ネット通販での「定期購入トラブル」 契約時に確認すべきポイントは?

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「お試し価格500円」と書かれたダイエットサプリのネット広告の画面と、注文した商品の到着後、「5000円」と書かれた請求書を見て驚く女性

インターネット通販(以下「ネット通販」)で「初回無料」「お試し価格」の広告を見て、1回だけのお試しのつもりで購入したら、定期購入の契約だった…。近年増えている定期購入トラブル。その原因は契約内容や条件に関する表示が分かりにくいことにあります。そこで、令和4年(2022年)6月1日から改正特定商取引法により、通販サイト(ECサイト)などネット通販を行うウェブサイトでは、取引における基本的な事項について消費者に分かりやすく表示することが義務付けられました。消費者の皆さんがネット通販を利用するときに確認すべきポイントを紹介します。

動画

「お試し」のつもりが定期購入!? ネット通販 最終確認3つのポイント【字幕付】
(3分00秒)

気軽に注文できる便利なネット通販。しかし、気づかないうちに「定期購入」になっていたなどのトラブルが急増しています。こうしたトラブルを減らすため、2022年6月1日施行の改正特定商取引法により、誤認させる表示によって申込みをした場合は、契約を取り消せる可能性があります。私たちが購入前に確認すべき3つのポイントを紹介します。【字幕付】
ナレーション:貫地谷しほり

1ネット通販での定期購入トラブルとは?

ホームページやSNSでよく見かける「健康に良い」「ダイエット効果あり」「バストアップ効果あり」や「有名女優も使用」とうたう健康食品や化粧品の広告。それらの中には「初回無料」「初回限定○%オフ」「お試し価格」などと、表示されているものも少なくありません。
そうした広告につられて、「お試し」「1回だけ」のつもりで申し込んだら、実際には、複数回の商品購入が条件となる定期購入契約だった、というトラブルが増えています。
また、広告には「いつでも解約できます」と書いてあるのに、いざ解約しようとすると、「電話がつながらない」「実際には解約に細かい条件があった」「追加支払いを求められた」といったトラブルも発生しています。

こうした定期購入トラブルの原因として、契約内容や条件などについて、通販サイトでの表示が分かりにくいことが挙げられます。定期購入トラブルになりやすいECサイト(通販サイト)には、次のような特徴があります。

問題のある販売サイト(ECサイト)の例。「何度もスクロールしないとサイト全体を見ることができない」「契約内容や条件などが、商品の効能を紹介する表示から離れた場所にあったり、文字が小さかったりする」申し込みの最終確認画面で「初回分の数量と金額だけしか表示されない」「支払いの総額や期間中に届く数量が表示されない」「契約内容や条件などの表示が小さかったり、リンク先でないと確認できなかったりする」

  • 効能や低価格が強調されているが、契約の内容を見落としやすい構成になっている、購入条件などの注意事項が小さい文字で書かれている、または何度も画面をスクロールしないと表示されない。
  • 申込みの最終確認画面で、初回分の商品価格のみが表示される、支払の総額などが最終確認画面に表示されていなかったり、表示が目立たない。
  • 解約・返品に関する条件が見つけにくい、表示が小さい、ページ内の見つけにくい場所にある、リンク先に記載されているが、そもそもリンク先で確認できるようになっていることが見つけづらい。

定期購入トラブルの例

  • 動画サイト上の広告から、ダイエットサプリメントをお試し特別価格で、1回のつもりで注文したが、実際には、複数回購入することが条件の定期購入契約だった。

    (10代女性・30代男性)

  • 解約手続きを行いたいのに、事業者に電話がつながらず、解約できない。

    (50代女性)

  • 解約保証の条件として、別途1か月分の商品代金を通常価格で支払う必要があった。

    (20代女性)

  • 特別価格での購入締切のカウントダウン表示に焦って注文したら、5回目までは解約不可な定期購入になっていて解約を断られた。

    (50代女性)

注文した商品の到着後、電話で問い合わせをするが、つながらず困っている女性
参考:消費者庁リーフレット「ちょっと待って!!そのネット注文 "定期購入"ですよ!」 より

ネット通販を含む通信販売の契約は、「自ら商品を選び、取引条件を確認し注文する」ことが前提ですが、一部には、消費者が確認すべき契約内容や解約等に関する注意事項などの重要な表示を消費者にとって分かりにくく表示しているECサイトもあり、それが定期購入トラブルの原因の一つになっています。
そこで、こうした点を踏まえ、通信販売での定期購入トラブルなどを防ぐため、改正特定商取引法が令和4年(2022年)6月1日から施行されました。
改正法により、ネット通販の何が変わるのか、また、ネット通販を利用するときに消費者はどんなことに注意すればいいのかを紹介します。

2改正特定商取引法でネット通販の何が変わるの?

