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様々な事情で暮らしにお困りの方のための相談窓口ができます!

平成27年(2015年)4月15日

働きたくても仕事がない、家族の介護のために仕事ができない、再就職に失敗して雇用保険が切れた、あるいは、社会に出るのが怖くなった……。さまざまな困難の中で生活に困窮している人に包括的な支援を行う「生活困窮者自立支援制度」が平成27年4月から始まりました。就職、住まい、家計など暮らしに悩みを抱えた人は、一人で悩まず、まずはお住まいの都道府県や市町村に、相談窓口についてお問い合わせください。家族や周りの人からの相談も受け付けます。

1どんな人を支援するの?仕事や生活など、さまざまな困難の中で生活に困窮している人を支援します。

生活困窮者自立支援制度は、「現在は生活保護を受給していないが、生活保護に至るおそれがある人で、自立が見込まれる人」を対象に、困りごとにかかわる相談に応じ、安定した生活に向けて仕事や住まい、子どもの学習などさまざまな面で支援するものです(支援の内容は3章に)。生活保護から脱却した人でも、再び最低限の生活を維持できなくなることがないよう、支援の対象となります。

そのために、都道府県や市町村に「相談窓口」が設けられています。

暮らしに困る理由や状況は様々ですが、例えば次のような人が、支援の対象に含まれます。

  • 離職後、求職の努力を重ねたが再就職できず、自信を失ってひきこもってしまった人
  • 高齢で体の弱った親と二人暮らしを続けるうちに、地域から孤立してしまった人
  • 家族の介護のため、時間に余裕はあるが収入の低い仕事に移った人
  • 配偶者からの暴力を逃れて家を飛び出したが、子供が幼いために就業が難しい人
  • いじめなどのために学校を中退し引きこもりを続けるうち、社会に出るのが怖くなってしまった人
  • 家計の管理がうまくできないために、借金の連鎖を止められない人、等々。

 

こんなときは一人で悩まず、まず相談してください

これまでの福祉制度は、高齢者、障害者、児童といった特定の対象者・分野ごとに展開されてきました。しかし、近年の暮らしに困っている人々が抱える課題は、経済的な問題に加えて社会的な孤立などがあり、それらが複雑に絡み合った場合もあります。

そこで複雑な課題を抱えて現行の制度だけでは自立支援が難しい人に対して、生活全般にわたる包括的な支援を提供する仕組みを整備するため、生活困窮者自立支援法が平成25年に成立し、平成27年4月から「生活困窮者自立支援制度」がスタートしました。

いわばこの制度は、仕事や住まい、家計などに係る課題が複雑化・深刻化して、破たんしそうな暮らしを受け止め、自立を助ける役割を担うことになります。

2どこに相談すればいいの?お住まいの都道府県や市町村に「相談窓口」が設けられています。

仕事や生活に困っている方は、一人だけで悩まず、お住まいの自治体が設けた相談窓口にご相談ください。相談窓口では、本人からだけではなく、家族や周りの人からの相談も受け付けます。

相談窓口の連絡先:

相談窓口は、都道府県および市の福祉担当部署や社会福祉協議会、社会福祉法人、NPOなどに設置されます。自治体によって設置される機関が異なることがありますので、相談窓口の連絡先については、お住まいの都道府県や市町村にお問い合わせください。 なお、厚生労働省では、各自治体の「相談窓口」の連絡先などを順次ウェブサイトで公開していきます。詳しくは下記をご覧ください。

3どのような支援があるの?支援を必要とする人の状況に応じて、住まいや仕事、家計管理、子どもの学習などを支援します。

支援の具体的な詳細は、都道府県や市によって異なることがありますが、基本的には「相談窓口」に配置された専門の支援員が、支援を必要とする人の意思を尊重しながら、一人ひとりの状況に応じて適切な支援プランを作り、寄り添いながら支援を行います。なお相談は無料、秘密は守られます。

およその支援項目は、次のようになります。

およその支援項目

あなただけの「支援プラン」を作ります

就職や住まい、家計管理などの困りごとや不安を抱えている人は、まず地域の相談窓口に相談してください。どのような支援が必要か、支援員が一緒に考えます。具体的なプランを作成し、寄り添いながら、自立に向けて支援します。

住まいに関する支援をします

家賃相当額を支給します

離職などで住むところがなくなった人や、住む場所を失うおそれが高い人には、就職活動することを条件などに、一定期間、家賃相当額を支給します。生活の土台となる住居を整えた上で、就職を支援します。

緊急に住まいが必要な人に衣食住を提供します

住居をもたない人やネットカフェ宿泊を続けているなど、不安定な住居形態にある人に、緊急的に一定期間、宿泊場所や衣食を提供します。その後の生活に向けて、就労支援などのサポートも行います。

仕事に就き、経済的に自立するための支援をします

社会、就労への第一歩(就労準備支援事業)

「社会に出ることに不安がある」「他人とうまくコミュニケーションできない」といった理由ですぐに職に就くことが難しい人には、6か月から1年を上限に、プログラムにそって、一般就労に向けたサポートや就労機会の提供を行います。

柔軟な働き方による就労の場の提供(就労訓練事業)

上記の「就労準備支援事業」による支援だけでは不十分と見込まれる人には、その人に合った支援付き就労の場を提供し、中・長期的な支援を通じて一般就労を可能にする就労訓練事業(いわゆる「中間的就労」)もあります。

家計の立て直しを助言し、支援します

家計状況の「見える化」と根本的な課題の把握を行い、相談者が自ら家計を管理できるように、状況に応じた支援計画の作成や相談支援、関係機関へのつなぎ、必要に応じて貸付のあっせんなどを行い、早期の生活再生をサポートします。

