場合は、通常の訴訟手続へ移行
  7. 協議内容や簡易確定決定に従い、届出を行った消費者に対して事業者が金銭を支払う(支払わない場合には強制執行も可)

被害回復の対象

事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって、消費者契約に関する「契約上の債務の履行の請求」「不当利得に係る請求」「契約上の債務の不履行による損害賠償の請求」「不法行為に基づく損害賠償の請求」が対象となります。
このうち、損害賠償請求において、いわゆる拡大損害、人身損害、逸失利益、慰謝料は対象となりません。ただし、令和4年改正法の施行後は、一定の慰謝料が対象になります。
また、対象となる被告は基本的には「事業者」ですが、令和4年改正法の施行後は悪質商法に関与した個人(所定の要件に該当する事業監督者・被用者)が対象となります(改正法の施行日は、公布の日(令和4年6月1日)から1年半を超えない範囲で政令で定める日)。
想定される事例としては、例えば、「事業者が返還すべき金銭を不当に支払わない場合」「約款等で使用されている契約条項」「物に瑕疵(かし)がある場合」「詐欺的な悪徳商法」があります。以下にいくつかの裁判となった事例を紹介します。

大学入試での得点調整事案

出願者への事前の説明なく、出願者の属性を不利に扱う得点調整を行ったとして、一定の出願者を対象消費者として提訴された事案。

給与ファクタリング事案

実質的にみて出資法の規制を超える利息で貸金業を営んだとして、被告事業者との間で契約を締結し、金銭の支払をした一定の消費者を対象消費者として提訴された事案。

被害回復の効果

消費者は、第1段階の手続の結果を踏まえて、最終的に裁判に勝てるか否かの見通しをある程度立てたうえで、第2段階の手続への加入の有無を決めることができるため、泣き寝入りの減少が見込まれます。
また、消費者が個々に訴訟を起こす場合に比べて時間・費用・労力が大幅に軽減することも期待されます。

5「特定適格消費者団体」とは?

適格消費者団体になるための要件に加え、被害回復を適切に行うことができる新たな要件を満たしたうえで、内閣総理大臣によって認定された適格消費者団体を「特定適格消費者団体」といいます。

特定適格消費者団体に認定されるための主な要件

差止請求関係業務を相当期間にわたり継続して適正に行っていること
組織体制や経理的基礎を適切に整備していること
理事に弁護士を選任していること   など

特定適格消費者団体一覧(令和4年7月現在)

(団体名をクリックすると、その団体のウェブサイトへ飛びます。)

詳しくは、消費者庁「全国の特定適格消費者団体一覧」をご覧ください。
不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルに遭ったら、まずは各地の消費生活センターにご相談ください。消費者ホットライン「188」番で身近な消費生活センターや相談窓口をご案内しています。
また、同種の消費者トラブルの被害回復を図るために、特定適格消費者団体にその情報提供をお願いします。

(取材協力:消費者庁、(独)国民生活センター 文責:政府広報オンライン)

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