妊産婦さんと赤ちゃんへの思いやり マタニティマーク

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妊産婦さんと赤ちゃんへの思いやり マタニティマーク

皆さんは「マタニティマーク」を見かけたことはありますか。これは妊産婦さんに対する配慮を周囲の皆さんにお願いするためのマークです。妊娠中の女性は、つわりなどのつらい症状が現れることもあり、また、出産後は無理をすると心身のバランスを崩すことがあります。電車やバス、公共の場、飲食店などでマタニティマークをつけた妊産婦さんを見かけたら、近くでの喫煙を控えたり、つらそうな様子の時は声をかけたりするなどのご配慮をお願いします。

1「マタニティマーク」ってなに?妊婦または出産後間もない産婦であることを周囲の人に知ってもらい、周囲の人が配慮しやすくするためのマークです。

電車やバスの中で、手すりを頼りにつらそうに立つ女性を見かけたことはありませんか。商業施設や街中の雑踏や階段などで、お腹をかばいながら歩く女性を見かけたことはありませんか。その女性は、もしかしたら妊婦さんかもしれません。
妊娠中は、いつもの身体の状態とは異なり、だるさや疲れやすさなどの様々な症状が現れることもあります。
しかし、女性が妊娠中であるかどうかは、外見から判断することは難しいことがあり、特に妊娠初期にはお腹のふくらみが目立たないため、気づかないことがあります。

マタニティマークは、母子保健分野の国民運動計画である「健やか親子21」の取組の一環としてデザインを公募し、平成18年に決定されました。

マタニティマークの大きな役割は二つあります。一つは妊産婦さんが外出する際にマタニティマークを身につけて、周囲の人に妊婦または出産後間もない産婦であることを分かりやすく示せるようにすることです。それにより、急病や事故、災害など、もしものときにも適切な対応が可能となります。
もう一つは、交通機関や職場、飲食店、その他の公共機関などにおいて、マタニティマークに呼びかけ文などを添えたポスターなどを掲示し、妊婦さんや、赤ちゃん連れのお母さんなど妊産婦さんにやさしい環境づくりを推進することです(マタニティマーク使用規程[PDF:174KB])。
公共交通機関や公共施設、飲食店などでマタニティマークをつけた妊産婦さんを見かけたら、妊産婦さんへのご配慮をお願いします。

2妊産婦さんへの配慮はなぜ大切なの?妊娠中には、つわりや貧血といった症状が出ることもあります。また、妊産婦さんの健康が、赤ちゃんの健康や発育などにも影響することも。

妊産婦さんの健康は赤ちゃんに大きく影響します。妊娠中の様々な症状により、流産や早産など、赤ちゃんに影響を及ぼすこともあります。また、出産後は十分に体力が回復しない場合もあり、お母さん自身の健康はもとより子育てに影響することもあります。
一般に、妊娠中の症状や産後の体調は個人差があります。つわりがごく軽く済む人もいますし、つわりなど妊娠中の症状が重く安静や入院治療が必要になったりする人もいます。また、妊娠中は順調に経過しても、出産後の回復に時間を要するという人もいます。

そうした妊産婦さんの体調は、外見からでは分かりにくいため、妊産婦さん自身が普段以上に健康管理に気を付けるのはもちろんですが、周囲の人たちも、妊産婦さんに起こりやすい様々な症状などを理解し、体調を気づかうことが大切です。

妊産婦さんに現れやすい症状の例

妊娠中

  • つわり
    妊娠初期に現れる食欲不振、吐き気、胃の不快感、胃痛、嘔吐などの症状。つわりが重くなると「妊娠悪阻(おそ)」になり、食べ物を摂ることができなくなり、嘔吐が激しく全身の栄養状態が悪化し、入院が必要な状態になることがあります。
  • 貧血
    妊娠中は、胎児や胎盤の発育のため、血液中の鉄の必要量が増加するため、鉄欠乏性貧血になりやすくなります。軽い貧血では自覚症状はありませんが、重い場合は、動悸や息切れ、疲れやすい、脱力感、立ちくらみなどの症状が起こることがあります。
  • お腹の張りや痛み
    妊娠中のお腹の張りや痛みには注意が必要です。横になって体を休めるなどして痛みがおさまるようなら、大きな問題はないと考えられますが、張りや痛みが強くなったり、出血を伴ったりする場合は流産や早産の危険があります。

出産後

出産後の女性は、ホルモンなどの急激な変化や慣れない育児の疲れなどにより、心身のバランスを崩すことがあり、わけもなくイライラしたり、気持ちが落ち込んだりすることがあります。長引いたり、症状が重い場合は、日常生活の中で興味や喜びが感じられない、赤ちゃんに何の感情もわいてこない、食欲がなく体重が減るといった「産後うつ」になることもあります。産後うつは、出産後の女性の5%に起こるとされています。

※妊産婦さん個人や妊娠の週数によって、現れる症状は様々です。軽い場合もあれば、重い場合もあります。

3マタニティマークをつけた妊産婦さんを見かけたら?つらそうな様子に見えたら、手伝えることがあるかどうか声をかけるなどのご配慮を。

妊産婦さんに対して、周囲の人は具体的にどのような配慮をしたらよいのでしょうか。妊娠中または3歳未満の子どもがいる母親を対象に行ったアンケート調査(平成16年こども未来財団「子育て中の母親の外出等に関するアンケート調査結果」)は、以下のようでした。

