令和4年(2022年)7月11日
勲章のはなし
国が功労を表彰するということ

勲章は、国や公共のために功労があった方を、国として表彰するもの。そんな勲章の種類や授与にいたる手続、勲章の着け方などをご紹介します。
1.何のためにあるの?
国や公共のために功労のあった方などを、国として表彰するためです。
社会や多くの人のために重要な仕事をした人、目立たなくても大切な仕事をこつこつと長年続けた人、誰かを救うために力を尽くした人――そうした人や仕事ぶりに、光を当てる仕組みがあります。
国や公共のために功労のあった方、社会の各分野において優れた行いのあった方などに対し、国としてその功績や業績を表彰するために、「栄典制度」が設けられています。その栄誉のしるしとして勲章や褒章が授与されます。
毎年、4月29日(昭和の日)と11月3日(文化の日)に授与される「春秋叙勲・褒章」はニュースにも取り上げられますので、ご存じの方は多いと思います。
勲章制度は明治8年(1875年)、褒章制度は明治14年(1881年)に創設されました。我が国の「栄典制度」は明治以来の長い歴史と伝統があります。平成15年(2003年)に大きな制度改正が行われ、平成28年(2016年)にも見直しが行われました。この見直しで、これまであまり栄典が授与されてこなかった分野で活躍している民間の方々へも、積極的に栄典授与を進めていくこととしました。
今後も、長い歴史と伝統を大事にしながら、時代の変化に対応した、より国民に親しまれる栄典制度を目指して見直しが進められます。
2.どんな種類があるの?
勲章と褒章の2つがあり、功績の内容に応じていくつかの種類が。
大きく分けると、勲章(くんしょう)と褒章(ほうしょう)の2種類があり、それぞれいくつかの種類が設けられています。
【勲章の種類】
勲章には、大勲位菊花章、桐花大綬章、旭日章、瑞宝章、文化勲章などがあります。
大勲位菊花章や桐花大綬章は、内閣総理大臣や衆議院・参議院の議長、最高裁判所長官の三権の長を務めた方などに授与されています。
旭日章は、功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた方に、瑞宝章は、公務などに長年にわたり従事し、成績を挙げた方に、授与される勲章です。
文化勲章は、科学や文化の発達に関し特に顕著な功績のある方が対象です。
種類 | 授与対象 | ||
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大勲位菊花章(だいくんいきっかしょう) 大勲位菊花章頸飾(だいくんいきっかしょうけいしょく) 大勲位菊花大綬章(だいくんいきっかだいじゅしょう) |
旭日大綬章または瑞宝大綬章を授与されるべき功労より優れた功労のあるかた | ||
桐花大綬章(とうかだいじゅしょう) | |||
旭日章(きょくじつしょう) | 瑞宝章(ずいほうしょう) | 国家または公共に対し功労のあるかた | |
旭日大綬章(きょくじつだいじゅしょう) 旭日重光章(きょくじつじゅうこうしょう) 旭日中綬章(きょくじつちゅうじゅしょう) 旭日小綬章(きょくじつしょうじゅしょう) 旭日双光章(きょくじつそうこうしょう) 旭日単光章(きょくじつたんこうしょう) |
瑞宝大綬章(ずいほうだいじゅしょう) 瑞宝重光章(ずいほうじゅうこうしょう) 瑞宝中綬章(ずいほうちゅうじゅしょう) 瑞宝小綬章(ずいほうしょうじゅしょう) 瑞宝双光章(ずいほうそうこうしょう) 瑞宝単光章(ずいほうたんこうしょう) |
旭日章 功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げたかた |
瑞宝章 公務等に長年にわたり従事し、成績を挙げたかた |
文化勲章(ぶんかくんしょう) | 文化の発達に関し特に顕著な功績のあるかた |
上記のほかに、外国人に対する儀礼叙勲等特別な場合に、女性のみに授与される勲章として、宝冠章があります。
【勲章のデザイン】
勲章のデザインは種類ごとに異なります。
大勲位菊花大綬章は皇室の御紋章である菊花、桐花大綬章は旭日に桐の花を配したデザインとなっています。旭日章は、国旗「日の丸」を象徴する日章を中心に光線を配した旭光のデザインで、“旭日昇天”の意気を示すものといわれています。瑞宝章は、古代の宝であった宝鏡を中心にデザインされ、大小16個の連珠を配し、四条ないし八条の光線が付してあります。文化勲章は、橘の白い五弁の花で、中央には赤地に白い三つ巴の曲玉がデザインされています。
