
風しんはほとんどの人は感染しても軽症で治りますが、妊娠中の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんに障害(先天性風しん症候群)が生じるおそれがあります。生まれてくる赤ちゃんを風しんから守るために、風しんの予防接種を受けたことがない方は予防接種を受けましょう。特に昭和37年度~昭和53年度生まれの男性の皆さんは風しんの予防接種を受けたことがない世代なので、予防接種への積極的なご協力をお願いします。
動画
昭和37年~53年度生まれの男性へ 風しんの抗体検査・予防接種を!【字幕付】
(3分00秒)
昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性は、子供の頃に風しんワクチンの定期接種の機会がなかったことから、免疫を持っていない可能性があり、風しんに罹りやすく、感染を広めてしまう可能性が高いと考えられています。
風しんは妊娠初期の女性が感染すると、先天性風しん症候群の赤ちゃんが生まれてくる可能性が高くなります。だからこそ社会全体で予防することが大切です。風しんの抗体検査・予防接種の必要性について紹介いたします。【字幕付】
ナレーション:貫地谷しほり
1なぜ、風しんの予防接種が必要なの?妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんに障害が生じる可能性があるため
風しんは、風しんウイルスによって起こる感染症で、患者のくしゃみや咳などによって飛び散ったウイルスを吸い込んだりすることで感染します。通常、2~3週間の潜伏期間の後に、発熱や発疹、耳の後ろや首のリンパ節の腫れ、関節の痛みなどの症状が見られます。一般的に症状は軽く、数日の経過で回復しますが、まれに高熱が続いたり、急性脳炎などの合併症を生じて入院が必要となったりする場合があります。また、妊娠中の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんに先天異常(先天性風しん症候群)が生じる可能性があるため、注意が必要です。
先天性風しん症候群の児に見られる主な症状
女性のほとんどの方は過去に風しんの予防接種を受けているため、風しんに対する免疫(抗体)を持っています。しかし、中には予防接種を受けても免疫(抗体)がつかない方もいます。また、妊娠中は、予防接種を受けることができません。妊娠中の女性への風しんの感染を防ぎ、生まれてくる赤ちゃんを先天性風しん症候群から守るためには、周りの方々も風しんに対する免疫(抗体)を持つ必要があります。
風しんの予防には、ワクチン(予防接種)が有効です。「風しんにかかったことがなく、ワクチンを1回も受けたことのない人」は、かかりつけの医師に相談し、積極的に抗体検査または予防接種を検討しましょう。
抗体検査・予防接種を特に検討していただきたいのは、昭和54年(1979年)4月1日以前に生まれた男性です(この世代の女性はすでに中学生のときに集団接種を受けています)。昭和52年度(1977年度)から公的な風しんの予防接種制度が設けられ、女性は予防接種を受けるようになっています。また、その後の制度改正により、昭和54年(1979年)4月2日以降に生まれた人は男女とも予防接種を受けるようになっています。昭和54年(1979年)4月1日以前に生まれた男性は、このような公的な風しんの予防接種の機会がなかったため、風しんの免疫(抗体)を持っていない人が多いと言われているのです。風しんの感染を防ぐためには、これらの方々にも風しんの抗体検査を受け、免疫(抗体)がない場合は予防接種を受けていただく必要があります。
2昭和37年度~53年度生まれの男性の皆さんへ 風しんの抗体検査及び予防接種を無料で受けるための「クーポン券」が届きます
厚生労働省では、風しんの公的予防接種を受ける機会がなかった、1962(昭和37)年4月2日~1979(昭和54)年4月1日生まれの男性を対象として、風しんの抗体検査と予防接種を無料で受けられるクーポン券を配布する事業を実施しています。
この事業は、対象となる皆さんにお住まいの市区町村からクーポン券を送付し、それを持参すれば職場等での健康診断や全国の病院・診療所などで、原則無料で抗体検査と予防接種を受けられるというものです。クーポン券を紛失してしまったかたについても、お住まいの市区町村に希望すればクーポン券の再発行が可能ですので、住民票のある市区町村にお問い合わせください。
「クーポン券」が届いたら、ご自身に風しんの免疫(抗体)があるかどうかを確かめるため、クーポン券を持参して、医療機関等で抗体検査を受けましょう。風しんの抗体検査を受けることができる医療機関等については、厚生労働省ウェブサイトに一覧表を掲載していますので、ご確認ください。また、職場等での健康診断の際に風しんの抗体検査を受けることができる場合もあります。
