毎日の「移動」を「エコ」に! smart move(スマートムーブ)に取り組んでみませんか?

シェアする

地球温暖化の要因となっているCO2(二酸化炭素)。中でも、私たちの家庭から排出されるCO2量は年々増加傾向にあり、そのうち、通勤・通学・買い物・旅行といった「移動」に伴う排出量が約2割を占めています(1世帯当たりの割合)。こうした状況において、普段から利用している様々な移動手段を工夫してCO2排出量を削減しようという取組「スマートムーブ」が全国各地に広がっています。CO2を減らすだけでなく、体を動かすことで健康や快適さにもつながる「スマートムーブ」。皆さんも始めてみませんか。

1「スマートムーブ」って?日常生活の様々な移動手段を工夫し、CO2排出量を削減しようという取組

我が国におけるCO2排出量のうち、全体でのCO2排出削減が進む中でも、家庭部門からの排出量は増大しています。
中でも「自動車」からの排出量は、1世帯当たりで見ると「照明・家電製品など」に次いで2番目に多く、全体の2割を占めています(グラフ参照)。そのため、この自動車という「移動」手段を見直すことは、CO2排出抑制・地球温暖化対策に大きな意味があるのです。

グラフ:家庭からの二酸化炭素排出量(世帯当たり・用途別内訳)

(出典:温室効果ガスインベントリオフィス/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト資料をもとに作成

(画像:環境省)

そこで環境省では、CO2排出の少ない移動にチャレンジしてもらうため、“「移動」を「エコに」”を合言葉に、エコで賢い移動方法を選択するライフスタイルを「smart move(スマートムーブ)」と名付け、その取組を推奨しています。

「スマートムーブ」が推進する5つの取組

  • 公共交通機関の利用
  • 自転車、徒歩での移動
  • 自動車の利用を工夫
  • 長距離移動の工夫
  • 移動・交通におけるCO2削減の取組に参加

(画像:政府広報オンラインより引用)

2どんなメリットがあるの?CO2を減らして地球温暖化対策に貢献。徒歩や自転車の移動で健康づくりにも効果的

「スマートムーブ」の実践はCO2排出の抑制だけでなく、自身の健康づくりにも効果的です。さらに、これまでとは違う移動方法によって、街中のちょっとした自然や新しいお店・道など、今まで気付かなかった様々な楽しみが発見できるかもしれません。

メリット1 環境にいい

1km移動する際の1人当たりのCO2排出量は、移動手段によって異なります(グラフ参照)。CO2の排出など環境への負荷を考慮して、例えば、公共交通機関が発達している地域では公共交通機関や徒歩の積極的な利用、そうでない地域では自動車の利用方法を工夫するなど、様々な手段から最適な移動方法を見つけてみませんか。

<グラフ>1人が1㎞移動する際の、輸送手段別の二酸化炭素排出量

(出典:国土交通省「輸送量あたりの二酸化炭素の排出量(旅客)」

メリット2 カラダにいい

普段の生活や旅行先での移動手段を徒歩や自転車に替えれば、自身の健康づくりにつながるだけでなく、自動車での移動では気付かないような景色や、仲間と一緒に運動を楽しむ、といった新たな発見ができるかもしれません。

メリット3 快適・便利

渋滞に巻き込まれたり空いている駐車場を探したりして、予想以上に時間がかかることもある自動車に比べて、公共交通機関での移動は目的地への到着時間が計算しやすく、予定がたてやすいという利点があります。
また、近距離移動の際も、公共交通機関や自転車などのほうが意外に早くて快適だったりして、これまで気付かなかった便利さに気付くことも。

3何をすればいいの?徒歩や自転車、公共交通機関、自動車など様々な移動手段の中から最適な組み合わせを選択

身近な取組として、まずは毎日の通勤や通学、買い物などのちょっとした外出方法を見直してみませんか。マイカーをお持ちの方は、少しの移動距離でも利用するケースがあるかもしれません。特に、電車やバスなどの運行が少ない地域では不可欠な移動手段となっているケースもありますが、自動車の過度な利用 はCO2排出の増加だけでなく、体を動かす機会が減って運動不足に陥ってしまうおそれもあります。そこで、「スマートムーブ」では次の5つの具体的取組を推奨しています。