子どもの学習や進学について、子ども、保護者を支援します

子どもの学習支援をはじめ、日常的な生活習慣、仲間と出会い活動ができる居場所づくり、進学に関する支援、高校中退の防止支援などをします。また、子どもの進学について保護者に助言するなど、子どもと保護者の双方に対して必要な支援を行います。

これらのほか、必要に応じて関係機関とも連携し、適切な支援機関につなぎます。

4相談から支援までの流れは?あなただけの「支援プラン」を作成し、寄り添いながら安定した生活に向けて支援します。

相談から自立までの支援の流れをご紹介します。

(1) まずは相談窓口へ
各自治体が設けた相談窓口に配属されている支援員が応対します。何らかの理由で窓口まで来られない場合は、支援員が自宅に訪問して相談することもできます。
(2) 生活の状況を見つめる
生活の困りごとや不安を支援員に話してください。生活の状況と課題を分析し、「自立」に向かって寄り添いながら支援します。
(3) あなただけの「支援プラン」を一緒につくる
支援員は支援を必要とする人の意思を尊重しながら、自立に向けた目標や支援内容を一緒に考え、あなただけの「支援プラン」を一緒に作ります。
(4) 支援決定・サービス提供
完成した支援プランは、自治体を交えた関係者の話し合い(支援調整会議)を経て正式に決定します。その支援プランに基づいて各種サービスが提供されます。
(5) 定期的なモニタリング
各種サービスの提供がゴールではありません。支援を必要とする人の状態や各種支援メニューの提供状況を支援員が定期的に確認します。支援プランどおりに行かない場合は、プランを再検討します。
(6) 真に安定した生活へ
支援の結果、困りごとが解決すると支援は終了です。その後は、安定した生活を維持できているか、一定期間、支援員によるフォローアップが行われます。

5例えばどんな支援になるの?長期引きこもりの方、求職者の方を例に、自立支援のケースを紹介します。

支援制度を利用することによって、どのように生活や仕事の自立が図れるのでしょうか。二つのケースをご紹介します。

長期ひきこもりのケース

Aさん(38歳・男性)
両親と3人暮らし。高校中退後、一時アルバイトを経験したもののすぐに辞めて、家にひきこもるようになりました。母親(78歳)は病気がちのうえ高齢のために足腰が弱くなり、身の回りのことはある程度まで対応できるものの一部介護が必要な状況。父親(80歳)は無口でとても厳格な性格で家事や介護には極めて消極的。一家の収入は父親の厚生年金が中心となっており、母親が管理する家計は常に苦しい状態。
母親の悩みを聞いた近隣の人が、母親の了解を得たうえで最寄りの自立支援相談窓口に連絡。支援員からAさんに接触を図りました。

Aさんとの意見交換、ヒアリング(支援プラン作成)

社会参加から就労へ

私(Aさん)は、支援員と何度も話すうちに、近くにある「男性介護者の会」に興味が湧いてきました。
試しに行ってみたところ、互いの苦労をねぎらい、自分の存在を認めてもらえる仲間に出会うことができて、やがて一緒に活動するようになりました。徐々に自信を取戻し、今度は支援員に、ひきこもりの人などにも理解のある飲食店を紹介してもらい、働き始めました。

初めは環境に慣れず休みがちでしたが、職場の理解も得ながら徐々に休みも減りました。母親の介護は介護保険を申請してヘルパーさんに来てもらっており、今では充実した日々を送っています。

求職者への支援のケース

Bさん(26歳男性)
高校時代にいじめに遭い、同年代の人との人間関係を避けるようになりました。そのようなこともあって県外の専門学校に進学し、卒業後は飲食店に住みこみ就労しました。しかし、職場でのトラブルをきっかけに、仕事を無断で休みがちになり、解雇されてしまいました。その後も就職に結びつかず、求職活動も途切れるようになってしまいました。
そして、収入がないまま生活費のために貯金を減らし続け、このままでは家賃を払えずアパートを出ていかなければならなくなるという、切迫した状況になっていきました。
自分の生活と将来に不安を感じたBさんは、ハローワークなどで自立支援相談を奨められ、相談窓口に連絡を取りました。

Bさんとの相談、ヒアリング(支援プラン作成)

住居確保給付金と就労訓練事業によるサポート

私(Bさん)が支援員さんに事情を話したところ、支援員さんからは、まずは安定した住居を確保する必要があるということで、住居確保給付金の説明を受け、給付の決定を受けることができ、当面の住まいを確保することができました。
就労については、調理スキルがあったことから、飲食店での就労を望みましたが、支援員さんとの相談を通じて焦らず時間をかけて生活を立て直すことが大事だと考え、生活リズムを整え、対人スキルを身につけることを短期目標としました。

そこで、就労訓練事業の非雇用型(※)として高齢者施設に通うことになりました。初めは利用者とのコミュニケーションに苦労しましたが、訓練を受けた結果対人スキルが高まり、非雇用型から雇用型訓練に切り替わりました。今では、人の役に立ちたいという気持ちから、ヘルパー資格を取るべく準備を進めています。

※就労訓練事業の非雇用型は、雇用契約を結ばずに、訓練として仕事を経験し、その中で安定した就労に必要な様々なスキルや経験を積むもの。雇用型訓練事業は、企業など雇用者が被雇用者を雇用した上で職業訓練を行うもの。

(取材協力:厚生労働省 文責:政府広報オンライン)

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