電話でお金の話は詐欺!親子のコミュニケーションで注意喚起を!
固定電話がきっかけの特殊詐欺の被害が後を絶ちません。中でも還付金詐欺が多発しています。被害者側は、医療費・保険料の過払い金や未払い年金などのお金が受け取れると信じて、犯人の言うままに動いてしまいます。被害者の多くが高齢者ですが、高齢者だけに対策を任せるのではなく、若い世代の方々も特殊詐欺を防ぐための対策や手口を知り、親や祖父母に注意を呼び掛けて、大切な家族と財産を守りましょう。
動画
特殊詐欺 被害者家族からのメッセージ ~いま皆さんに伝えたいこと~【字幕付】
(8分29秒)
巧妙化する「特殊詐欺」から高齢者を守るために…。実際の被害者家族たちが、被害にあう前とあった後で変わった意識と行動、そして、いま皆さんに伝えたい心がけを切実に語ってくれました。【字幕付】
1特殊詐欺の電話をとらないために
還付金詐欺やオレオレ詐欺などの特殊詐欺の始まりのほとんどは、家庭の固定電話機にかかってくる一本の電話です。その電話に出たことで、多くの人がだまされています。電話をかけてくるのは詐欺のプロで、電話先の名前や住所、家族構成などを把握している場合があり、手法や手口も巧妙化しています。「自分はだまされない」と思っている人ほど、注意が必要です。詐欺の電話は誰にでもかかってくる可能性があります。特に、昼間に在宅している高齢者が中心に狙われています。家族で離れて暮らしている場合、親子でお互いに注意を喚起し大切な家族と財産を守りましょう。
防犯機能を備えた電話機の活用を
家庭の固定電話機には、特殊詐欺のきっかけとなる電話だけでなく、悪質な勧誘や営業など多種多様な電話が頻繁にかかってきます。これらの電話を受け、様々な被害に遭わないための対策の一つが、防犯機能を備えた電話機の導入です。
この電話機は、着信音が鳴る前に電話をかけてきた相手に「この通話は防犯のため録音されます」などと警告する機能を備えており、気がつかないうちに迷惑電話を撃退できます。また、番号未登録者からかかってきたときは、赤いランプで「迷惑電話に注意してください」などの警告を促したり、着信を拒否したりできるなどの機能もあります。(※メーカーによって機能は異なります。)
そもそも詐欺の電話がかかってこないように対策することで、被害に遭うリスクを大きく減らすことができます。
具体的な機種を選ぶ際には、公益財団法人全国防犯協会連合会が推奨する「優良防犯電話」を参考にしてください。
また、警察庁が公開している動画では、具体的な防犯機能を分かりやすく紹介しています。
高齢の親や祖父母に、誕生日や敬老の日にプレゼントしてはいかがでしょうか。

自宅にいるときでも「留守番機能」を設定しておく
防犯機能を備えた電話機ではない場合は、日ごろから留守番機能を設定しておき、電話の相手を確認してから電話に出るなど、できるだけ犯人と話す機会をつくらないようにしましょう。ひとたび電話口で話を聞いてしまうと被害に遭うリスクが高まります。また、電話に出てしまっても、慌てず、おかしいと思ったら、すぐに電話を切りましょう。

2どんな特殊詐欺があるの?
特殊詐欺は、面識のない不特定多数の人に電話をかけるなどして現金やキャッシュカードなどをだまし取る詐欺です。特殊詐欺には様々な手口があり、かつ巧妙化しています。親族などを名乗って仕事に関するトラブルなどを口実に現金を要求し、同僚などを装った犯人が自宅へ直接現金を受け取りに来る「オレオレ詐欺」がよく知られていますが、最近では、「医療費・保険料の還付金がある」などとうそを言って被害者にATMを操作させる「還付金詐欺」や、キャッシュカードが狙われる詐欺も多発しているため注意が必要です。「還付金がある」「暗証番号を教えて」「キャッシュカードを預かる、交換する」など、電話でお金やキャッシュカードに関する話が出たら、すべて詐欺です。
また、特殊詐欺の被害者の9割近くが65歳以上の高齢者で、特に高齢女性の割合が高い傾向が見られます。詐欺の手口・対策を知っておきましょう。また、若い世代の方々は、ご家族に詐欺の手口・対策を教えて、注意するよう伝えましょう。

