要注意!海外から肉や肉製品の持込みは禁止! ASF(アフリカ豚熱)等の家畜の伝染病の侵入を防ぐためです。
ASF(アフリカ豚熱)が世界中で猛威を振るっています。ASFウイルスは、海外から持ち込まれた肉や肉製品によって日本へ侵入するおそれがあります。日本国内でASFが発生すると、養豚産業に甚大な損害を与えるだけでなく、私たち消費者にとっても豚肉の価格が高騰するなど大きな影響を及ぼす可能性があります。現在、アジアなど、日本の近隣国でも発生しているASFなどの家畜伝染病を水際で防ぐため、海外からの肉や肉製品の持込みには厳しい対応がとられています。ご理解とご協力をお願いします。
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海外から肉や肉製品を持ち込まないで!
(2分20秒)
国内未発生の豚・いのししの致死的な伝染病「ASF(アフリカ豚熱)」がアジア地域で流行しています。日本への侵入を防ぐため、海外から肉や肉製品を持ち込まないでください。違法に持ち込んだ場合、罰則の対象となります。家畜伝染病予防法が改正され、令和2年(2020年)7月1日から違反者への罰則が強化されました。
1なぜ海外の肉や肉製品は日本に持ち込めないの?
海外では、ASFをはじめ多くの家畜伝染病が発生しており、これらの多くは肉や肉製品を介して感染する可能性があるため、肉や肉製品の持込みは原則禁止されています。生ハム、ソーセージ、サラミ、ベーコンやジャーキーなどのように肉が主原料の製品だけでなく、肉まんや餃子、ハンバーガーやハムサンドなど、少しでも肉が原料に使われている製品も対象です。また、真空パックしたものや空港の免税店で売っているものであっても持ち込めません。
それでは、なぜ、海外からの肉や肉製品の持込みが禁止されているのでしょうか。
海外から日本に家畜伝染病が侵入するのを防ぐためです。口蹄疫、ASF、高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病が世界中で発生しています。これらの病気の多くは肉や肉製品を介して感染することが知られており、違法に持ち込まれた肉製品から伝染病が広がった例もあります。
アジア地域でのASFの発生拡大などを受け、日本では、令和元年(2019年)4月から、海外からの肉や肉製品の違法な持込みへの対応が一層厳しくなりました。違法に肉製品などを持ち込むと、空港や港の動物検疫カウンターで、所有者のパスポートの情報が控えられ、データベースに登録されます。また、どこで買ったのか、どんな目的で持ち込もうとしたのか、などについて詳しく聴取されます。これは、故意に持ち込まなくても同様です。悪質と判断されると、警察に通報され、家畜伝染病予防法により、3年以下の懲役又は300万円以下(法人の場合は5,000万円以下)の罰金が科せられます。
各国際空港や海港の税関検査場では、動物検疫所の家畜防疫官が厳しくチェックしています。また、検疫探知犬が手荷物の中に肉製品などが入っていないか探知しており、その鋭い嗅覚で真空パックに入っているような肉製品であっても見つけ出します。
2侵入が警戒されているASFってどんな病気?
ASFは豚やいのししに感染する伝染病で、人には感染しません。感染した動物同士が直接接触することで感染が拡大するほか、感染動物の糞尿などに汚染された作業着や器具、感染動物の肉や肉製品を介して感染が広がると言われています。
また、ASFは感染することによる発熱や全身の出血性病変を特徴とする致死率の高い伝染病です。有効なワクチンや治療法はなく、発生した場合の畜産業界への影響が甚大であることから、日本では家畜伝染病予防法において「家畜伝染病」に指定され、感染の場合又は感染のおそれがある場合の速やかな届出とと殺が義務付けられています。
ASFは、現在、中国や韓国、ベトナムなどアジアの近隣諸国で広く発生し、現在、東アジア地域でASFの発生がないのは台湾と日本のみとなっています。原因となるASFウイルスは肉製品中で長期間感染性が維持されることから、肉製品を介した日本への侵入が警戒されています。
万が一、日本国内に違法に持ち込まれた肉や肉製品がASFウイルスに汚染されていたら、それが原因で、日本国内で飼育されている豚に感染してしまう可能性があります。ひとたび国内の豚でASFが発生すると、全国に感染が拡大し、養豚産業が甚大な損害を受けてしまうおそれがあります。多くの豚が殺処分されると、豚肉の供給量の不足や価格高騰など、消費者にとっても大きな影響を及ぼす可能性があります。
そうならないようにするために、一人ひとりが気を付けなければならないことを、次の章で紹介します。
3日本への侵入を防ぐために気を付けることは?
以前、入国者が持ち込もうとした肉製品を動物検疫所で食い止めたところ、その肉製品からASFウイルスが見つかった事例がありました。ASFは日本の水際まで迫ってきています。
日本の畜産業を守るため、皆さんも次のことに気を付けましょう。
1. 海外からのお土産に、肉や肉製品、肉が原料に含まれる食品を選ばない
お土産で食品を選ぶ場合は、食品表示ラベルを必ず確認してください。原材料の欄に牛肉、豚肉、鶏肉などと表示があるものは、ほとんどのものが日本へ持ち込むことができません。生ハム、ソーセージなど、免税店で売られていたり、日本語の表記がされていたりするものでも例外ではありません。持ち込みの可否について判断が難しいものは、日本到着時に動物検疫所のカウンターまで申し出て、検査を受けるようお願いします。知らなかった、故意ではなかったと言っても、検査を受けずに違法に持ち込んだ場合には罰則の対象となります。
動物検疫所のウェブサイトで事前に確認しておきましょう。
2. 海外の家族や友人から肉製品などを郵送してもらわない
肉や肉製品の日本への持込みは、国際郵便や宅配便などであっても禁止されています。旅行先から肉製品をお土産として送ったり、海外の家族や友人から肉製品などを郵送してもらったりしないようにしましょう。外国人を受け入れている雇用主のかたなど、外国人就労者や実習生、留学生にも日本のルールを教えてあげてください。国際郵便や宅配便であっても、違法な肉製品の持込みは罰則の対象となります。
3. 海外では家畜を飼養する農場に行かないなど、家畜との接触を避ける
海外ではASFをはじめとする様々な家畜の伝染病が発生しています。渡航先で、家畜に触れたり、農場の土を踏んだりすることで、衣服や靴に家畜の病原体が付着し、ASFウイルスなどを日本に持ち込んでしまう可能性があります。海外では、家畜を飼養する施設、生きた動物が販売されている市場などに立ち入らないようにしてください。もし、海外で家畜に触れたり農場へ行かれたりした場合には、帰国時に動物検疫カウンターに立ち寄り、靴や衣服の消毒を受けてください。
コラム
海外の肉製品などを持っているときは?
もし、日本に到着したときに肉や肉製品を持っている場合は、検査証明書の有無にかかわらず、必ず、空港や海港の税関検査場内にある動物検疫カウンターで検査を受けなければいけません。
輸入禁止・停止の対象となっているものや検査証明書がないものは、日本に持ち込むことができないため、その場で放棄しましょう。空港や海港には、検疫専用の自主廃棄ボックスを設置していますので、こちらに放棄することもできます。
申告せずに肉や肉製品が見つかった場合、違法に持ち込もうとしたとして罰則の対象となり、悪質と判断される場合には警察に逮捕されることもありますので十分ご注意ください。
(取材協力:農林水産省 文責:政府広報オンライン)