令和3年(2021年)3月24日
若者を中心に大麻による検挙者が急増!
「誘われて」「興味本位で」が落とし穴に。

近年、若者を中心に大麻による検挙者が急増しています。大麻使用のきっかけは「誘われて」「興味本位で」。インターネットなどでは「大麻は他の薬物より安全、害がない」、「大麻は依存にならない、いつでもやめられる」、「海外では大麻が合法化されているから安全」という情報もあり、警戒心を薄れさせていますが、そうした情報は誤りです!大麻の有害性や依存性など正しい情報を知り、自分の身を守りましょう。
1.大麻とは
大麻取締法で規制されている薬物の一つです。
大麻はアサ科の一年草です。茎から丈夫な繊維が取れるので、昔から栽培・利用されてきました。一方で、大麻にはテトラヒドロカンナビノール(THC)という、脳に作用する成分が含まれており、乾燥させた葉などをあぶってその煙を吸うと酩酊感、陶酔感、幻覚作用などがもたらされ、依存性があります。現在、日本では大麻取締法によって大麻は厳しく規制されており、無免許の栽培や所持等は禁止されています。
大麻
大麻樹脂
大麻草
液状大麻(カートリッジ入り)
(写真提供:警察庁)
大麻についての詳しい説明はこちら
2.大麻による検挙状況は?
検挙者が急増し、令和元年は過去最多を大幅に更新。約6割が30歳未満。
近年、大麻に関連して検挙された人数が急増しています。大麻による検挙者数は、平成26年(2014年)の1,761人から令和元年(2019年)には4,321人に達し、過去最多を記録した平成30年を大幅に更新しました。薬物事犯全体(覚醒剤事犯、大麻事犯、麻薬及び向精神薬事犯及びあへん事犯)での検挙者数は近年横ばいが続く中、大麻事犯の増加が薬物事犯検挙者数全体を押し上げています。
大麻事犯の人口10万人当たりの年代別検挙人員の推移をみると、50歳以上及び30歳代はほぼ横ばいとなっている一方、その他の年齢層においては増加傾向にあります(図2)。特に大麻による検挙者の急増は、若年層が中心になっていることがうかがえます。
コラム
「薬物乱用」とは?
薬物乱用とは、社会のルールからはずれた方法や目的で、薬物を使うことです。
覚醒剤や麻薬などの違法薬物を使用することは、たとえ1回だけの使用でも乱用であり、同時に犯罪にもなります。
また違法薬物に限らず、病気や傷の治療に使う医薬品を本来の目的以外に使用することも乱用です。
薬物を規制する法律と主な規制薬物
法律 | 主な規制薬物 |
---|---|
覚醒剤取締法 | アンフェタミン、メタンフェタミン等(覚醒剤) エフェドリン、フェニルアセトン等(覚醒剤原料) |
麻薬及び向精神薬取締法 | コカイン、ヘロイン、LSD、MDMA等(麻薬) メタカロン、メチルフェニデート、トリアゾラム等(向精神薬) リゼルギン酸、無水酢酸、アセトン等(麻薬向精神薬原料) |
大麻取締法 | 大麻草及びその製品(成熟した茎等を除く) |
あへん法 | けし、あへん |
3.実態調査から探る、若者の検挙者数増加の背景
「有害ではない」という誤った認識と周囲からの「誘い」がきっかけに
警察庁が令和元年中の一定時期に大麻取締法違反で検挙された者631人に対して行った調査によると、大麻の危険(有害)性の認識が「ない(全くない、あまりない)」者は全体で78.9%に上りました(図3)。
図3 大麻に対する危険(有害)性の認識(令和元年、対象者631人)
資料提供:警察庁
警察庁においては、平成30年中にも同様の調査を実施(調査対象者716人)しており、大麻の危険(有害)性の認識が、「なし(全くない、あまりない)」と回答した者は、同年調査の76.1と比較して、2.8ポイント高いという結果が出ています。
図4 大麻に対する危険(有害)性の認識の比較
資料提供:警察庁
令和元年調査によると、初めて大麻を使用した経緯を「誘われて」と回答したのは、20歳未満では85.7%、20歳代では80.8%。初めて使用した年齢が若いほど、誘われて使用する比率が高いことがわかります。
また、初めて大麻を使用したときのきっかけは、「好奇心・興味本位」が高くなっています。また、20歳未満、20歳代、30歳代では「その場の雰囲気」の割合が高く、40歳代は「ストレス発散・現実逃避」の割合が高いことがわかります(図5)。
図5 初めて大麻を使用したきっかけ(令和元年、対象者631人)
資料提供:警察庁
4.なぜ、大麻の使用はいけないの?
心身に有害なうえ、やめようと思ってもやめられなくなる依存性が。
大麻の使用は心身に有害なうえ、やめようと思っても自分一人では止められなくなる依存性もあります。大麻に依存性がないというのは誤りです。
安易に大麻に手を出さないために、大麻の危険性や有害性について正しい情報を知りましょう。
■大麻の有害性・危険性とは?
・脳などの中枢神経系に影響を及ぼし、依存症になるおそれがあります。
大麻に含まれるTHCという成分は、脳などの中枢神経系に作用するため、大麻を使用すると心身に次のような変化が現れます。
酒に酔ったような感覚や手足のまひなどが現れる
視覚、聴覚、味覚、触覚等が鋭敏になる
思考が分裂して、現在、過去、未来の観念が混乱する
重度の心配やパニック、妄想・幻覚を引き起こす
また、大麻は酩酊感や陶酔感、幻覚をもたらすため、その感覚を味わった人は再び使用を繰り返す傾向があります。そのようにして使用を繰り返すうちに、自分の意思ではやめられなくなる「依存」という状態に陥る危険があります。
・人間関係や社会生活にも悪影響を及ぼす
薬物依存症になると、薬物の使用を何よりも優先して考えるようになり、日常生活に様々な悪影響を及ぼすようになります。
大麻は、暴力団や反社会的な組織などの資金源になっていることもあるため、大麻の購入は、そうした組織に加担することにもつながります。
■大麻に関する罰則は?
日本では大麻取締法によって、大麻の所持・譲渡・譲受・栽培などが原則禁止(※)されています。
態様 | 罰則 |
---|---|
所持・譲渡・譲受 | 単純:5年以下の懲役 (営利:7年以下の懲役+200万円以下の罰金) |
栽培・輸出入 | 単純:7年以下の懲役 (営利:10年以下の懲役+300万円以下の罰金) |
※都道府県知事の免許を受けた大麻取扱者のみが大麻の所持、栽培、譲受、譲渡等を認められており、大麻取扱者以外の者がこれらの行為を行った場合は罰せられます。
大麻など薬物乱用の危険性や有害性について、詳しく掲載されています。
大麻を安易に乱用した結果、人生はどうなってしまったか。乱用者の告白が掲載されています。
5.大麻成分入り食品を食べたり、持ち帰ってはいけないの?
海外渡航する際の注意点
国内において、大麻成分入りの食品を密輸入して検挙された事例や、大麻成分が入った食品と知らずに菓子を食べてしまい、体調不良となった事例が発生しています。
海外では、大麻成分入りのキャンディ、クッキー、チョコ等の食品が販売されていることがありますから、特に海外旅行や海外留学で渡航する際には、誤って口にしたり、国内に持ち帰ろうとすることがないよう注意が必要です。

