就職のために役立つ知識・スキルを学ぶ ハロートレーニング
希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識などを身につけたい! そのような方におすすめなのが、「ハロートレーニング(公的職業訓練)」です。事務、IT、建設・製造、介護、デザイン、Web設計など様々な訓練コースがあり、受講料は原則無料。訓練中も訓練後も、ハローワークで就職サポートが受けられます。
1ハロートレーニングとは?仕事の知識やスキルを学べる公的職業訓練です
「仕事を辞めた」「仕事を探している」「未経験だけどやりたい仕事がある」「PCスキルに自信がない」「入社すぐに役に立つ専門的・実践的なスキルを身につけたい」――そんなときは、ハロートレーニングを始めてみませんか。
ハロートレーニングとは、就職に役立つ知識やスキルを習得できる公的な職業訓練制度です。働く意欲のある人であれば誰でも、この制度を原則無料で利用できます。
訓練を受講できる場所は全国各地にあり、事務系の講座はじめ、IT、建設・製造、サービス、介護、デザイン、美容など多種多様な分野の講座が開かれています。また、資格が得られるものも多くあり、訓練を受講しながら、一定の要件を満たせば、給付金や手当を受け取ることができます。
受講期間は、3か月から6か月が一般的で、訓練中も終了後も、ハローワークが受講者の就職をサポートします。
ハロートレーニング
- 受講料、無料
- 豊富なコース
- 全国各地に窓口
ハロートレーニングは、雇用保険を受給できる人向けの「公共職業訓練(離職者訓練)」と、雇用保険を受給できない人向けの「求職者支援訓練」に分けられ、受けられる可能性のある手当や期間が違いますので、それぞれ詳しく説明します。
2公共職業訓練(離職者訓練)とは主に雇用保険を受給できる求職者が対象。訓練中は雇用保険の給付延長も
主な対象者
雇用保険を受給できる求職者が対象です。例えば、会社を辞めて求職中の人などです。
受講費用
原則、無料で受講できます。ただし、テキスト代は自己負担です。また、1年以上の訓練コースは有料の場合もあります。
もらえる可能性のある手当
受講手当が1日500円、最大40日間分、さらに、通所手当として片道2km以上で、交通費相当額が月額最大42,500円支給されます。
【例】
基本手当が1日6,000円、通所のための定期代が月額5,000円の人が、ひと月に職業訓練を20日間、受講した場合のひと月分の支給額。
手当 | 日数 | 1日あたりの支給額 | 合計 |
---|---|---|---|
基本手当 | 30日 | 6,000円 | 180,000円 |
受講手当 | 20日 | 500円 | 10,000円 |
通所手当 | 1か月 | 5,000円 | |
ひと月の合計支給金額 | 195,000円 |
雇用保険(基本手当)の受給期間の延長
公共職業訓練を受講している間に雇用保険(基本手当)の給付日数が終了しても、訓練終了まで基本手当が延長されます。(最長2年)
例えば、基本手当が3か月(90日)支給される人が、1か月(30日)基本手当を受給したあとに、3か月(90日)の職業訓練を受講したとします。すでに1か月(30日)分の支給を受けているので残り60日分の受給分となりますが、90日間の訓練が始まったため、訓練が終了するまで基本手当が給付されます。結果的に、基本手当が30日間延長されたことになります。
ただし、基本手当の給付が終了間近の場合には、基本手当が延長されないルールが設けられています。おおよそ1/3程度給付期間が残っている必要があります。
公共職業訓練(離職者訓練)のコース内容と訓練期間
電気設備技術科、生産設備メンテナンス科、工場管理技術科などの現場系の技術を習得するコースや介護サービス科、医療事務科、ICTエンジニア科など事務職向けのコースが豊富にあります。訓練期間は、主に3か月程度ですが、最長2年のものあります。
具体的なコースについては、ハローワークのインターネットサービス「職業訓練検索」で調べることができます。
3求職者支援訓練とは?主に雇用保険を受給できない求職者が対象。要件を満たせば月額10万円の給付金も
主な対象者
雇用保険を受給できない求職者が対象です。例えば、失業期間の長い人、前の職場で雇用保険に加入していなかった人、雇用保険に加入していたものの雇用保険受給中に再就職できなかった人、学校卒業した後に就職しないまま求職している人、自営業をやめて就職を目指す人などです。
