「原野商法」再燃! 「土地を買い取ります」などの勧誘に要注意

シェアする

「あなたの持っている原野を高値で買い取ります」――そんな勧誘を受けた方はいませんか?「原野商法」とは、値上がりの見込みがほとんどないような山林や原野について「将来高値で売れる」などと勧誘して不当に買わせるもので、1970~1980年代にかけて被害が多発しました。近年、その被害に遭った方が、さらに被害に遭うケースが増加しています。しかも1件あたりの支払額が高額になっており、被害はより深刻に。最近の手口と予防策をご紹介します。

1原野商法の二次被害の状況は?二次被害トラブルの相談件数が急増、被害額は高額化。

「原野商法」は、値上がりの見込みがほとんどないような山林や原野について、実際には建設計画等はないにもかかわらず「開発計画がある」「もうすぐ道路ができる」などとうその説明をしたり、「将来確実に値上がりする」などと問題勧誘を行ったりして販売をする商法です。1970年代から1980年代にかけて被害が多発しました。
この「原野商法」の二次被害が、近年増加しています(図1)。特に、かつて原野商法の被害に遭った方が、「あなたの持っている土地を買い取ります」などといった勧誘をきっかけに巧妙な手口で売却額より高い新たな山林や原野を購入させられる二次被害が目立っています。

図1 原野商法の二次被害トラブルのイメージ

国民生活センター公表資料をもとに作成

原野商法の二次被害に関する消費生活相談の件数は、2010年度までは年間500件以下でしたが、2013年度以降、ほぼ毎年1,000件を超えています(図2)。

図2 原野商法の二次被害トラブルの年度別相談件数

国民生活センター公表資料をもとに作成(2019年4月30日までのPIO-NET 登録分)

しかも1件あたりの平均被害額は、2014年度の189万円から2018年度は484万円と2.6倍と大幅に増加し、被害が深刻化しています(図3)。

図3 原野商法の二次被害トラブルの年度別平均支払金額

国民生活センター公表資料をもとに作成(2019年4月30日までのPIO-NET 登録分)

また、2009年度から2018年度までの契約当事者を年代別にみると、91%が60歳代以上の高齢者が占めています(図4)。

図4 契約当事者の年代別割合

国民生活センター公表資料をもとに作成

2どんなふうに勧誘されているの?不動産業者を名乗り、電話や訪問して「あなたの土地を高く買い取ります」などと勧誘。

最近、どのような原野商法トラブルが起きているのか、実際の例をご紹介します。

【事例1】雑木林を買い取ると勧誘され、節税対策と言われお金を支払ったが、実際は原野の購入と売却の契約だった

宅地建物取引業の免許を持つ見知らぬ業者から電話があり、相続した雑木林の売却話を持ちかけられた。この雑木林は両親が昔400万円で購入した土地である。最初は断っていたが、「オリンピックまでにその土地一帯に複合レジャー施設を造る予定」「約5,000万円で買い取る」と何度も電話で勧誘され、根負けし喫茶店で話を聞いた。
その際、「他の土地を購入すれば節税になる」、「購入費用は税金対策処理後に返す」などと勧められた。よく分からなかったが、買い手のつかない雑木林が売れるならなどと思い約400万円を支払って契約書にサインした。
その後、期日になってもお金は支払われず業者は電話に出ない。改めて売買契約書を確認したところ、雑木林を約1,200万円で売り、原野を約1,600万円で購入する契約になっていた。(60歳代・女性)

【事例2】山林を購入したい人がいると説明され、調査と整地費用を払った

40年前に30坪と100坪の山林を購入し所有している。先日、「30坪の方の土地を欲しがっている人がいる」と不動産業者から電話があり、買いたい人がいるならと思い了解した。
その後、不動産業者から、売るに当たり調査や整地等が必要と言われ、請求されるままに合計190万円を支払った。
30坪の土地の売却代金が入ると思っていたが、今度は「同じ人が100坪の土地も欲しがっているので調査費を80万円払ってほしい」と言われた。
先に30坪の土地を売ってからにしたいと伝えたが、「まとめて売れば3か月以内にお金が入る」と言われた。子供に相談したところ、原野商法の二次被害に手口が似ているという。どうすればよいか。(60歳代・男性)

【事例3】覚えのない管理業者から別荘地の管理費20年分を支払えとの通知が届いた

覚えのない管理業者から、約25年前に購入した別荘地について管理費を滞納しているので支払えとの通知が届いた。その後、その管理業者から電話があり、「購入した別荘地の管理を担当している。管理費用が20年前から滞納となっている」として、管理費約70万円と滞納金約50万円の合計約120万円を請求された。しかし、購入当初の管理サービスについてはすでに解約しているし、業者名も違う。あやしいので支払いたくない。(50歳代・男性)