勲章を身に着けるためのリボンを綬(じゅ)といい、勲章と綬がセットになったものが正式の形です。このほか身に着けやすいよう簡略化したものに「略綬(りゃくじゅ)」があります。略綬とは、勲章と併せて授与される円形の綬のことで、勲章に代えて着用することができます。
勲章のデザイン(一部)
大勲位菊花章頸飾 | 大勲位菊花大綬章
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桐花大綬章
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旭日大綬章
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瑞宝大綬章
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文化勲章
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写真をクリックすると拡大します
【褒章の種類とデザイン】
褒章は、授与対象に応じて6種類あります。褒章のデザインは、6種類すべて同じで「褒章」の2つの文字を桜の花で飾った円形のメダルです。種類に応じて綬(リボン)の色がそれぞれ異なります。
種類 | 授与対象 |
---|---|
紅綬褒章(こうじゅほうしょう) | 自己の危難を顧みず人命の救助に尽力したかた |
緑綬褒章(りょくじゅほうしょう) | 長年にわたり社会に奉仕する活動(ボランティア活動)に従事し、顕著な実績を挙げたかた |
黄綬褒章(おうじゅほうしょう) | 農業、商業、工業等の業務に精励し、他の模範となるような技術や事績を有するかた |
紫綬褒章(しじゅほうしょう) | 科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げたかた |
藍綬褒章(らんじゅほうしょう) |
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紺綬褒章(こんじゅほうしょう) | 公益のため私財を寄附したかた |
褒状(ほうじょう) | 褒章を授与されるかたが団体等である場合 |
飾版(しょくはん) | 既に褒章を授与されたかたに更に同種の褒章を授与する場合 |
3.誰に授与するか、どうやって決まるの?
各府省の大臣などから内閣総理大臣に推薦された候補者は、審査を経て、閣議で決定されます。
「春秋叙勲」では、毎回おおむね4,000名の方に勲章が授与されます。
春秋叙勲の対象者は、国または公共に対し功労のあった方で、(1)70歳以上の方、または(2)55歳以上で精神的または肉体的に著しく労苦の多い業務や人目に付きにくい分野で長年業務に精励した方です。
「春秋褒章」では、毎回おおむね800名の方に褒章が授与されます。
春秋褒章では、紺綬褒章を除く5種の褒章が授与されます。紺綬褒章は毎月1回発令されます。褒章の対象者は、それぞれの褒章にふさわしい功績がある方で、年齢の制限はありません。
勲章と褒章の候補者は、各府省の大臣などから内閣総理大臣に推薦され、内閣府賞勲局での審査を経て、閣議決定の後、天皇陛下の御裁可を得て発令されます。
各府省などは、通常、都道府県・市町村や関係団体から推薦された方の中から候補者を選考します(通常推薦)。
この選考方法とは別に、国民の皆さんから春秋叙勲の候補者としてふさわしい方を内閣府賞勲局に推薦していただく方法があります(一般推薦)。
一般推薦の方法は、推薦者1名と賛同者2名で推薦することができます。推薦者が推薦書を、賛同者がそれぞれ賛同書を作成し、推薦書1通と賛同書2通を同封して内閣府賞勲局に郵送により提出していただきます。
内閣府賞勲局は、推薦書と賛同書に記載されている一般推薦の候補者の功績に関係する府省などと協議するなどして、春秋叙勲の候補者としてふさわしいか慎重に検討します。
検討の結果、春秋叙勲の候補者としてふさわしいと判断された方は、関係府省などから通常推薦の方と同様に正式に内閣府賞勲局に推薦されることとなります。
○一般推薦の候補者(推薦される方)
国または公共に対し功労のある方で、
- 70歳以上の方
- 55歳以上の方で、精神的または肉体的に著しく労苦の多い業務に精励した方、または人目に付きにくい分野で長年業務に精励した方