ネット通販を利用する消費者が取引条件を網羅的に確認し、納得して契約できるようにするため、改正特定商取引法では、ECサイトの最終確認画面(※)において、取引における基本的な事項について分かりやすく表示することが義務付けられ、消費者を誤認させるような表示も禁止されます。
このようなルールに違反する表示によって、消費者が誤認して申し込んだ場合、消費者は取消しができる場合があります。

※ 最終確認画面とは、ECサイトにおいて、消費者がその画面内に設けられている申込みボタン等をクリックすることにより契約の申込みが完了することとなる画面のことです。

● インターネット通販の事業者が最終確認画面に表示しなければならない基本的な事項

1.分量 商品の数量、役務の提供回数
定期購入契約の場合は各回の分量も表示
2.販売価格・対価 複数商品を購入する顧客に対しては支払総額も表示
定期購入契約の場合は2回目以降の代金も表示
3.支払いの時期・方法 定期購入契約の場合は各回の請求時期も表示
4.引渡・提供時期 定期購入契約の場合は次回分の発送時期等についても表示(顧客との解約手続の関係上)
5.申込みの撤回、解除に関すること 返品や解約の連絡方法・連絡先、返品や解約の条件等について、顧客が見つけやすい位置に表示
6.申込期間(期限のある場合) 季節商品のほか、販売期間を決めて期間限定販売を行う場合は、その申込み期限を表示

3消費者が注意することは?

不要なトラブルを避けるために、ネット通販で申し込む際は、最終確認画面で商品の内容や取引条件・解約条件などを慎重に確認しましょう。

申し込む前の確認ポイント

スマートフォンで申し込みする際に、最終確認画面をチェックしている女性

  • 1回限りの購入か? 継続的な購入か?
  • 継続的な購入の場合、回数が定められているか?
  • 支払う総額はいくらか?
  • 解約や返品が可能か? その条件・方法は?

最終確認画面のサンプル

スマートフォンに表示される最終確認画面のサンプル

さらに、もしものトラブルに備え、ECサイトの申込みの最終確認画面のスクリーンショットを撮り、表示されていた契約条件を証拠として残しましょう。ウェブサイトの場合、注文後に条件などが変更され、契約した当時の条件が確認できなくなるおそれがあります。

ネット通販は、訪問販売や電話勧誘販売のような不意打ち的な勧誘によって契約するものではないため、無条件で契約を解除できる「クーリング・オフ」制度がありません。事業者によっては、いったん契約すると簡単に解約できない場合もありますので、申込みの段階で契約内容や解約方法などが確認できなかったり、納得できない点があったりする場合は、契約の申込みを見合わせましょう。
なお、令和4年(2022年)6月1日以降は、最終確認画面において必要事項が表示されていなかったり、不実の表示や誤認させるような表示があったりした場合、誤認して申込みをした消費者は、契約を取り消せる可能性があります。

疑問や不安が生じた場合は消費者ホットライン「188」へ

「請求に納得できない」「連絡がとれない」などのトラブルが生じた場合には、すぐに最寄りの消費生活センターなどに相談しましょう。
全国共通の電話番号「消費者ホットライン 188(いやや!)」でつながります。

消費者ホットラインのバナー画像

「無料体験」「無料トライアル」でサブスクを申し込むときの注意点

近年、定められた料金を定期的に支払い、一定期間、商品やサービスを利用することができる「サブスクリプション(サブスク)」を利用する人が増えています。動画配信や音楽配信、レンタル、学習教材、専門家相談、外食など、様々なサービスのサブスクが登場しています。
サブスクによくあるのが、「○か月無料体験」「○日間無料トライアル」。多くの場合、無料期間内に解約をしなければ、自動的に有料サービスに移行し、契約の継続中は利用しなくても料金は発生します。また、解約しない限り、契約が自動更新されるケースも多いです。
多くのサブスクでみられるように、インターネット上で申込みをするサービスについても改正特定商取引法が適用されます。したがって、令和4年(2022年)6月1日からは、サブスクの申込みをする最終確認画面においても、取引における基本的な事項として、例えば、無料期間終了後に有料サービスに移行する時期やその場合に支払う料金などの契約内容、解約方法などを明確に表示することが義務付けられました。
サブスクを申し込む際にも、最終確認画面で、サービス内容や解約方法などをしっかり確認しましょう。

(取材協力:消費者庁、国民生活センター 文責:政府広報オンライン)

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