近年、若者を中心に大麻による検挙者が急増しています。大麻使用のきっかけや動機は「誘われて」、「興味本位で」が最多。インターネットなどでは「大麻は他の薬物より安全、害がない」、「大麻は依存性がない、いつでもやめられる」、「海外では大麻が合法化されているから安全」という情報もあり、警戒心を薄れさせていますが、そうした情報は誤りです!大麻の有害性や依存性などに関する正しい情報を知り、自分の身を守りましょう。
1大麻とは
大麻はアサ科の一年草です。茎から丈夫な繊維が取れるので、昔から栽培・利用されてきました。一方で、大麻にはテトラヒドロカンナビノール(THC)という、脳に作用する成分が含まれており、使用すると酩酊感、陶酔感、幻覚作用などがもたらされ、依存性があります。現在、日本では大麻取締法によって大麻は厳しく規制されており、無免許の栽培や所持等は禁止されています。
乾燥大麻
大麻樹脂
大麻草
液状大麻(カートリッジ入り)
(写真提供:警察庁)
大麻についての詳しい説明はこちら
コラム1
「薬物乱用」とは?
薬物乱用とは、社会のルールからはずれた方法や目的で、薬物を使うことです。
覚醒剤や麻薬などの違法薬物を使用することは、たとえ1回だけの使用でも乱用であり、同時に犯罪にもなります。
また違法薬物に限らず、病気や傷の治療に使う医薬品を本来の目的以外に使用することも乱用です。
薬物を規制する法律と主な規制薬物
法律 | 主な規制薬物 |
---|---|
覚醒剤取締法 | アンフェタミン、メタンフェタミン等(覚醒剤) エフェドリン、フェニルアセトン等(覚醒剤原料) |
麻薬及び向精神薬取締法 | コカイン、ヘロイン、LSD、MDMA等(麻薬) メタカロン、メチルフェニデート、トリアゾラム等(向精神薬) リゼルギン酸、無水酢酸、アセトン等(麻薬向精神薬原料) |
大麻取締法 | 大麻草及びその製品(成熟した茎等を除く) |
あへん法 | けし、あへん |
2大麻による検挙状況は?
近年、大麻に関連して検挙された人数が急増しています。大麻による検挙者数は、30歳未満の若年層を中心に平成26年(2014年)以降増加が続き、令和4年(2022年)は、5,342人と3年連続で5千人を超えています。薬物事犯全体(覚醒剤事犯、大麻事犯、麻薬及び向精神薬事犯及びあへん事犯)での検挙者数は近年横ばいが続く中、大麻事犯の増加が薬物事犯検挙者数全体を押し上げています。
大麻事犯の人口10万人当たりの年代別検挙人員の推移をみると、50歳以上及び30歳代においては、ほぼ横ばいとなっている一方、その他の年齢層においては増加しています。最も多い年齢層は、20歳代、次いで20歳未満となっており、特にこの年齢層の増加が顕著です。
3なぜ、大麻の使用はいけないの?
大麻の使用は心身に有害な上、やめようと思っても自分一人では止められなくなる依存性もあります。大麻に依存性がないというのは誤りです。
安易に大麻に手を出さないために、大麻の危険性や有害性について正しい情報を知りましょう。
大麻の有害性・危険性とは?
脳などの中枢神経系に影響を及ぼし、依存症になるおそれがあります。
大麻に含まれるTHCという成分は、脳などの中枢神経系に作用するため、大麻を使用すると心身に次のような変化が現れます。
知覚の変化・・・時間や空間の感覚がゆがむ
学習能力の低下・・・短期記憶が妨げられる
運動失調・・・瞬時の反応が遅れる
精神障害・・・統合失調症やうつ病を発症しやすくなる
IQ(知能指数)の低下・・・短期・長期記憶や情報処理速度が下がる
また、大麻は酩酊感や陶酔感、幻覚をもたらすため、その感覚を味わった人は再び使用を繰り返す傾向があります。そのようにして使用を繰り返すうちに、自分の意思ではやめられなくなる「依存」という状態に陥る危険があります。
人間関係や社会生活にも悪影響を及ぼすようになります。
薬物依存症になると、薬物の使用を何よりも優先して考えるようになり、日常生活に様々な悪影響を及ぼすようになります。
大麻は、暴力団や反社会的な組織などの資金源になっていることもあるため、大麻の購入は、そうした組織に加担することにもつながります。
大麻に関する罰則は?
