ご注意ください!窓やベランダからのこどもの転落事故

気候が良くなると、窓を開けたり、ベランダに出たりする機会が増えていきます。でも、小さなお子さんがいるご家庭はご注意を。こどもが窓やベランダから転落する事故が毎年のように発生しています。中には命にかかわることもあります。どのような事例があり、どのようにすれば防げるのか対策を紹介します。
動画
お心当たりありませんか?『子どもの転落事故』に気を付けて!【字幕付】
(2分59秒)
危ない!と叱られた子どもの頃の記憶。昔の自分がしたことだけれど、思い起こせば思わずヒヤリ。あの時の「もしも」が今、子どもたちに起きないように。【字幕付】
ナレーション:貫地谷しほり
1どんな事故が起こっているの?
こどもの転落事故(※)は、一人で歩き始める1歳から2歳ごろから増え始め、3歳から4歳で最も多くなっています。3歳から4歳の頃は、好奇心や自我が芽生え、興味本位で何でもしたがり、走ったり登ったり活発な動きができるようになりますが、まだ危険かどうかを判断することが難しく注意が必要です。
また、こどもが窓枠や出窓に座って遊んでいるときに網戸が外れて転落、ベランダで遊んでいるときに置いてあった物を足場にして手すりを乗り越えて転落、保護者が1階にいるときにこどもが2階から転落など、こどもだけで遊んでいるときに多く発生しています。
※一般的に「転落」事故と「墜落」事故の2つの表現がありますが、当記事では、墜落事故を含めて転落と表現しています。

※東京消防庁管内で発生、平成29年(2017年)から令和3年(2021年)までの累計 東京消防庁「救急搬送データ」
(出典:東京消防庁「住宅等の窓・ベランダから子どもが墜落する事故に注意」)
こんな事故が発生しています
【事例1】 こどもだけで部屋にいて網戸に寄りかかる
こどもが窓枠に腰かけて網戸に寄りかかっていたら、網戸が外れて転落。窓は床から 60cm の高さで、窓枠まで10cm 程度のこどもが座れる奥行きがあった。こどもは、5m下のコンクリートに落ち、全身打撲。肝損傷の疑いで約2日間の入院。(7歳)

【事例2】 足場になるものに登る
ソファによじ登り、窓から網戸を突き破って3m下の芝生に網戸ごと転落。病院での診察時は明らかな外傷は見られなかったものの、経過観察のため入院。(1歳)

【事例3】 保護者は別室。ベランダで足場になるものによじ登る
保護者が1階のキッチンで夕食の支度をしていたところ、庭で大きな音がして、こどもの泣き声が聞こえたため見に行くと、2階のベランダから転落した模様で泣いていた。ベランダには高さ90cmの柵があったが、床から50cmの位置に飾りがあり、足をかけて登ることができた。 全身打撲などの重症で、3日間の入院。(4歳)

【事例4】ベランダの手すりにつかまっていて、前のめりになって転落
家族を見送るために、こどもがベランダの手すりに鉄棒の前回りのときのようにつかまっていたところ、前のめりになって地上に転落。(5歳)

【事例5】ベランダの室外機に登り、手すりを越えて転落
マンション2階の室内で遊んでいたこどもが、親が気づかないうちにベランダに出て転落。室外機のところにスリッパがあり、室外機によじ登った可能性あり。(2歳)

※参考:事例1から5は、消費者庁と独立行政法人国民生活センターの共同事業である「医療機関ネットワーク事業」に参画する医療機関から寄せられた事故情報
2こどもの転落事故を防ぐには?
普段の生活の中で、こどもから一瞬たりとも目を離さないというのは限界があります。窓やベランダからの転落事故を防ぐためには、事前にポイントを知り、こどもの見守りと合わせて事故が起きない環境を作ることが重要です。
窓やベランダ周辺の環境づくり
(1)補助錠を付ける
こどもが勝手に窓や網戸を開けてベランダに出ないように、窓や網戸にはこどもの手の届かない位置に補助錠を付けましょう。特に、網戸は小さいこどもの力でも簡単に開くので施錠を徹底しましょう。

(2)ベランダには物を置かない
ベランダには極力物を置かない。使わなくなったおもちゃ、プランター、ひもで縛った新聞、段ボール、椅子などをベランダに置いていませんか。こどもは様々なものを踏み台にします。また、エアコンの室外機は、手すりから60cm以上離して設置しましょう。ベランダの奥行きが狭く、エアコンの室外機が足掛かりになりそうな場合は、こどもが1人でベランダに出られないようにする必要があります。

(3)室内の窓の近くに物を置かない
こどもは、ソファやベッドなどの家具を足場にして、室内の窓から転落する可能性があります。窓に近い場所にも、できるだけ物を置かないように部屋のレイアウトを工夫しましょう。

(4)窓、網戸、ベランダの手すりなどに劣化がないかを定期的に点検する
網戸が外れやすくなっていたり、網が剥がれそうになっていたりしないか定期的に点検しましょう。1歳の体重でも網戸に寄りかかると、外れて転落することがあります。
また、落下防止手すりを設置することも対策の一つになります。
- 国土交通省では、共同住宅(分譲マンション及び賃貸住宅)を対象に、転落防止の手すり等のこどもの安全確保等に資する設備の設置等に対する支援事業を実施しています。詳細は下記ページをご確認ください。
こどもの見守り・こどもの教育
(1)こどもだけを家に残して外出しない
「5分から10分ですぐ戻るから」とこどもを家に残して外出していませんか。こどもは、家に保護者がいないと気づくと不安になって家中を探し回ります。窓などの鍵を開けたり、ベランダから外の様子をのぞき込んだりするかもしれません。
(2)ベランダではこどもだけで遊ばせない
ベランダが、こどもの遊び場になっていませんか。転落事故は、こどもがベランダで遊んでいるときに多く発生しています。
こどもは、外から聞こえてくる電車や車の音、家族や友達の声、犬の鳴き声などに反応し、音のするほうを見ようとしてベランダから身を乗り出して転落することがあります。ベランダではこどもだけで遊ばせないようにしましょう。
(3)窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄りかかったりさせない
出窓に座って遊んでいて、網戸が外れて転落する事例は小さなお子さんだけでなく、7歳以上のこどもでも発生しています。窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄りかかったりさせないでください。
(取材協力:消費者庁 文責:政府広報オンライン)