(参考:国民生活センター「より深刻に!「原野商法の二次被害」トラブル-原野や山林などの買い取り話には耳を貸さない!契約しない!-」

最近では、「売却勧誘-下取り型」という巧妙で複雑な手口が非常に目立っています【事例1】。この手口では、「あなたの持っている土地を高値で買い取る」などといった電話勧誘がまず行われます(売却勧誘)。そしてその後、業者は契約内容の詳細を説明せずに「節税対策」などといった名目でお金を請求してきます。しかし、この説明は適切ではなく、実際は原野等の売却と同時により高い金額の新たな原野等の土地購入をセットで契約させています(下取り)。結果として消費者は契約内容を適切に認識できないままに売却する土地と購入する土地の差額分を支払う契約を結ばされてしまう、というものです。
また、「土地を買い取るにあたり調査や整地が必要なので、その費用を支払ってもらいたい」と勧誘して、お金を支払わせようとする手口「売却勧誘-サービス提供型」も、依然として見られます【事例2】。
また、根拠がはっきりしないにもかかわらず「あなたの持っている土地をずっと管理してきたので、その費用を支払ってもらいたい」と請求を受ける「管理費請求型」もあります【事例3】。

最近の原野商法の二次被害における勧誘手口を整理すると、図5のとおりとなります。

図5 原野商法の二次被害における勧誘手口

国民生活センター公表資料をもとに作成

そのほかの特徴として、かつて原野商法に巻き込まれ、価値の低い土地を長年保有し続けてきた高齢者が、「子に相続の負担をかけたくない」「自分が元気なうちに清算したい」と思っている気持ちにつけこんで、業者は勧誘を行っているものと考えられます。

また、親などから相続した原野や山林について、子供世代が狙われたケースもあります。

3原野商法に巻き込まれないためには?不審な勧誘を受けたら消費生活センターに相談を。

「原野商法の二次被害」トラブルでは、契約後は業者と連絡がつかなくなることがほとんどであり、一度お金を支払ってしまうと、そのお金を取り戻すことは非常に困難です。以前購入した原野等の買い取り話を不用意に聞いてしまうと、さらなるトラブルに遭ってしまう恐れがありますので、「土地を買い取る」といった勧誘には、耳を貸さずきっぱりと断りましょう。
そもそも、購入した「原野」はこれまで値上がりもせず、開発することもできなかった土地です。「値上がりする」「買いたい人がいる」といったうまい話ほど、まずは疑ってかかりましょう。業者の説明に少しでも不審な点があったり、不安を感じることがあったりした場合は、決してすぐにお金を支払わず、お近くの消費生活センターなどに相談しましょう。
昔買った原野を処分したいと思っても、その場で話を聞いたり判断したりせず、家族など周囲の人に相談することが大事です。

また、70歳代、80歳代と特に高齢者が被害に遭いやすくなっていますので、ご本人が用心するだけでなく、ご家族や地域の方々が高齢者の方を見守ることが重要です。
口数が減る、買い物をあまりしなくなる、借金を申し込んでくるなど、高齢者の生活に変化がないか気を配りましょう。不審な勧誘を受けている、お金を支払ってしまったなど、困っているときは、消費生活センターなどへ相談するよう勧めましょう。

原野商法で買った土地について「買い取る」などの勧誘を受けたら?まず疑ってかかる。きっぱりと断る。即決しないで、家族などに相談する。業者が宅地建物取引業の免許を持っていても、安易に信用しない。根拠がはっきりしない請求にはお金を支払わない。周りの人も、高齢者がトラブルにあっていないか気を配る。おかしいと感じたり、トラブルに遭ったりしたら、消費生活センター等にご相談を。

国民生活センター公表資料をもとに作成

<相談窓口>

全国共通の電話番号「消費者ホットライン」188(いやや!)

*地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口をご案内します。
*年末年始を除き、原則毎日ご利用できます。
*相談は無料です。なお、相談窓口につながった時点から通信料は発生します。

(取材協力:消費者庁、(独)国民生活センター 文責:政府広報オンライン)

リンク・著作権等について
このコンテンツは役に立ちましたか?
このコンテンツは分かりやすかったですか?
このコンテンツで取り上げたテーマについて関心が深まりましたか?

ご意見・ご感想

関連サイト

  • 世論調査別ウインドウで開きます
  • 首相官邸別ウインドウで開きます

外部のウェブサイトに移動しますが、よろしいですか。
よろしければ以下をクリックしてください。

ご注意
  • リンク先のウェブサイトは、内閣府政府広報室のサイトではありません。
  • この告知で掲載しているウェブサイトのURLについては、2023年11月21日時点のものです。
  • ウェブサイトのURLについては廃止や変更されることがあります。最新のURLについては、ご自身でご確認ください。
Top