コンタクトレンズによる目のトラブルにご注意を!
コンタクトレンズの不適切な使用による目のトラブルが発生しています。レンズの手入れが不十分だったり、レンズを長時間つけていたりして、目の障害が生じる例が。背景に眼科医の診察や処方、定期検査を受けないことなどがあります。コンタクトレンズを使う際は、必ず眼科医の処方を受け、適切な扱い方をお忘れなく。
1コンタクトレンズでどんな目のトラブルが起きているの?
コンタクトレンズを使用して目にトラブルが起きたという情報が、国民生活センター「医師からの事故情報受付窓口(愛称「ドクターメール箱」/コラム参照)」に寄せられています。その数は平成26年(2014年)8月から令和4年(2022年)12月までの約8年間に104件。多くは軽症で済んでいますが、中には「一歩間違えれば失明につながる状態」とみられたものもありました。
コンタクトレンズのトラブルを患者の年代別にみると20代、30代が多く、購入先ではインターネット通販が半数以上を占め最も多くなっています。また、レンズの種類別ではソフトコンタクトレンズのカラーコンタクトレンズでのトラブルが7割近くを占めています。
患者の年代(n=104件)
購入先(n=90件)
レンズの種類(n=94件)
資料:国民生活センター
具体的にどのような目のトラブルが起きているか、国民生活センターに寄せられた情報から事例を紹介します。
【事例1】不適切なレンズケアなどによる角膜びらん(20代、女性)
朝から右眼がかすみ、ぼやけると訴えて受診。重症の角膜びらん(治療期間2週間)と診断。ソフトコンタクトレンズのつけ方やレンズケアが不適切だったことが原因と考えられる。患者は2年以上眼科で検査を受けずに、メガネ店でソフトコンタクトレンズを繰り返し購入していた。
【事例2】不適切なレンズケアなどによる角膜浸潤、結膜びらん(20代、女性)
前日からの右眼充血を訴えて来院。両眼に角膜浸潤、結膜びらんを認めた。2年前に検査を受けた後、全く検査を受けずにネット購入を繰り返していた。レンズのこすり洗いも行っていないに等しい状態だった上に、2週間交換タイプのソフトコンタクトレンズを1か月交換と勘違いしていた。
【事例3】汚れた状態のまま使用。角膜のほぼ半分にびらんが認められた(20代、女性)
右眼の強いゴロゴロ感、まぶしさを自覚して来院。両眼、特に右眼は角膜のほぼ半分の範囲にびらんが認められ、角膜内皮も減少していた。患者が装用していたコンタクトレンズは明らかに汚れており、時々装用したまま寝ているとのことで、レンズケースも洗浄したことがないといい、一歩間違えれば失明につながる状態であった。
角膜びらん、角膜浸潤とは?
角膜上皮びらん:黒目の表面にある角膜上皮層の一部が脱落した状態で、痛みを伴う。一般に、治療により1週間程度で治る。
角膜浸潤:角膜上皮層やその内側にある角膜実質が炎症を起こした状態。感染を伴うと重症化しやすい。
※参考:一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズによる目の病気」
2目のトラブルが起こる原因は?
コンタクトレンズによる目のトラブルは、レンズの手入れが不適切であったり、レンズを長時間つけていたりしたことが、主な原因となっています。
また、ドクターメール箱に寄せられた事故情報の多くは、眼科を受診せずに、インターネット通販や量販店などでレンズを購入していました。
コンタクトレンズは使用上のリスクなどから、法律上、「高度管理医療機器」に分類されています(※)。適切に使用しないと重篤な目の障害を引き起こすこともあります。コンタクトレンズを安全に使用するために、眼科医で診察と取扱方法の指導を受けて適切なレンズを処方してもらい、定期的に検査を受けることが推奨されています。

視力補正のためのコンタクトレンズだけでなく、瞳の大きさや色を変えてみせるカラーコンタクトレンズ(いわゆる“カラコン”)も、高度管理医療機器であり、眼科医での検査・処方が重要です。
眼球に直に接して装用する点では、カラコンも透明のコンタクトレンズも違いはありません。つけ方やレンズケアが不適切だったり、長時間つけていたりすると、目のトラブルを引き起こすことがあります。
おしゃれ目的でカラコンを使用するかたも、購入するときは必ず眼科医を受診し、医師の指示に基づいてコンタクトレンズを適切に使用することが重要です。
※医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、薬機法)
3コンタクトレンズによる目のトラブルを防ぐには?
コンタクトレンズを購入する際は必ず眼科を受診し、処方に従ったレンズを選びましょう

コンタクトレンズを安全、快適に使用するためには、眼科医の診察に基づく処方が不可欠です。コンタクトレンズを購入する際には、必ず眼科を受診して、処方を受けましょう。
コンタクトレンズを使用していて目に異常を感じたら、直ちに使用を止めて眼科を受診しましょう。
また、目に異常を感じていなくても、コンタクトレンズを使用する人は必ず定期的に検査を受けましょう。
使い捨てタイプのコンタクトレンズは、使用期間を守りましょう
使い捨てタイプのコンタクトレンズには、「1日タイプ」「2週間タイプ」などの種類があり、それぞれ使用する期間が決められています。期間を超えて使い続けると目のトラブルにつながりかねません。使用期間を守り、定期的に新しいレンズに交換しましょう。
繰り返し使用できるレンズは、レンズケアを適切に行いましょう
コンタクトレンズの汚れは、目のトラブルの原因になります。繰り返し使用できるコンタクトレンズは、眼科医の指示に従い、適切な方法、適切な頻度でレンズケアを行いましょう。
レンズケアの方法は、次のサイトも参考にしてください。
コラム
コンタクトレンズを取り扱うときの注意点
コンタクトレンズの汚れを防いだり、目を傷つけたりしないように、コンタクトレンズを取り扱うときには、次の点に注意しましょう。

- 爪は丸く滑らかに切っておく
爪が伸びていると、コンタクトレンズを傷つけることがあります。 - コンタクトレンズを取り扱う前は必ず手指をせっけんでよく洗う
手にはいろいろな汚れがついています。コンタクトレンズを装着するときも外すときも、必ずせっけんで手を洗いましょう。 - お化粧はコンタクトレンズの装着後に
化粧品を扱った手でコンタクトレンズを扱うと、レンズに化粧品が着いて汚れの原因になります。 - コンタクトレンズはなめないで
ハードコンタクトレンズをなめてつける人がいますが、唾液には雑菌やウイルスが含まれていることがあります。目に雑菌などが入る危険があるので、絶対にやめましょう。 - つける前にコンタクトレンズをよく点検する
装着する前にレンズに異常がないか確認しましょう。傷や破損、変形、落ちない汚れがあるときは、コンタクトレンズの使用を中止し、眼科医に相談してください。
コラム
医師の皆様へ~「消費者事故かな?」と思われたら、国民生活センターに情報をお寄せください
食品等の摂取や、製品・施設・役務の利用により、生命・身体に被害を受けたという患者さんが受診された場合は、「医師からの事故情報受付窓口」(愛称:ドクターメール箱)へ情報提供をお願いいたします。
ご提供いただいた情報は、消費者への注意喚起や事業者への製品改善の働きかけなど、事故の再発・拡大防止に向けた検討・取組に活用します。
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- 医師からの事故情報受付窓口(愛称:ドクターメール箱)
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国民生活センターHP
※交通事故や暴力、労災については、情報収集の対象ではありません。
(取材協力:(独)国民生活センター、消費者庁 文責:政府広報オンライン)