様々な事情で暮らしにお困りのかたのための相談窓口があります!

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働きたくても仕事がない、家族の介護のために仕事ができない、再就職に失敗して雇用保険が切れた、あるいは、社会に出るのが怖くなった……。様々な困難の中で生活に困窮しているかた向けに包括的な支援を行う「生活困窮者自立支援制度」があります。就職、住まい、家計など暮らしに悩みを抱えたかたは、一人で悩まず、まずはお住まいの地域の相談窓口にお問い合わせください。家族や周りのかたからの相談も受け付けます。

1どんなかたを支援するの?仕事や生活など、様々な困難により生活に困窮しているかたを支援します。

生活困窮者自立支援制度は、「生活保護は受給していないが、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのあるかた」を対象に、相談を受け止め、安定した生活に向けて仕事や住まい、家計相談、こどもの学習・生活習慣の改善など様々な面で支援する制度です(支援の内容は3章に)。生活保護から脱却したかたでも、再び最低限度の生活を維持できなくなることがないよう、支援の対象となります。

暮らしに困る理由や状況は様々ですが、例えば次のようなかたが、支援の対象に含まれます。

  • 離職し、家賃の支払いが難しくなりそうなかた
  • 高齢で体の弱った親と二人暮らしを続けるうちに、地域から孤立し、仕事を探す自信がないかた
  • 家族の介護のため、時間に余裕はあるが収入の低い仕事に移ったかた
  • 配偶者からの暴力を逃れて家を飛び出したが、こどもが幼いために就労が難しいかた
  • いじめにより学校を中退し、ひきこもりを続けるうち、社会に出るのが怖くなってしまったかた
  • 家計の管理がうまくできないために、借金の連鎖を止められないかた、
  • 路上やネットカフェ、友人宅を転々とし、安定した住まいが確保できないかた、等々。

 

こんなときは一人で悩まず、まずは相談してください(相談先は2章に)

これまでの福祉制度は、高齢者、障害者、児童といった特定の対象者・分野ごとに展開されてきました。しかし、近年の暮らしに困っている方々が抱える課題は、経済的な問題に加えて社会的な孤立などがあり、それらが複雑に絡み合った場合もあります。

そこで、複雑な課題を抱えて現行の制度だけでは自立支援が難しいかたに対して、生活全般にわたる包括的な支援を提供する仕組みとして、平成27年(2015年)4月から「生活困窮者自立支援制度」がスタートしました。

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この制度は、仕事や住まい、家計などに関する課題が複雑化・深刻化する前に、相談を受け止め、必要な支援につなぐ役割を担っています。

2どこに相談すればいいの?お住まいの都道府県や市町村に「相談窓口」が設けられています。

仕事や生活に困っているかたは、一人だけで悩まず、お住まいの地方自治体の相談窓口にご相談ください。相談窓口では、ご本人からだけではなく、家族や周りのかたからの相談も受け付けます。

相談窓口の連絡先:

以下の相談窓口一覧から、最寄りの窓口にお問い合わせください。

3どのような支援があるの?相談者の状況に応じて、住まいや仕事、家計管理、こどもの学習・生活習慣の改善などを支援します。

支援の詳細は、地域によって異なることがありますが、基本的には「相談窓口」に配置された専門の支援員が、相談者の希望を尊重しながら、一人ひとりの状況に応じて適切な支援プランを作り、寄り添いながら支援を行います。なお相談は無料、秘密は守られます。

主な支援内容は、次のとおりです。

主な支援内容

あなただけの「支援プラン」を作ります

就職や住まい、家計管理などの困りごとや不安を抱えているかたは、まず地域の相談窓口に相談してください(相談窓口一覧)。どのような支援が必要か、支援員が一緒に考えます。具体的なプランを作成し、寄り添いながら、自立に向けて支援します。

住まいに関する支援をします

家賃相当額を支給します

離職・廃業や減収などにより住むところがなくなったかたや、住む場所を失うおそれが高いかたには、求職活動することなどを条件に、一定期間、家賃相当額を支給し、生活の土台となる住居を確保した上で求職活動が行えるよう支援します(原則3か月、最長9か月)。

緊急に住まいが必要なかたに衣食住を提供します

住居をもたないかたやネットカフェ宿泊を続けているなど、安定した住まいがないかたに、緊急的に一定期間、宿泊場所や衣食を提供します。その後の生活に向けて、就労支援などのサポートも行います。

仕事に就き、経済的に自立するための支援をします

社会参加、就労への第一歩(就労準備支援事業)

「社会に出ることに不安がある」「他人とうまくコミュニケーションできない」といった理由ですぐに職に就くことが難しいかたには、本人のニーズ・課題にあわせたプログラムにそって、一般就労に向けて、生活リズムを整えたり、就労体験の機会を提供したりします(最長1年間)。

柔軟な働き方による就労の場の提供(認定就労訓練事業)

上記の「就労準備支援事業」による支援だけでは一般就労が難しいかたには、そのかたにあった支援付きの就労の場を提供し、中・長期的に本人が希望する就労に向けたステップアップを図ります。

家計の立て直しを助言し、支援します

家計表の作成を通じて家計状況の「見える化」と家計状況の背景にある課題の把握を行います。相談者が自ら家計を管理できるように、状況に応じた支援計画の作成や関係機関へのつなぎ、貸付のあっせんなどを行い、早期の生活再建や税・公共料金等の滞納の解消をサポートします。

