医薬品のネット販売を安心して利用するために

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医薬品のネット販売を安心して利用するために

病気やケガの治療などで大切な役割を果たす「薬」。しかし、薬は効き目(効能・効果)だけでなく、副作用という「リスク」 も併せ持っています。重い症状では死に至ることも。そこで、薬を安心して使うためには、薬に関するリスク、正しい使い方や保管方法を知ることが大切です。 そして、薬の服用履歴が分かる「お薬手帳」や、薬について身近に相談できる「かかりつけ薬剤師・薬局」を持つことも有効です。今回は、知っておきたい薬の基本をご紹介します。

1知っていますか? 一般用医薬品の3つの区分リスクの度合いに応じて扱い方が異なる

「薬も過ぎれば毒となる」ということわざがあります。昔の人も、適量を使ってこそ、薬の「効果・効能」が発揮されると理解していたのです。医薬品を 適切に使うには、量はもとより、病気やけがの具合に適した薬を選んでいるか、一日に何回、どのように飲むのか、ほかに使っている薬との相性はどうか、など、様々なことを考慮して使うことが大事です。もし適切でない使い方をすれば、薬がその力を十分に発揮できないばかりか副作用を起こすことがあります。
副作用には、例えば眠気やのどの渇きといったものから、急性アレルギー反応による激しいじんましんや腹痛、嘔吐(おうと)、あるいは肝機能障害のような、生命にかかわりかねない重い症状まで様々です。
そのため、医薬品の安全性や有効性、品質を確保するとともに、私たちが安全かつ適切に医薬品を利用できるようにするために、薬機法という法律によって、医薬品の開発から製造、流通、使用に至るまで厳しい規制が設けられています。
私たちが医薬品を購入する際も、医薬品を安全・適切に利用できるよう、薬機法に基づいて販売ルールが定められています。
私たちが使う医薬品には、主に「医療用医薬品」と「一般用医薬品」の2つがあります。

医療用医薬品は、医師が、患者さん一人一人の病気や症状、体質などに合わせて処方箋(しょほうせん)を出し、それに基づいて薬剤師が調剤する薬で、 「処方薬」とも呼ばれます。強い効き目が期待できる代わりに、重い副作用が生じるおそれがあるため、医師や薬剤師の指導が必要な薬です。そのため、適切な 調剤設備を備え、薬剤師が常駐する「薬局」でなければ売ることができません。

一般用医薬品は、年齢も体質も違う様々な人が使えるように、効き目を調節してより安全性を高めてつくられており「市販薬」「大衆薬」とも呼ばれます。この一般用医薬品は、副作用などのリスクの度合いによって、「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」に分類されています。

第1類医薬品は、副作用などのリスクがあり、特に注意が必要なもので、販売する際には薬剤師が医薬品に関する情報提供をすることとされています。例としてはH2ブロッカーを含む胃薬や一部の毛髪用薬などがあります。
第2類医薬品は、副作用などのリスクがあるもので、販売する際には薬剤師または登録販売者(※)が情報提供をすることとされています。かぜ薬や解熱鎮痛薬、胃腸薬などの多くがこれに当てはまります。
第3類医薬品はそれ以外の一般用医薬品で、薬剤師または登録販売者により販売されます。ビタミン剤や整腸薬などがこれに当たります。薬剤師または登録販売者のいるコンビニエンス・ストアやインターネットなどでも販売されていました。
※登録販売者=一般用医薬品のうち、第2類・第3類医薬品についての知識をもつ者として、都道府県の行う試験に合格し、登録を受けた人。

<一般用医薬品のリスクによる3つの区分>

2新しい販売ルールは?すべての一般用医薬品がインターネットで買えるように

一般用医薬品については、これまで第3類以外は、インターネットでの販売は認められていませんでした。
しかし、平成25年1月の最高裁判決や同年6月の日本再興戦略などを踏まえて、消費者の安全を確保しながら医薬品のインターネット販売ができるよう、平成 25年12月に薬事法が改正され、平成26年6月12日から、新しい販売ルールが適用されています。