還付金詐欺
令和3年(2021年)2月以降、還付金詐欺の被害が全国各地で大幅に増加しています。自治体、税務署、年金事務所の職員などと名乗り、医療費・保険料の過払い金や一部未払いの年金があるなど、お金を受け取れるという内容の電話をかけてきます。被害者が犯人の指示どおりにATMを操作すると、実際には犯人側の口座にお金が振り込まれるという詐欺です。払い戻しには期限があると焦らせた上で、今すぐ携帯電話を持って近くのATMに向かうよう指示をしてきます。
還付金詐欺は、犯人が被害者をATMに誘導し、被害者に携帯電話で会話をさせながら振込操作をさせる手口であることから、「ATMでの携帯電話の通話は、しない、させない」ことが被害防止につながります。携帯電話で会話しながらATMを操作している人を見かけた際は、積極的な声掛けなどをお願いします。
オレオレ詐欺
息子や孫などになりすました犯人から電話があり、仕事に関するトラブルなどを口実に、お金を要求する詐欺です。
最初の電話で「風邪をひいて、喉の調子が悪い」「携帯電話をなくして携帯番号が変わった」などと言い、声が違っても不自然に思われないようにし、新しい電話番号を登録させます。その後、その電話番号から着信があり、「会社のお金を株に使い込んだ」「会社のお金が入ったバッグを失くした」「訴えると言っているのでお金が必要」など、お金が至急必要であると訴えます。また、偽の息子(孫)の話を裏付けるように、警察官や同僚などを装った犯人の仲間から電話がかかってくる場合もあります。
お金の話がでたら、いったん電話を切りましょう。慌てず、今まで使っていた息子や孫の電話番号にかけて確認しましょう。
キャッシュカードを狙った詐欺
警察官や銀行員、自治体や税務署の職員などを偽り、「キャッシュカード(銀行口座)が不正に利用されている」「預金を保護する手続をする」「医療費や給付金などの払い戻しがある」などと電話でうその説明をした後、「キャッシュカードの確認に自宅までうかがう」といった名目で、詐欺犯人が自宅を訪れます。そして「暗証番号を書いた紙とキャッシュカードを封筒に入れてください」などと言って、被害者が目を離したすきに、あらかじめ用意しておいた偽のカードと本物のカードをすり替えて盗み取ったり、キャッシュカードの取替えを名目に、そのまま持ち去ったりする場合もあります。その後、被害者が気づかないうちに口座から現金を引き出します。
警察官や銀行員などが暗証番号を聞いたり、キャッシュカードを要求したりすることは絶対にありません。

架空料金請求詐欺
インターネット事業者などを名乗る犯人から、有料動画サイトの未納料金が発生しているなどの名目で、携帯電話にショートメッセージ(SMS)が送られることなどにより、実際には使用していない料金を支払わせようとする詐欺です。SMSを受け取った被害者が本文に記載された電話番号に電話をかけると、「払わなければ裁判になる」「今日払えば大半が返金される」などと言われ、払ったほうがよいと思い込まされてしまいます。
事業者などが「未納料金などの支払い」の名目で、コンビニエンスストアで、電子マネー(プリペイドカード)を購入させることは絶対にありません。
犯人は「裁判」という言葉をちらつかせることで、被害者の不安をあおります。また、「保険が使えるから全額返金される」などと言うこともありますが、すべて支払わせるためのうそです。
最近では、特定のサイトにアクセスしたパソコンの画面に「ウイルスに感染した」といったうその警告を表示させ、セキュリティー対策名目でお金をだまし取る手口も増えています。

3離れている家族とこまめに連絡をとる
親子で離れて暮らしている場合、こまめに電話をするなど、コミュニケーションを密にしておきましょう。特に用事がなくても、互いに「元気にしている?変わったことはない?」などと相手の様子を聞いたり、「最近、こんな手口の詐欺が増えているらしいよ」などと特殊詐欺の手口や対策などを話題にしたりしてみましょう。
また、家族にしか分からない合言葉を決めておきましょう。例えば、「今度どこに連れて行ってくれるの?」「中学生のときの部活は?」「妻の旧姓は?」などで、家族を名乗る電話でも、まず最初に合言葉を確認してください。

特殊詐欺の不審な電話、メールを受けたときや被害に遭ったなど困ったときは、次の相談窓口にご連絡ください。
困ったときの相談窓口は
電話での相談
- 警察相談専用窓口
#9110
全国どこからでも、電話をかけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。 - 消費者ホットライン
188
全国どこからでも、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口につながります。 - 未公開株通報専用窓口(日本証券業協会)
0120-344-999
コラム1
「荷物や書類を受け取るだけ」の“闇バイト”にご注意!
「受け子」「出し子」にならないために
SNS上の「即金・高収入」「荷物を受けるだけの仕事」「リスクありません」などとうたったあやしげなアルバイト募集に要注意。それは、特殊詐欺のメンバー「受け子」や「出し子」の募集かもしれません。「受け子」は、被害者から現金やキャッシュカードを直接受け取る者、「出し子」は、銀行などで口座から現金を引き出す者で、詐欺罪又は窃盗罪に問われ、「10年以下の懲役」が科される可能性があります。
また、1回でも特殊詐欺に関わってしまうと、犯人グループに脅されて、逮捕されるまで抜け出せなくなることがあります。安易な気持ちで絶対に手を出さないでください。

(取材協力:警察庁 文責:政府広報オンライン)