日本では大麻取締法によって、大麻の所持・譲渡・譲受・栽培などが原則禁止(※)されています。
態様 | 罰則 |
---|---|
所持・譲渡・譲受 | 単純:5年以下の懲役 (営利:7年以下の懲役+200万円以下の罰金) |
栽培・輸出入 | 単純:7年以下の懲役 (営利:10年以下の懲役+300万円以下の罰金) |
※都道府県知事の免許を受けた大麻取扱者のみが大麻の所持、栽培、譲受、譲渡等を認められており、大麻取扱者以外の者がこれらの行為を行った場合は罰せられます。
大麻など薬物乱用の危険性や有害性について、詳しく掲載されています。
大麻を安易に乱用した結果、人生はどうなってしまったか。乱用者の告白が掲載されています。
4大麻成分入り食品を食べたり、持ち帰ってはいけないの?
国内において、大麻成分入りの食品を密輸入して検挙された事例や、大麻成分が入った食品と知らずに菓子を食べてしまい、体調不良となった事例が発生しています。
海外では、大麻成分入りのキャンディ、クッキー、チョコ等の食品が販売されていることがありますから、特に海外旅行や海外留学で渡航する際には、誤って口にしたり、国内に持ち帰ろうとすることがないよう注意が必要です。
大麻クッキー
大麻キャンディ
大麻スナック
(写真提供:警察庁)
5もしも大麻に関して困ったときは?
大麻や薬物に誘われたら?
友達などから「気分が変わるよ」「1回だけなら大丈夫」「みんなやってるよ」と大麻や薬物に誘われても、勇気を出して「いらない!」「やらない!」と断りましょう。
断ったら仲間外れにされる、友達から嫌われる、という心配もあるかもしれませんが、本当の友達なら、違法な薬物をあなたに勧めたりしないはずです。
断りにくいような場合は、その場から離れ、逃げましょう。
大麻や薬物について悩んだり困ったりしたときは?
大麻などの薬物についての悩みがある場合には、次のような相談窓口があります。一人で悩まず相談してください。
特に、依存症に陥っている場合は、本人の意思や家族の努力だけで解決するのは困難です。早めに専門の相談窓口に相談してください。
薬物問題に関する相談窓口等について、詳しく掲載されています。
相談窓口
- 各都道府県警察の薬物相談電話
- 警察庁「各都道府県警察の薬物相談電話一覧」
- 各都道府県の精神保健福祉センターや医薬課
- 厚生労働省「薬物乱用防止相談窓口一覧」
- 全国地方厚生局 麻薬取締部
- 全国地方厚生局 麻薬取締部 所在地
- あやしいヤクブツ連絡ネット
- あやしいヤクブツ連絡ネット ホームページ
電話 連絡ネットコールセンター 03-5542-1865
コラム2
大麻乱用者の実態
警察庁が令和4年(2022年)中の一定時期に大麻取締法違反で検挙された者911人に対して行った調査では、平成29年(2017年)の調査結果と比べて次のような傾向が見られました。
初めて大麻を使用した年齢層の割合
20歳未満が36.4%から52.1%に増加。若年層の中でも特に20歳未満での乱用拡大が顕著。
初めて大麻を使用したきっかけ
「誘われて」と回答したのは、20歳未満では80.2%、20歳代では70.8%。初めて使用した年齢が若いほど、誘われて使用する割合が高い。
初めて大麻を使用した動機
「好奇心・興味本位」が最多で、次いで、20歳未満、20歳代では「その場の雰囲気」の割合が高い。
大麻に対する危険(有害)性の認識
「ない(全くない、あまりない)」と回答した者が79.5%。覚醒剤に対する危険(有害)性の認識と比較すると、著しく低くなっている。
大麻に対する危険(有害)性を軽視する情報の入手先
「友人・知人」や「インターネット」が多く、年齢層が低いほど「友人・知人」の占める割合が高い。
(取材協力:警察庁、厚生労働省 文責:政府広報オンライン)
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