衣替えの季節です。あなたは正しく洗濯していますか?
洗濯やアイロンがけ、クリーニングなど衣類のお手入れをするときに、衣類に付いている洗濯表示(取扱表示)を確認していますか。洗濯表示は、衣類を適切にお手入れするための大切な情報です。洗濯表示を理解し、衣類を正しく取扱い、きれいに保ち、長く着用していきましょう。
1グローバル社会に合わせた世界標準の洗濯表示令和6年(2024年)8月に、一部改正されました
皆さんは衣類をどのように洗濯・クリーニングしていますか。衣類には様々な繊維素材が使われており、その素材に適した取り扱いをしないと、縮む、または色落ちするなど衣類が台無しになってしまうこともあります。衣類に付いている洗濯表示は、大切な衣類を適切に取り扱うための洗濯や乾燥の方法、アイロンのかけ方、クリーニングの方法などを、記号によって分かりやすく示したものです。
この洗濯表示は、かつては各国ごとに異なる図記号が使われてきました。しかし、グローバル化が進み、様々な国々で生産された衣類が世界中で販売されるようになっており、国ごとに記号が異なっていると、消費者には分かりにくいものになってしまいます。こうした中で、繊維製品の取り扱いに関する国際規格(ISO 3758)が平成3年(1991年)に定められ、世界各国で国際規格への統一化が進められてきました。
日本でも、かつて、日本工業規格(JIS L0217)という日本独自の規格で定められていた洗濯表示でしたが、平成28年(2016年)12月から国際規格に合わせた新しい洗濯表示(JIS L0001)に変わりました。
そして、令和5年(2023年)12月に国際規格が改正されたため、国際規格にあわせて令和6年(2024年)8月に洗濯表示(JIS L0001)の一部が変わりました。
今回の改正で洗濯記号の種類は2種類増えて、43種類になりました。数が多いと感じるかたもいらっしゃるかもしれません。しかし、基本となる記号と表示のルールを覚えれば難しいことはありません。
この機会に、是非次の章で表示ルールを確認しましょう。
2洗濯表示の見方とポイント5つの基本記号と、付加記号・数字で構成されています
洗濯表示は、「家庭での洗濯の仕方」「漂白の仕方」「乾燥の仕方」「アイロンのかけ方」「クリーニングの種類」の5つの基本記号と、「強さ」や「温度」、「禁止」などを表す付加記号や数字によって表示されます。基本記号と付加記号・数字が組み合わさった表示を読み取ることで、その衣類の適切な洗濯の方法が判断できるようになっています。
衣類の取扱表示
新しく追加された記号には「30℃限度で、手洗い」「底面温度120℃を限度とし、スチームなしでアイロン仕上げができる」の2つがあります。
表示は取扱い方(家庭洗濯、漂白、乾燥、アイロン等)の上限を表す
記号が示す強さか、それ以下の強さ(高さ)で取り扱いましょう。表示よりも強い作用や高い温度での洗濯やアイロンかけは、衣類にダメージを与える可能性があります。
記号は次の並び順で表示されます
家庭洗濯 | 漂白 | タンブル乾燥 | 自然乾燥 | アイロン | ドライクリーニング | ウエットクリーニング |
記号だけで伝えられない情報は付記用語を記載
国際規格の記号を使うことになり、記号内の日本語の表記がなくなりました。代わりに、これらの情報は表示記号の近くに付記用語で記載されることになります。
新しい洗濯表示記号(令和6年(2024年)8月20日改正)
(参考)
- 押し洗い
- ニットや厚みのある衣類に洗濯液を入れた桶の中で、洗濯物を畳み、上から手のひらで優しく押す、軽く持ち上げる、また押すを繰り返して洗います。
- ふり洗い
- 薄手のブラウス、シルクのスカーフなどに洗濯液を入れた桶の中で、洗濯物は畳まずに軽く振る、または広げたり、すぼめたりして、優しく洗います。
(参考)脱水せず(絞らず)に干す際、水が垂れるのが気になる場合は、水分を軽く取る程度に「タオルドライ」などを行ってください。
- タオルドライ
- 洗濯物をバスタオルなどに挟み、上から軽く押して水分を取ります。
- ドライクリーニングは、水で洗うと型崩れしやすい衣類をパークロロエチレンや石油系溶剤などの有機溶剤を用いて洗います。
- 油性(人体の分泌皮脂、排気ガスなど)の汚れをよく落とすことができます。
- ウエットクリーニングは、クリーニング店がデリケートな衣類を特殊な技術を使って水洗いをし、専用の仕上げ設備やアイロンなどを使用して仕上げまで行う水洗い処理です。
- 家庭での水洗いが難しいもの、夏物など汗(水溶性)の汚れがついたものに向いています。
3洗濯表示の活用法は?衣類を購入するときや、洗濯をするときに確認しましょう
衣類の中には取り扱いが難しいものもあります。衣類を購入するときは、デザインや用途だけでなく、洗濯表示を見て、家庭で洗濯できるか、クリーニング店に出さなければならないのかなども確かめましょう。
また、衣類を洗うときには、洗濯表示に従って取扱いましょう。なお、かつての洗濯表示は「このような洗い方をしてください」という指示表示でしたが、新しい洗濯表示は衣類にダメージを与えない上限を示した「上限表示」です。つまり、表示に示されたよりも強い作用や高い温度で洗濯などを行ってはいけません。記号で示された作用や温度で行うか、それよりも穏やかな条件で行うことが必要ですが、その範囲内のどの条件で行うかは自分で決める必要があります。記号のそばにある参考情報(付記用語)にも取扱い上の注意が書かれていますので、併せて確認しましょう。
(取材協力:消費者庁 文責:政府広報オンライン)