70歳以上の方の例としては、社会福祉施設の長、保育園の園長、病院長、自治会長や商工会議所の役員など地域で活躍された方、企業経営者として公益に貢献した方、国勢調査員、保護司、人権擁護委員、民生・児童委員、調停委員などです。
55歳以上の方の例としては、保育士、介護職員、看護師、へき地の医師・保健師・助産師、消防団員などが挙げられます。
○一般推薦の推薦者・賛同者(推薦する方)
一般推薦では、20歳以上の方ならどなたでも推薦者・賛同者になることができます。
ただし、候補者自身や二親等内の親族関係にある方が推薦者・賛同者となることはできません。また、推薦者と賛同者も二親等内の親族関係にない方に限ります。
例えば、会社の同僚や地域活動の仲間など3名でどなたかを推薦することができます。
推薦書や賛同書の書式は、内閣府賞勲局ホームページで入手できます。
保育士や介護職員として社会福祉の現場で長年従事された方など、普段はあまり目立たないところで尽力された方、自治会や商工会議所を始め、地域で幅広く活躍されている方など、公共に対して功労のある方の推薦をお待ちしています。
推薦は年間を通して受け付けています。
推薦方法など詳しくは下記にお問い合せください。
内閣府賞勲局総務課一般推薦担当
〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111 (内線 83244)
内閣府「春秋叙勲の候補者としてふさわしい方の推薦(一般推薦)について」
コラム
「一般推薦」に関するQ&A
Q.受付期間や締め切りはあるの?
A.年間を通じて常時受け付けています。
Q.受付からどのくらいの期間で結果が出るの?
A.それぞれの推薦内容に応じて慎重に検討されますので、結果が出るまでの期間は一定ではありません。1年程度かかることもあります。また、「いついつまでに受章したい」というご要望にはお応えできません。検討の結果、受章に至らない場合もあります。
Q.結果は教えてくれるの?
A.結果は、推薦者に文書を郵送します。
Q.推薦には、推薦書・賛同書の他に参考資料を添えた方がいいの?
A.推薦された方の功績は、関係する府省などを通じて確認しますので、推薦書・賛同書のみで結構です。
Q.自分自身や、親などの親族を推薦してもいいの?
A.自分自身と二親等以内の親族は推薦できませんし、賛同者になることもできません。
4.いろいろな叙勲
危険性の高い仕事をした方、功労があった高齢の方、外国の国賓や公賓などにも。
春秋叙勲のほかに、次のような叙勲もあります。
- 危険業務従事者叙勲:
著しく危険性の高い業務に精励した者のうち、国または公共に対し功労のある方が対象となります。(警察官、自衛官、消防吏員、海上保安官など)
春秋叙勲と同様に毎年4月29日と11月3日付けで発令されます。 - 高齢者叙勲:
春秋叙勲でいまだ受章されていない功労者に対して、88歳に達した機会に勲章を授与しています。毎月1日付けで発令されます。 - 死亡叙勲:
勲章授与の対象となる方が死亡した場合は、速やかに勲章を授与します。
原則として死亡日から30日以内に手続を完了します。 - 外国人叙勲:
日本との友好親善などに顕著な功績のあった外国人に対する叙勲(春秋外国人叙勲)と、来日した国賓や、離任する特定国の駐日大使などに対して実施する叙勲(儀礼叙勲)があります。
コラム
勲章の授与と着用方法
春秋叙勲の場合、大綬章は宮中で天皇陛下から親授され、重光章は宮中で内閣総理大臣から伝達されます。中綬章などその他の勲章は、各府省の大臣などから伝達されます。
受章者は、勲章または褒章を着用し、配偶者同伴で陛下に拝謁します。その際の服装や勲章の着用方法や着用位置などは、細かいルールが定められています。
いろいろな着用の仕方
桐花大綬章 (男性) |
旭日大綬章 (女性) |
旭日重光章 (女性) |
瑞宝中綬章 (男性) |
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瑞宝小綬章 (女性) |
旭日双光章 (男性) |
黄綬褒章 (女性) |
瑞宝小綬章と藍綬褒章 (男性) |
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(取材協力:内閣府 文責:政府広報オンライン)
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