ここを確認!旅行予約サイト選びのチェックポイント

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イラスト:旅行予約サイトでホテルや航空券の予約をしている男女

旅行業者の店頭に足を運ばなくても、パソコンやスマートフォンなどから手軽に旅の手配ができる「旅行予約サイト」。国内旅行でも海外旅行でも、数多くの旅行予約サイトが利用されていますが、一方で旅行予約サイトに関するトラブルも起きています。そこで、消費者が安心して旅行予約サイトを利用するために、注意すべきポイントを紹介します。

1旅行予約サイトではどんなトラブルが多いの?

宿泊施設の予約や交通機関のチケット確保など、これまで旅行業者が店頭窓口を通じて提供してきた旅行にかかわるサービスをインターネットで行う「オンライン旅行取引」が広がっています。オンライン旅行取引を行う業者は「OTA(Online Travel Agents/オンライン旅行取引事業者)」と呼ばれ、OTAが顧客との窓口として運営するウェブサイトは「旅行予約サイト」などと呼ばれます。
手軽に利用できる「旅行予約サイト」ですが、それをめぐる消費者トラブルも起きています。全国の消費生活センターに寄せられる旅行に関する相談件数をみると、インターネットでの申し込みに関する相談がおよそ半数を占めています。

海外手配旅行、国内手配旅行に関する相談件数

グラフ:2010年から2019年までの海外手配旅行、国内手配旅行に関する相談件数について、ネットによる申込みの相談件数を色分けしたもの。

(資料:国民生活センター)

相談の内容をみると、キャンセルに関連した消費者とOTAの行き違いが目につきます。
例えば、消費者は「常識的にはまだキャンセル料が発生しない時期」と考えてキャンセルを申し込んだが、OTAは「旅行予約サイトに示した契約条件ではすでにキャンセル料が発生する」としてキャンセル料を請求されるケース。また、消費者は「旅行予約サイトには『キャンセル料なし』と書かれていた」と読み取ったが、OTAは「旅行予約サイトには、『条件によってはキャンセル料が生じる』旨を示している」と主張するケース。そのほか、消費者は旅行予約サイトで「朝食付き」の宿泊を申し込んだつもりだったが、実際に行ってみたら「朝食なし」の宿泊となっていた、といった相談もあります。

このように旅行予約サイトの中には、契約条件や申込内容などが記載されているものの、それらがわかりにくいために消費者とOTAの間に認識のズレが生まれ、トラブルとなるケースが多いことがうかがえます。

トラブル相談の例

(1)「キャンセル手数料無料」と表示されていたのにキャンセル料を請求された。

海外の旅行業者のサイトで、申し込み画面に「キャンセル手数料無料」と表示があることを確認したうえで、ホテルの宿泊を申し込み、全額をクレジットカードで決済した。その後、都合が悪くなり、電話で解約を伝えたところ、「解約料がかかる。解約料はキャンセルポリシーに記載がある」と言われた。「キャンセル手数料無料」と表示されているにもかかわらず、キャンセル料が請求されることに納得がいかない。

(2)2か月以上先の宿泊予約、予約当日のキャンセルでも返金不可?

海外の旅行予約サイトでニューヨークのホテルの予約をした。しかし、夜になり予約した日程では行けなくなったため、当日中にキャンセルを申し出たところ、「そのプランは返金不可のプランなので、返金はできない」と回答があった。当日中に連絡はしたし、旅行は2か月以上先の出発であり、普通はキャンセル料がかからないはず。返金されないのは納得できない。

(3)ホテルの宿泊サービスが、ネットで予約した内容と異なっていた!

インターネット経由でホテルの宿泊を「無料の朝食付き」で予約したが、実際に宿泊したところ朝食が付いていなかった。

イラスト:「返金不可」、「キャンセル・変更はできません」と表示されたパソコンの画面を見て困っている男性。

2トラブルの要因は?