受講費用
原則、無料で受講できます。ただし、テキスト代は自己負担です。
もらえる可能性のある手当
一定の要件を満たせば、訓練受講中に月額10万円の給付金と交通費の支給を受けられます。ただし、本人の収入だけでなく、世帯全体の収入や資産に制限があります。支給要件は次の通りです。
- 本人の収入が月8万円以下(※1)
- 世帯全体の収入が月25万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地や建物を所有していないこと
- 全ての訓練実施日に出席すること(※2)
- 世帯の中に、給付金を受給して訓練を受けている者がいないこと
- 過去3年以内に、不正行為で特定の給付金の支給を受けていないこと
※1 シフト制で働く方、自営業、フリーランス、副業・兼業を行う方等で固定収入が月8万円以下の方等は、本人収入が月12万円以下(令和3年9月30日まで)
※2 けがや病気などやむを得ない理由がある場合でも8割以上出席が必要
求職者支援訓練のコース内容と訓練期間
(1)基礎コース
会社で働くための基本を2カ月~4か月かけて習得します。パソコンの操作から始まり、ワードでの文章作成、エクセルでの表計算、パワーポイントでの資料作成、ビジネスマナーなどを学ぶコースが中心で社会人経験が少ない人向けです。
【事例1】初歩からはじめるパソコン基礎科(基礎コース)[PDF:1.09MB]
【事例2】ビジネスパソコン基礎科(基礎コース)[PDF:1.09MB]
(2)実践コース
高度な専門知識や実践スキルを3カ月(令和3年度末までに開始するコースは最短2週間)~6か月かけて習得します。就職したい分野がある程度決まっていたり、キャリアのステップアップを目指したりする人向けです。実践コースの科目は、介護サービス科、医療事務科、WEBデザイナー科、WEBアプリプログラミング科、建築CAD科など様々な分野のコースがあります。
【事例1】介護職員初任者研修及びガイドヘルパー科(実践コース)[PDF:1.11MB]
【事例2】基礎から学ぶ医療・調剤事務養成科(実践コース)[PDF:1.11MB]
具体的なコースについては、ハローワークのインターネットサービス「職業訓練検索」で調べることができます。
4ハロートレーニングを受けるには?最寄りのハローワークで受講の申込みを
ハロートレーニングを受けるには、最寄りのハローワークで求職申込み・職業相談後、受講の申込みをしていただき、選考試験に合格する必要があります。受講の申込みから、受講を開始するまでの期間は、おおよそ1か月半~2ヶ月程度かかります。また、人気の講座は応募倍率が高かったり、講座の開始日や開講日はコースによって異なったりしますので、最善の計画を考え、準備してください。
受講するまでの流れ
(1)求職申込み・職業相談
まず、ハローワーク窓口で、自分の利用できる制度や職業訓練コースについて相談してください。そして、どのような資格やスキルを取得して、どのような仕事につきたいかを伝え、訓練コースを選択します。
(2)受講申込み
受講申込書に必要事項を記入し、ハローワークの窓口に提出します。なお、申込みに必要となる書類や書類の書き方はハローワークに相談してください。
(3)職業訓練機関で、面接・筆記試験などを受ける
受講者の選考は、現在有している技能、知識、適正等の状況や、訓練を受けることで再就職へつながるかどうかにより判断されます。
(4)選考結果通知
職業訓練機関から合格通知を受け取ったら、再びハローワークで手続きを行います。不合格になった場合は、新しい訓練コースの募集へ再度申し込むことができます。
(5)受講あっせんを受ける
受講あっせんは、本人の職業能力、求職条件、求職活動状況等に基づき、本人の希望する仕事への就職可能性を高めるために当該職業訓練の受講が必要であるとハローワークが判断した方に対して行います。
(6)ハロートレーニング受講
訓練施設で受講します。
このほか、ハロートレーニングでは、在職者や高等学校卒業者の方などを対象とした高度な職業スキルや知識を習得するための訓練(原則有料)や、障害のある方を対象とした訓練も実施しています。詳しくは、最寄りのハローワークにお問い合わせください。
(取材協力:厚生労働省 文責:政府広報オンライン)