新たなルールでは、医薬品の区分を見直し、使用に特に注意が必要な一部の医薬品を「要指導医薬品」という新たな区分に位置づけて対面販売に限る一方、第1類、第2類、第3類のすべての一般用医薬品は、一定の条件の下、インターネットや電話などで販売できるようになりました。
一方、「要指導医薬品」には「スイッチ直後品目」(※)と「劇薬」が含まれ、薬剤師が対面で情報提供や指導を行うこととされ、インターネットなどでの販売はできません。
また、医療用医薬品については、人体に対する作用が著しく、重篤な副作用を生じるおそれがあるため、これまでどおり、薬剤師が対面で情報提供・指導を行って販売することが義務づけられ、インターネットなどでの販売はできません。
※スイッチ直後品目:「医療用医薬品」から移行した が、まだ一般用医薬品としての使用実績が少ないために、一般用医薬品としてのリスクが確定していないものや医療用としての使用経験がない医薬品。新たな制度では、「要指導医薬品」として薬剤師による対面販売が必要となるが、原則3年の安全性調査を行い、安全性が確認されれば一般用医薬品に移行する。

<平成26年6月12日以降の販売方法>

3だれでもインターネット販売ができるの?実際の店舗を有する、薬局・薬店の許可を持った販売業者であることが条件

実際の店舗を有する、薬局や店舗販売業の許可を持った販売業者が、一般用医薬品のインターネット販売を行うことができます。

インターネット販売できる具体的な条件とは

  • 薬機法により、薬局または店舗販売業の許可を受けている実店舗を持つ薬局・薬店であること
  • 実店舗は週30時間以上開店していること
    実店舗は、購入者の見やすい場所に店舗名などの標識があること、購入者が容易に出入りできる構造であることなど、薬機法の基準を満たしていること
  • 薬剤師または登録販売者が常時、配置されていること
  • インターネットで販売できる医薬品は、実店舗に貯蔵・陳列している医薬品であること
  • インターネットのほかに、対面や電話での相談体制を整備していること  など

また、一般用医薬品をインターネットで販売する場合、薬局にはウェブサイトに次の事項を表示・掲載することが義務づけられます。

販売サイトでの主なルール

  • トップページに店舗の名称を表示
  • 実店舗の写真を掲載
  • 現在勤務中の薬剤師・登録販売者の氏名などを掲載
  • 許可証の内容(開設者名、所在地、所管自治体など)を掲載
  • 営業時間外を含めた連絡先(電話番号、メールアドレスなど)を掲載

また、一般用医薬品は、医療用医薬品に比べて安全性が高いとはいえ、適切に使用しないと効き目がないどころか、副作用などのリスクが高まります。そのため、実際の店舗ではもちろん、インターネット販売でも、薬剤師・登録販売者によって適切な情報提供・販売がされるよう、次のようなルールが定められています。

適切な情報提供・販売のためのルール

  • 購入者が情報提供内容を理解した旨を確認すること
  • 購入者に再質問がない旨を確認すること
  • 妊娠中など薬の服用に注意が必要な場合を掲示・表示すること
  • 乱用などのおそれのある医薬品(かぜ薬や咳止めなど)は販売個数を制限すること
  • 使用期限を表示すること、使用期限切れの医薬品の販売は禁止
  • オークション形式での販売は禁止
  • 購入者によるレビューやクチコミ、レコメンド(推薦)は禁止
    ※実店舗での販売も同様のルールが適用されます。

4インターネットでの買い方は?注文後、薬剤師や登録販売者からメールで情報提供。購入者が説明を理解・確認してから薬を発送

一般用医薬品のインターネット販売においても、実店舗と同様に、薬剤師や登録販売者が情報提供を行ったり相談に応じたりすることが義務づけられています。
例えば、第1類医薬品をインターネットで購入するときの流れは、次のようになります。