(1)電車やバスなどの公共交通機関を利用

通勤や通学、旅行やちょっとした外出において、電車やバスなどの利用を心がけてみましょう。駅の階段の上り下りや駅までの徒歩移動などは適度な運動にもなります。さらに、日本の公共交通機関は世界に誇れるほど運行時間がほぼ正確なため計画がたてやすいという利便性もあります。
また、最近ではハイブリッドバス(※1)やLRT(※2)、太陽光エネルギーなどを活用した車両など環境負荷が少ない公共交通を導入するなどの取組が全国各地で広がっています。

※1:複数の動力源を組み合わせ、それぞれの利点を活かして駆動することにより、低燃費と低排出ガスを実現する自動車。エンジンの効率低下を招く要因と不足する走行性能をモーターで代替もしくは補助して走行するとともに、減速、制動時の回生エネルギーを回収し、駆動用エネルギーとして再利用することで、低燃費と低排出ガスの実現を図る。
詳しくはこちら: 環境省「次世代自動車ガイドブック2014」

※2:LRT:Light Rail Transit(次世代型路面電車システム)の略。低床の路面電車などを活用した新しい交通システムのことで、乗降時の段差解消によるバリアフリー化や、交通渋滞の緩和・排ガスの抑制効果が期待されている。
詳しくはこちら:国土交通省「LRT(次世代型路面電車システム)の導入支援」

(2)徒歩、自転車での移動

最近は、「健康や環境にいい」「快適・便利」「かっこいい」移動手段として、自転車の人気が高まっています。
特に、渋滞が起こりやすい都市中心部や最寄り駅までの移動や乗換えの駅間の移動の際に、徒歩や自転車を積極的に活用すれば、利便性向上につながる場合もあります。

(3)自動車の使い方を工夫

「エコドライブ」の実践や、エコカーの積極的な活用など、CO2の排出を減らすための自動車の使い方の工夫があります。

エコドライブの心がけ

環境省では自動車運転の際、ふんわりアクセルやアイドリングストップなどの「エコドライブ」の普及促進を図るために「エコドライバープロジェクト」を進めており、その実践方法として環境にやさしい「エコドライブ10のすすめ」を紹介しています。

エコカーの利用

最近では、ハイブリッド車や電気自動車をはじめとする様々な種類のエコカーが登場しています。エコカーへの乗換えによってCO2排出の大幅削減が可能であるほか、従来のガソリン車と比べて燃費効率も高いことから、ランニングコストが節約できるのも魅力です。
なお、エコカーの利用方法には、マイカーとして購入以外にも、カーシェアリングやレンタカーといったサービスがあります。

(4)長距離移動の工夫

旅行や出張、帰省などの長距離移動においても、エコ旅行、エコ出張などCO2削減する方法がたくさんあります。例えば、目的地への移動には新幹線や特急電車などを活用、旅行先での移動手段は自転車やバス、電車を利用する観光ツアーの選択、といったことなどです。ほかにも最近では、飛行機の利用時に排出されるCO2を別の手段で埋め合わせる「カーボンオフセット」という考え方も登場しています。

(5)移動・交通におけるCO2削減の取組に参加

近隣の人と同じ車をシェアして必要なときだけ使う「カーシェアリング」や、街中を共用の自転車でスムーズに移動できる「コミュニティサイクル」といった取組に参加する方法もあります。

人にもやさしい自転車に! 交通ルール&マナーを守ろう

自転車は手軽な乗り物である一方、路上や歩道での違法駐輪や、猛スピードでの歩道走行といった交通マナーの悪さが指摘されており、自転車利用者が加害者となる交通事故も増加しています。道路交通法では自転車は「車両」扱いとなっており、決められた下記の交通ルールを守って、人にやさしい運転を心がけましょう。

【自転車安全利用5則】
(1)自転車は、車道が原則、歩道は例外
(2)車道は左側を通行
(3)歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
(4)安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・併進禁止、信号の遵守など)
(5)子どもはヘルメットを着用