大麻クッキー

大麻キャンディ

大麻スナック
(写真提供:警察庁)
6.もしも大麻に関して困ったときは?
一人で抱え込まない。迷わず相談窓口へ。
■大麻や薬物に誘われたら?
友達などから「気分が変わるよ」「1回だけなら大丈夫」「みんなやってるよ」と大麻や薬物に誘われても、勇気を出して「いらない!」「やらない!」と断りましょう。
断ったら仲間外れにされる、友達から嫌われる、という心配もあるかもしれませんが、本当の友達なら、違法な薬物をあなたに勧めたりしないはずです。
断りにくいような場合は、その場から離れ、逃げましょう。
■大麻や薬物について悩んだり困ったりしたときは?
大麻などの薬物についての悩みがある場合には、次のような相談窓口があります。一人で悩まず相談してください。
特に、依存症に陥っている場合は、本人の意思や家族の努力だけで解決するのは困難です。早めに専門の相談窓口に相談してください。
相談窓口
- 警察総合相談窓口 #9110
全国共通の電話番号「#9110」に電話をすると最寄りの都道府県警察の総合相談窓口につながります。 - 各都道府県の精神保健福祉センターや医薬課
- 全国地方厚生局 麻薬取締部
- あやしいヤクブツ連絡ネット
(取材協力:警察庁 文責:政府広報オンライン)
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