(1)階段の上り下り等
階段や段差は転倒の危険があるため、妊産婦さんは特に気をつけなければならない場所です。スロープやエレベーターなどがあると安全に、安心して移動することができます。公共交通機関や施設などでのエレベーターの利用は、高齢の方や障害のある方と同様に、妊産婦さんに配慮しましょう。
場所によっては上り下りするのに階段しか選べない所もありますが、その場合、妊産婦さんは体力的にも大変で、ベビーカーがある場合には、階段の上り下りは大きな負担になります。妊産婦さんを対象にした調査で、「外出先で手助けされたり、勇気づけられたりしてうれしかったこと」として「ベビーカーを運んでくれた/たたんでくれた」ことが2位にあげられています。

(2)バスや電車内で
多くの妊婦さんは、妊娠初期は特有の吐き気やおう吐などのつわりに悩み、その後はお腹の赤ちゃんを含めて数キログラム以上も増えた体重を抱えて、体の重さ、不眠、トイレの近さなどを感じています。前述の調査で、「外出先で手助けされたり、勇気づけられたりしてうれしかったこと」の1位に、「バスや電車で席を譲ってくれた」があげられています。

(3)たばこの煙
たばこにはニコチンや一酸化炭素などの有害な物質が数多く含まれています。妊娠中にたばこを吸ったり、受動喫煙でたばこの煙にさらされたりすると、お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼし、赤ちゃんが小さく生まれたり、早産が起こりやすくなったりします。
妊婦さんが喫煙を避けるのはもちろんですが、妊娠中の女性や赤ちゃんが近くにいることに気づいたら、喫煙は控えましょう。

普段は健康な女性でも、妊娠中には思わぬところで具合が悪くなって体を休めたくなったり、手助けが必要になったりすることがあります。また、出産後、無事に体力が回復しても、赤ちゃんを連れた外出は必ずしも楽ではありません。赤ちゃんとベビーカーに加え、ミルクやおむつ、着替え、あやすためのおもちゃなど様々な荷物を携帯する必要があります。マタニティマークをつけていなくても、そのような妊産婦さんには、「大丈夫ですか」などの言葉をかけると喜ばれるかもしれません。

バスや電車の中など公共の場にいるとき、連れている子供が泣きやまなくなり、お母さんが困ってしまうことがあります。前述の調査で、「外出先で手助けされたり、勇気づけられたりしてうれしかったこと」として、「子供をあやしてくれた/話しかけてくれた/見守ってくれた」が挙げられています。

4マタニティマークの活用(1)~妊産婦さんへ周囲の人に妊娠中または出産後間もないことを知ってもらうために、マタニティマークを活用しましょう。

多くの市区町村ではマタニティマーク入りのグッズを作成しており、地域の妊娠した女性に、母子健康手帳の交付時や母親学級などの際に配布しています。グッズは市区町村によって異なりますが、その多くはキーホルダーやストラップ、バッジなど、手軽に身につけられるものです。周囲の人に妊娠中または出産後間もないことを分かりやすく示すための方法の一つとして、マタニティマークをご活用ください。それにより、急病や事故、災害など、もしものときにも適切な対応が可能となります。

(資料:厚生労働省)

妊産婦さんは赤ちゃんをかばったり手荷物が多かったりするために、どうしても行動がゆっくりになります。自らを守るためにも、外出する際はあらかじめ時間に余裕をもって行動したり、なるべく混雑した場所や時間帯を避けたりするように心がけましょう。

公共交通機関や公共施設、多くの人が集まる大規模商業施設などでは、エレベーターやエスカレーター、おむつ交換ができる多目的トイレや授乳スペースなどの情報を公開しています。このような情報は、地図やパンフレットが用意されていたり、ウェブサイト上で公開されていたりしていますので、よくお出かけになる施設については事前に確認することをお勧めします。

5マタニティマークの活用(2)~地方公共団体や事業者の方へ「妊産婦さんにやさしい環境づくり」のためにご活用ください。

マタニティマーク入りグッズは、平成25年度には1,690の市区町村で配布しています。(厚生労働省「マタニティマークに関する取組の状況調査の結果」[PDF:76KB])。また、1,678の市区町村で、ポスターやリーフレット、ホームページなどを通じて、妊産婦さん以外の人に向けて、マタニティマークの意味や妊産婦さんへの適切な配慮を呼びかけています。こうした地方公共団体のほか、公共交通機関や商業施設、企業、飲食店などでもマタニティマークのポスターなどを掲示して、周囲の人に妊産婦さんへの配慮を呼びかける取組を行っているところもあります。
マタニティマークは、「営利を主な目的としない」「マタニティマークの趣旨に反しない」「商品等の品質や安全性の保証を目的としない」といった使用に当たってのルールを守れば、無料で使用することができます。
なおマタニティマークを使用した場合は、使用後速やかに使用報告書と使用した品の現物、写真またはコピーを、厚生労働省に報告する必要があります。詳しくは、厚生労働省ウェブサイトの「マタニティマークのデザイン及び利用方法について」をご覧ください。

「妊産婦さんにやさしい環境づくり」のツールのひとつとして、マタニティマークをご活用ください。

マタニティマークの使用例

  • 公共交通機関のポスターに掲載
  • 医療機関の駐車場の看板に使用
  • 実費相当分のマタニティマークグッズ・商品の作成・配布
  • 妊産婦さんにやさしい環境づくりをしている企業の商品に、その商品が妊産婦に配慮した商品であるということを示す目的で、商品に妊産婦産にやさしい環境づくりに向けたその取組や呼びかけ文(※)を付して掲載する

※「呼びかけ文」の例としては、以下のようなものがあります。

  • 交通機関などでの取組例:「座席は譲り合っておかけください」
  • 受動喫煙の防止対策例 :「禁煙にご協力ください」「禁煙席があります」
  • エレベーターなどの乗降、段差のある場所での配慮の例:「妊婦さんやお子さんを連れている方に配慮を」

(取材協力:厚生労働省 文責:政府広報オンライン)

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