(1)使用者の状態などの確認

    • 薬剤師は、第1類医薬品の販売を行う際、医薬品を使用する人の状態などを確認することが義務づけられています。このため、購入者に対して、以下のような事項について確認を行う必要があります。

  • 購入者は、注文する際には、サイト上の様式やメールで、性別や年齢、症状のほか、必要な情報を送ります。

(2)情報提供

  • 薬剤師は、使用者の状態などに応じた個別の情報提供を、メールなどを通じて行います。
  • 情報提供では以下のような事項について説明します。

(3)情報を理解したことの確認

  • 購入者は、薬剤師から提供された情報を確認し、必要なら、メールや電話などにより疑問に思うことなどの確認や相談を行います。その後、提供された情報を理解したことや再質問・相談はない旨をメールなどで連絡します。

(4)販売(商品の発送)

  • 薬剤師は、提供した情報提供について、購入者が理解したかどうかを確認したあと、商品を販売(発送)します。

第2類医薬品、第3類医薬品の販売は、薬剤師や登録販売者が、使用者の状態などを確認の上、販売の可否を判断し、販売(発送)されます。

また、未成年がかぜ薬や咳止め薬など乱用などのおそれのある医薬品を購入しようとする場合には、購入者の氏名や年齢、適正な使用を目的とする購入で あるかどうかを、薬剤師などの専門家が確認した上で販売されます。また、乱用などのおそれのある医薬品は販売数量が制限されており、適正な使用のために必要と認められる数量(原則1人1個)を超えて購入しようとする場合は、薬剤師や登録販売者が購入理由等を確認した上で販売することになります。

5インターネットで一般用医薬品を買うときの注意点は?販売ルールに則った安心できる販売サイトで、薬剤師などに相談しながら購入を

インターネット上には、一般用医薬品の販売許可を得ていない違法な販売サイトや、薬機法による安全性が確認されていない海外医薬品や偽造医薬品を販売しているサイトなどもあり、それらによる健康被害や消費者トラブルも発生しています。
医薬品は健康や生命にかかわるものですから、薬機法により、医薬品などの誇大広告は禁止されています。価格の安さや薬の効果などを強調する広告に惑わされず、安全な医薬品を、安心できる販売サイトから購入するようにしましょう。

販売サイトのここをチェック!

  • 店舗の正式名称や住所が掲載されているか
  • 店舗の開設者や所管自治体など、許可証の内容が掲載されているか
  • 相談用の連絡先が掲載されているか
  • 実際の店舗の写真が掲載されているか
  • 勤務中の薬剤師などの氏名が掲載されているか
  • 医薬品の写真、使用期限が掲載されているか  など

各自治体に報告された販売サイトのホームページアドレスを、次のサイトから検索できます。購入しようとする店舗が掲載されているか確認しましょう。

違法な販売サイトや違法な薬物の販売を見かけたときは、そうしたサイトを利用しないのはもちろんのこと、厚生労働省が設置する「あやしいヤクブツ連絡ネット」または都道府県、保健所設置市または特別区の薬務主管課に連絡してください。

また、副作用などのリスクを避け、安全に、効果的に医薬品を利用するために、医薬品を購入するときには、自分の健康状態などについて、薬剤師などの 専門家に正しい情報をきちんと伝えることが重要です。インターネットで一般用医薬品を購入するときには、性別や年齢、症状、現在服用している薬やアレルギーの有無など、薬剤師・登録販売者からの質問に対して、正しく答えましょう。
妊娠中の方や持病のある方、現在、服用している薬がある方などは、医薬品を使用する際に注意が必要です。医薬品を買うとき、使うときには、薬剤師などの専門家に相談しましょう。
また、医薬品を使って体に異常を感じたときは、ただちに使用を中止し、販売時に情報提供された相談窓口に連絡するなど、薬剤師などの専門家に相談してください。

(取材協力:厚生労働省 文責:政府広報オンライン)

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