オンライン旅行取引で前の章に紹介したようなトラブルが生じる背景には、次のような事情があるとみられます。
オンライン旅行取引の窓口となる旅行予約サイトには、ビジネスのスタイルや運営事業者によって、現在「国内OTAが運営するサイト」「海外OTAが運営するサイト」「場貸しサイト」「メタサーチ」という4つのタイプがあります。

旅行予約サイトの4タイプ

(1)国内OTAが運営するサイト

日本国内に事業拠点を持つ旅行業者(※)が運営。
※旅行業法に基づき登録行政庁(観光庁または都道府県)に登録している事業者。

(2)海外OTAが運営するサイト

海外に事業拠点を持ち、日本国内に事業拠点を持たない(またはほとんどない)事業者が運営。海外のサーバを用いて運営されている。

(3)場貸しサイト

宿泊事業者や交通機関、旅行業者等などに、旅行商品の紹介・申込などに関する情報提供の場としてホームページを提供するサイト。
申込や支払などは、消費者と宿泊事業者・交通機関、旅行業者等が直接行う。

(4)メタサーチ

国内または海外OTAのサイトや場貸しサイトにある旅行商品の情報を一覧できるようにして、消費者に多数の旅行商品の内容や価格などを比較しやすく見せるサイト。
申込や支払などは、消費者と宿泊事業者や交通機関、旅行業者等が直接行う。

※海外OTAは、日本国内に事業拠点を持たないので、観光庁の登録を受けていない。
※場貸しサイトやメタサーチの運営自体は旅行業にあたらない場合もあり、運営事業者は登録行政庁(観光庁または都道府県)に登録していないケースもある。
※場貸しサイト、メタサーチの運営事業者は、宿泊事業者・交通機関及びOTAから広告掲載料等を受け取って収益とするのが一般的。

このうち「(1)国内OTAが運営するサイト」は、日本の法律(旅行業法)に基づいて登録行政庁(観光庁または都道府県)に登録し、日本国内に事業拠点を持つ旅行業者が運営するものです。この事業者の多くは日本での旅行取引の経験と実績を持っています。日本の消費者が旅行商品を選ぶ際に、どのような情報をどのような優先順位で求めるかといったことについても、これまでの広告宣伝やパンフレット作り、顧客対応などを通じて経験を積んでいます。消費者の側も、そうした旅行業者の情報提供のやり方に慣れていると考えられます。

一方、他の(2)~(4)の旅行予約サイトの多くは、日本での旅行取引の経験が少ない(あるいはほとんどない)事業者や異業種から新たに参入した事業者などが運営するものです。それぞれにサイトに掲載する情報の内容や見せ方によっては、従来の旅行パンフレットなどのスタイルに慣れた消費者にとってわかりにくい場合があるとみられます。

また、海外OTAが運営するサイトの中には、消費者からの問い合わせ対応について、受付時間が日本の時間帯に合わなかったり、受付スタッフの日本語能力が低く意思が通じにくかったりするなど、問い合わせに対する体制が不十分なものもあり、そうしたこともトラブルにつながっているとみられます。

イラスト:メタサーチや国内OTA,航空会社、ホテルのサイト、海外OTA、場貸しサイトなど、様々なタイプの旅行予約サイトを見ている女性

3旅行予約サイトの記載にルールはあるの?

オンライン旅行取引のトラブルを防ぎ、消費者が安心して旅行予約サイトを利用するためには、どのような事業者と、どのような条件で取引するのかなど、消費者が必要とする情報がウェブサイト上に分かりやすく表示されていることが重要です。
そこで、観光庁では、ウェブサイトにおける表示の適正化を図るため、「オンライン旅行取引の表示等に関するガイドライン(OTAガイドライン)」を平成27年(2015年)6月に定めました。

この「OTAガイドライン」では、旅行予約サイトに次のような情報を分かりやすく表示することを求めています。

イラスト:OTAガイドラインという文字が表示されているパソコン画面

OTAガイドラインの概要

旅行予約サイトに、次のような情報を、消費者にわかりやすく表示することが求められています。

(1)事業者の基本情報

  • 社名(登記簿上の商号)
  • 住所
  • 代表者等の氏名
  • 旅行業登録の有無

(2)問い合わせ先や受付時間

  • 問い合わせ先(電話番号、メールアドレスなど)
  • 問い合わせに対応する言語や時間帯

(3)契約条件

  • 契約当事者及び契約形態
  • 旅行代金額及び支払方法
  • キャンセル条件
  • 最終確認画面(契約する前に、内容を確認できる画面)

(4)契約内容の確認

  • 契約後、サイト上や電子メールなどで契約内容を消費者に伝える。

※「オンライン旅行取引に関するガイドライン」

観光庁では、OTAや旅行業者、関係団体に対し、このOTAガイドラインの周知と遵守を要請しています。

4旅行予約サイト選びのチェックポイントは?