詳しくはこちら

4地域で進められている取組は?観光・住民の移動手段・交通渋滞の緩和などを目的に、それぞれの地域特性に合わせて実施中

地域の特性に合った様々な形態の「スマートムーブ」が全国各地で実践されています。そのうちの一部をご紹介します。

事例(1):スマートサイクルライフ北九州(福岡県北九州市)

北九州市では、「市民の健康増進」「街なかのにぎわいづくり」「自転車のある新しいライフスタイルの創出」「世界の環境首都の実現」という4つの目標を掲げて自転車利用環境の向上を図っています。同市では、環境にやさしい自転車をかしこく活用する「スマートサイクルライフ」の促進に向け、自転車走行空間や駐輪施設などを整備し、自転車を利用しやすい環境づくりを進めているほか、市民の安全・快適な自転車ライフを応援するため、自転車のルール・マナーやお勧めのサイクリングコースなど自転車に関するさまざまな情報を集めたウェブサイト「スマートサイクルライフ北九州」を開設しています。

左:自転車専用レーン 右:ウェブサイト「スマートサイクルライフ北九州」
(写真:北九州市)

事例(2):自転車ツーキニストモニター事業(愛媛県)

県全域で自転車道の整備が進められ、自転車まちづくりの先進地域といわれる愛媛県。自転車はCO2を排出しない環境にやさしい乗り物です。この自転車を通勤という日常的な移動にも活用し、運輸部門におけるCO2排出量を削減し、地球温暖化対策を進めるため、愛媛県では「自転車ツーキニストモニター事業」を実施しています。「自転車ツーキニスト」とは自転車で通勤や通学する人のことで、本事業は、バイクや車通勤をしているモニター事業所の従業員に、一定期間、自転車通勤を行ってもらうものです。事業開始前に安全講習を実施し、モニター参加者の様子はウェブサイトで伝えられます。このモニター事業をきっかけに、自動車やバイクから自転車への通勤手段の転換が促進されることが期待されています。

事故のない自転車通勤のため、安全講習を実施
(写真:愛媛県)

事例(3):かしわスマートサイクル(千葉県柏市)

千葉県柏市では、千葉県及び東京大学、千葉大学とともに策定した「柏の葉国際キャンパスタウン構想」により、同市の柏の葉キャンパスエリアにおいて公・民・学連携による国際学術研究都市ならびに次世代環境都市を目指し、目標の一つとしてサスティナブルな移動交通システムの構築に取り組んでいます。その取組の一つが「かしわスマートサイクル」です。これは、柏の葉キャンパス駅周辺に設置された4か所のポートで自転車が借りられ、どのポートでも返せる自転車の共同利用(コミュニティサイクル)の社会実験です。2010年からはICTの活用による無人管理システムを導入。また、柏の葉ポイントという地域ポイントプログラムと連携し、地域住民の参加を促しながら、低炭素社会を目指す実証実験に取り組んでいます。

ポートは無人で管理されており、ポート間の乗り降りは自由
(写真:千葉県柏市)

事例(4):超小型モビリティ型ノーマイカー活動(兵庫県豊岡市)

兵庫県豊岡市では、市民みんなで取り組む環境活動の一つとして、マイカー中心の生活を見直し、環境にやさしい公共交通機関の利用促進を図る「ノーマイカー活動」に取り組んでいます。これに加え、平成27年度は、兵庫県地球温暖化防止活動推進センター(公益財団法人ひょうご環境創造協会)との連携により、公共交通機関が十分ではない地域で、ガソリン車から超小型電気自動車(コムス)への利用転換を進める実証実験を行いました。日常生活で車を利用しているシーンを、超小型電気自動車の利用に転換することで、CO2排出量は約70%削減、エネルギー費用は約80%削減と試算されています。この事業では、超小型電気自動車を利用希望者に一定期間、無償で貸し出し、CO2排出量の削減やエネルギー料金の削減などを把握していきます。

市内の狭い道もラクラク移動
(写真:兵庫県豊岡市)

事例(5)県下一斉ノーマイカー通勤ウィーク(長野県)