こどもの学習や進学、生活習慣について、こどもと保護者を支援します

学習支援を始め、生活習慣の改善、学校・家庭以外での居場所づくり、多様な進路選択のための情報提供、高校中退の防止などの支援を行います。また、こどもの養育や進学について保護者に助言するなど、こどもと保護者の双方に対して必要な支援を行います。

これらのほか、必要に応じて関係機関とも連携し、適切な支援機関につなぎます。

4相談から支援までの流れは?まずは相談者のニーズや困りごとを受け止め、一人ひとりにあわせた支援につなぎます。

相談から自立までの支援の流れをご紹介します。

(1)

まずは相談窓口へ
各地域の相談窓口(自立相談支援機関)で相談が受けられます。何らかの理由で窓口まで来られない場合は、まずは電話やメールで問い合わせることもできます。

一般社団法人 生活困窮者自立支援全国ネットワーク:自立相談支援機関 相談窓口一覧

(2)

生活の状況を把握
生活の困りごとや不安を支援員に話してください。生活の状況と課題を分析し、相談者の希望を尊重しながら、自立に向けた目標や支援内容を一緒に考え、あなただけの「支援プラン」を一緒に作ります。

(3) 支援の提供
支援プランに基づいて、各種サービスが提供されます。
(4) 定期的なモニタリング
プランの作成や各種支援サービスの提供がゴールではありません。支援を必要とするかたの状態やサービスの提供状況を支援員が定期的に確認し、必要に応じてプランを再検討します。
(5)

自立し安定した生活へ
支援の結果、自立に向けた目標を達成すると支援は終了です。その後は、必要に応じて支援員によるフォローアップが行われます。

5例えばどんな支援になるの?長期ひきこもりのかた、求職者のかたを例に、自立支援のケースを紹介します。

支援制度を利用することによって、どのように生活や仕事の自立が図られるのでしょうか。二つのケースをご紹介します。

長期ひきこもりのケース

Aさん(38歳・男性)
両親と3人暮らし。高校中退後、一時アルバイトを経験したもののすぐに辞めて、家にひきこもるようになりました。母親(78歳)は病気がちのうえ高齢のために足腰が弱くなり、身の回りのことはある程度できるものの一部介護が必要な状況。父親(80歳)は無口でとても厳格な性格で家事や介護の協力には極めて消極的。一家の収入は父親の厚生年金が中心となっており、家計は常に苦しい状態。
母親の悩みを聞いた近隣の人が、母親の了解を得たうえで最寄りの自立支援相談窓口に連絡。支援員からAさんに接触を図りました。

Aさんとの意見交換、ヒアリング(支援プラン作成)

社会参加から就労へ

Aさんは、支援員と何度も話すうちに、近くにある「男性介護者の会」に興味が湧いてきました。
試しに行ってみたところ、互いの苦労をねぎらい、自分の存在を認めてもらえる仲間に出会うことができて、やがて一緒に活動するようになりました。徐々に自信を取り戻し、今度は支援員に、ひきこもりの人などにも理解のある飲食店を紹介してもらい、働き始めました。

初めは環境に慣れず休みがちでしたが、職場の理解も得ながら徐々に休みも減りました。母親の介護は介護保険を申請してヘルパーさんに来てもらっており、今では充実した日々を送っています。

求職者への支援のケース

Bさん(26歳男性)
高校時代にいじめに遭い、同年代の人との人間関係を避けるようになりました。そのようなこともあって県外の専門学校に進学し、卒業後は飲食店に住みこみ就労しました。しかし、職場でのトラブルをきっかけに、仕事を無断で休みがちになり、解雇されてしまいました。その後も就職に結びつかず、求職活動も途切れるようになってしまいました。
そして、収入がないまま生活費のために貯金を減らし続け、このままでは家賃を払えずアパートを出ていかなければならなくなるという、切迫した状況になっていきました。
自分の生活と将来に不安を感じたBさんは、ハローワークで勧められ、自立相談支援機関に連絡を取りました。

Bさんとの相談、ヒアリング(支援プラン作成)

住居確保給付金と認定就労訓練事業によるサポート

Bさんが支援員に事情を話したところ、支援員からは、まずは安定した住居を確保する必要があるということで、住居確保給付金の説明を受け、給付の決定を受けることができ、当面の住まいを確保することができました。
就労については、調理スキルがあったことから、飲食店での就労を望みましたが、支援員との相談を通じて焦らず時間をかけて生活を立て直すことが大事だと考え、生活リズムを整え、対人スキルを身につけることを短期目標としました。

そこで、認定就労訓練事業の非雇用型(※)を活用し、高齢者施設に通うことになりました。初めは利用者とのコミュニケーションに苦労しましたが、訓練を受けた結果、対人スキルが高まり、非雇用型から雇用型訓練に切り替わりました。今では、人の役に立ちたいという気持ちから、ヘルパー資格を取るべく準備を進めています。

※認定就労訓練事業の非雇用型は、雇用契約を結ばずに、訓練として仕事を経験し、その中で安定した就労に必要な様々なスキルや経験を積むもの。雇用型訓練事業は、企業など雇用者が被雇用者を雇用した上で職業訓練を行うもの。

(取材協力:厚生労働省 文責:政府広報オンライン)

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