イラスト:取引条件書が表示されているパソコン画面

交通機関や宿泊先など、魅力的で安価な旅のメニューが盛りだくさんの旅行予約サイトでも、予定の変更やキャンセルあるいは交通機関の遅延などの突発事項が起きた際に、適切な対応ができる事業者かどうかを確認しておくことも大事です。OTAガイドラインを踏まえて、信頼できる旅行予約サイトを選ぶためのチェックポイントをご紹介します。

予約サイト利用時のチェックポイント

旅行予約サイトに、次のような情報を、消費者にわかりやすく表示することが求められています。

ポイント1 事業者の基本情報が分かりやすいか

  • 事業者の名称
  • 住所
  • 代表者等の氏名
  • 旅行業登録の有無

サイト名だけでなく、「企業名」「事業者名」「住所」も確認しましょう。住所は国内か海外かも確認を。
国内の旅行業者の場合は、旅行業登録の有無を確認しましょう。日本国内で旅行取引を行う事業者は旅行業登録を受けていることが必要です。登録を受けているかどうかは、ウェブサイト上に記載された登録番号で確認することができます。また、登録行政庁(観光庁または都道府県)に確認することもできます。
旅行業登録を受けた事業者は、日本の法令(旅行業法など)に基づいて取引を行うことが義務づけられています。
旅行予約サイトでも、他の旅行業者の旅行プランの比較・紹介のみを行う「場貸しサイト」や「メタサーチ」は、直接旅行取引を行わないため、旅行業登録は不要となる場合もあります。
海外に拠点がある事業者は、日本の旅行業法の登録を受けていない場合がほとんどです。その場合、利用規約の内容が、国内の旅行業者のものと大きく異なることもありますので、内容をよくご確認ください。

ポイント2 問い合わせ対応の記載が十分か

  • 問い合わせ連絡先
  • 問い合わせ受付時間
  • 問い合わせ対応言語

トラブルが起きたときの受付体制について予め確認しておきましょう。なお、ウェブサイトによっては、日本語での対応が十分になされない可能性もあります。日本語に対応した問い合わせ先が設置されているかもチェックしておきましょう。

ポイント3 契約条件が確認しやすいか

  • 契約当事者
  • 支払代金額・内訳(運送・宿泊代金/手配料金/消費税など)
  • 支払方法(先払いなのか、現地払いなのかなど)
  • キャンセル条件
  • 利用規約・約款

旅行予約サイトには、他の旅行業者の旅行プランの比較・紹介のみを行うものもあります。このようなサイトの運営者は、契約当事者とはなりません。申し込みをするときには、契約当事者がだれになるのかを必ず確認しましょう。
「利用規約・約款」は、その内容がそのまま事業者との契約内容となります。一般に、予約ページなどからリンク先の「利用規約・約款」を確認できるようになっていますので、支払方法やキャンセル条件などを必ず確認してください。

旅行予約サイトでの予約・申し込みでは、店頭販売と違って消費者とスタッフが対面して説明されることは普通ありません。旅行取引のトラブルを防ぐためには、消費者自身が、旅行予約サイトに記載されている旅行取引などの内容をよく確認し、理解したうえで申し込むことが大切です。
トラブルを未然に防ぐために、消費者はキャンセル時の注意点などを確認し、きちんと理解してから「申し込み」ボタンをクリックしましょう。また、万一、トラブルが発生したときに備え、申し込み時の予約画面や確認メールを印刷するなどして保存しておきましょう。

(取材協力:観光庁 文責:政府広報オンライン)

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