長野県地球温暖化防止活動推進センターと長野県では、平成21年度から、「県下一斉ノーマイカー通勤ウィーク」を実施しています。これは、ふだんマイカーで通勤されている方が環境にやさしい通勤手段へ転換するきっかけづくりをするために、各事業者が参加協力し、マイカー通勤の従業員に、期間中の1日以上、公共交通機関の利用や相乗り、徒歩、自転車といったノーマイカー通勤を実施してもらうものです。平成26年度は118事業所・8,791人が参加。期間中、参加者はバスや鉄道のお得なサービスを利用できます。

今回ご紹介した事例は一部であり、お住まいの地域でも「スマートムーブ」が実施されているかもしれません。これを機にぜひ、身近な取組を知ってみてはいかがでしょう。
環境省が行った調査によると、既に実践している、または今後実践したい「スマートムーブ」の取組としては、主に「できるだけ徒歩や自転車を利用」「エコドライブの実践」「公共交通機関の利用」の順にあげられています。
地球環境にやさしいだけでなく健康的な生活にもつながる「スマートムーブ」、早速始めてみませんか。

エコドライブ10のすすめ

(1)ふんわりアクセル「eスタート」

発進するときは、穏やかにアクセルを踏んで発進を。目安はブレーキから足を離してから最初の5秒で、時速20km程度になるように(10%程度の燃費改善効果)。

(2)車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転~

車間距離を保って、一定速度での走行を(ムダな加速・減速によって、市街地では2%程度、郊外では6%程度も燃費悪化)。

(3)減速時は早めにアクセルを離そう

交差点などで停止することに気付いたら、早めにアクセルから足を離してエンジンブレーキの作動を(2%程度の燃費改善効果)。

(4)エアコンの使用は適切に

エアコンは車内を冷却・除湿する機能のため、暖房使用時にはエアコンスイッチをOFFに(車内の温度設定を外気と同じ25℃設定の場合、エアコンスイッチがONだと12%程度も燃費が悪化)。

(5)ムダなアイドリングはやめよう

待ち合わせや荷物の積み下ろしなどで駐停車※する際は、アイドリングストップを(10分間のアイドリング(エアコンOFF時)で、130cc程度の燃料消費)。
※交差点では事故の危険もあるため注意しましょう。

(6)渋滞を避け、余裕をもって出発しよう

外出時には渋滞・交通規制などの情報や、地図・カーナビなどで行き先やルートを事前に確認して、時間に余裕をもって出発を(1時間のドライブで道に迷い、10分間余計に走行すると17%程度も燃費悪化)。

(7)タイヤの空気圧から始める点検・整備

タイヤの空気圧チェックを習慣づけ(適正値より空気圧が不足すると、市街地で2%程度、郊外で4%程度の燃費悪化)

(8)不要な荷物はおろそう

運ぶ必要のない荷物は車から降ろすこと(100kgの荷物を載せて走行すると、3%程度の燃費悪化)。

(9)走行の妨げとなる駐車はやめよう

交差点付近などの交通の妨げになる場所での迷惑駐車は、渋滞の原因になるので止めること。

(10)自分の燃費を把握しよう

日々のマイカーの燃費を把握すれば、エコドライブ効果を実感できる。

(資料:環境省「エコドライブ10のすすめ」/イラスト:環境省)

(取材協力 環境省  文責 政府広報オンライン)

リンク・著作権等について
このコンテンツは役に立ちましたか?
このコンテンツは分かりやすかったですか?
このコンテンツで取り上げたテーマについて関心が深まりましたか?

ご意見・ご感想

関連サイト

  • 世論調査別ウインドウで開きます
  • 首相官邸別ウインドウで開きます

外部のウェブサイトに移動しますが、よろしいですか。
よろしければ以下をクリックしてください。

ご注意
  • リンク先のウェブサイトは、内閣府政府広報室のサイトではありません。
  • この告知で掲載しているウェブサイトのURLについては、2023年11月21日時点のものです。
  • ウェブサイトのURLについては廃止や変更されることがあります。最新のURLについては、ご自身でご確認ください。
Top