抗体検査を受けた結果、ご自身に風しんの免疫(抗体)がないことが判明した場合は、クーポン券を持って、医療機関等で予防接種を積極的に受けましょう。予防接種を受けることができる医療機関等の一覧表も、抗体検査と同様に厚生労働省ウェブサイトに掲載しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
3妊娠を希望する女性、妊娠中の女性の皆さんへ 赤ちゃんを守るためには、妊娠する前に予防接種を受けておくことが大事
妊娠中に風しんに感染した場合、生まれてくる赤ちゃんが先天性風しん症候群になってしまう可能性があります。未来の赤ちゃんを先天性風しん症候群から守るためにも、積極的に抗体検査や予防接種を検討しましょう。
<妊娠を希望する女性の皆さんへ>
風しん含有ワクチンはウイルスの毒性を弱めて作られたワクチンであり、ウイルスが胎児に感染する可能性が完全には否定できないので、妊娠中は予防接種を受けることができません。そのため、妊娠する前に抗体検査や予防接種を検討することが重要です。また、予防接種を受けてから約2か月は、妊娠を避けるようにしてください。
<妊娠中の女性の皆さんへ>
妊娠中の方で、風しんに対する十分な免疫がない方は、風しんの感染を避けるために、次のようなことに注意して生活してください。
妊娠中はできるだけ不要不急の外出を避ける
人混みの中では、風しんウイルスに感染する可能性が高まります。特に妊娠中(妊娠20週ごろまで)に感染すると、先天性風しん症候群を発症する可能性が高くなります。風しんが発生している地域では、不要不急の外出を避け、やむを得ず外出をする際には可能な限り人混みを避けるなど、風しんに感染しないよう注意してください。また、風しんを疑う症状(発疹・発熱など)が出現した際は、医師に相談しましょう。
夫や同居している家族にはすぐ抗体検査を受けてもらいましょう
家庭内での風しん感染を防ぐために、夫や家族にできるだけ速やかに抗体検査を受けてもらい、その結果免疫が十分でないことが判明した場合は予防接種を受けることを検討してもらいましょう。
自分や家族、職場の人などが風しんに感染したら、かかりつけの医師に相談する
妊娠中、自分に発疹が現れるなど、風しんを疑う症状があったときは、まず、電話でかかりつけの産科医に相談しましょう。万一、風しんにかかっていた場合、事前連絡をせずに、直接、医療機関を受診すると、ほかの妊婦にうつしてしまうおそれがあります。
家族や職場の人が風しんにかかったときは、症状が現れていなくても、自分も風しんに感染している可能性がありますので、受診の前に医療機関に電話で相談してください。
出産後、できるだけ早く、予防接種の検討を
妊婦検診での抗体検査の結果、予防接種が必要となった場合、出産後に早期の段階で風しんの予防接種を受けることをおすすめしています。出産直後に、次の妊娠の計画がない場合でも、また妊娠する可能性があります。また、生まれてきた子どもや他の妊婦に風しんをうつさないためにも、予防接種を検討しましょう。授乳中でも風しんの予防接種を受けることができます。
4妊婦の同居ご家族や職場のかたへ妊婦に風しんをうつさないために、みんなが予防接種の検討を
平成24年から25年にかけての風しんの流行では、男性は20歳代~40歳代、女性は20歳代の方が多くみられました。そして、風しんのかかった場所をして最も報告が多かったのは「職場」でした。職場内で感染を拡げないために、職場での対策も重要となります。
感染が広がる背景には、風しんに感染しても、軽症だったり症状が出なかったりすることが多いことがあります。風しんにかかった人が知らないうちに、同居の家族や職場などの周囲の方に風しんウイルスをうつしてしまう可能性があります。
妊娠中の女性は予防接種を受けられないため、特に十分な免疫をもたない妊婦への風しんの感染を防ぐためには、夫や家族、職場の人たち、医療機関などの関係者が、風しんにかからないように理解を深め、感染対策を実施しておくことが重要です。感染対策を実施しておくことは、風しんでまれに生じる合併症を予防することにもなります。
もし、風しんにかかってしまった場合は、医師や勤務先の上司などと相談した上で、感染を周りに広げないようにするため、外出を控えるなどの対応を検討しましょう。外出する場合は、マスク着用などの咳エチケットを徹底して、感染の拡大を防ぎましょう。
なお、今回は、大人の風しん感染対策を中心に説明しましたが、子ども向けの定期接種も大事です。子どもがいる家庭では、1歳児と小学校入学前1年間に行う「麻しん(はしか)」 「風しん」の定期予防接種を受けさせましょう。多くの市区町村で、無料で受けることができます。
予防接種の実施医療機関については、お住まいの地域の自治体にお問い合わせください。
詳しくはこちらをご覧ください。
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