不当な寄附勧誘行為は禁止! 霊感商法等の悪質な勧誘による寄附や契約は取り消せます

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イラスト:不当な寄附勧誘行為の例。勧誘者のシルエットが女性に対し、「寄附をすれば悪霊が去り、症状が良くなります」と勧誘。勧誘者に「借りればもっと寄附ができるじゃないですか」と言われ、通帳とカードを持ってATMの前に立つ男性。

「先祖の供養をしないと、その病気は治らないですよ」と不安をあおられるなどして高額な寄附をしたり商品を購入したりしてしまった。その結果、家庭が困窮したり崩壊したりするなどの事例も発生しています。そこで、不当な寄附勧誘を防止し、被害からの救済や再発を防ぐため新たな法律が制定されました。また、消費者契約法等の改正が行われ霊感商法等による被害の救済が拡充されました。それらの法律の概要と困ったときの相談窓口をお知らせします。

1不当な寄附勧誘を防止する新しい法律とは?

不当な勧誘によって高額な寄附をせまられ、家庭が困窮したり崩壊したりする事例が相次いで報告された問題を受けて、こうした不当な寄附勧誘を未然に防止し、被害の救済、再発防止を図るため、令和4年(2022年)末の臨時国会において「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(不当寄附勧誘防止法)」が成立し、令和5年(2023年)6月1日に全面施行されました。
不当寄附勧誘防止法は、「寄附勧誘を行う法人等への規制等」と「不当な勧誘により寄附した人やその家族の救済」の2つを軸に構成されています。

(1)寄附勧誘を行う法人等への規制等

寄附の勧誘を行う法人等に求める「配慮義務」

寄附の勧誘を行う法人等(※)は、寄附の勧誘を行うに当たって、次の3点について「十分に配慮」しなければならないと定められています。

(1)寄附者の自由な意思を抑圧し、適切な判断が難しい状況に陥ることがないようにする。
(2)寄附者やその配偶者・親族の生活の維持を困難にしないようにする。
(3)勧誘する法人等を明らかにし、寄附される財産の使途を誤認させるおそれがないようにする。

6つの「不当な寄附勧誘行為」が禁止

不当寄附勧誘防止法では、法人等から不当な寄附勧誘を受ける人を保護するため、寄附の勧誘時に以下の6つの「不当な寄附勧誘行為」によって個人を困惑させてはならないと定めています。

(1)帰ってほしいと伝えても帰ってくれないこと。
(2)帰りたいのに帰してくれないこと。
(3)勧誘する者が寄附の勧誘をすることを告げずに、自由に帰ることが難しい場所に同行させ、その場所において寄附の勧誘をすること。

(例)「景色を見に行こう」と誘われ、交通の便の悪い山奥に一緒に行ったところ、行った先で寄附の勧誘を受けた。

(4)寄附の勧誘を受けている者が寄附を行うかどうかについて電話やメール等で第三者に相談の連絡を行おうとしたにもかかわらず、威迫する言動を交えて相談の連絡を妨げること。

(例)寄附するかどうか親に電話で相談して決めたいと言ったところ、「もう大人なんだから自分で決めないとだめだ」と迫られ相談させてもらえなかった。

(5)相手の恋愛感情等に乗じて、寄附しなければ関係が破綻すると告げること。
(6)霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、個人又はその親族の生命、身体、財産等の重要な事項について、そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避できないとの不安をあおり、又はそのような不安に乗じて、その重大な不利益の回避のためには寄附が必要不可欠である旨を告げること。

(例)「私は霊が見える。あなたには悪霊がついておりそのままでは病状が悪化する。A会に寄附しなければ悪霊を除去できない」と告げる勧誘を受けた。

このほかに、寄附のために借金をさせたり、住居や生活維持に不可欠な事業用資産を売却したりして寄附の資金を調達することを要求することも禁止となります。
※:法人又は法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定めがあるものをいう。

(2)不当な勧誘により寄附した人やその家族の救済

寄附の取消しができるケース

禁止された(1)から(6)の不当な寄附勧誘行為によって、寄附の勧誘を受けた人が「困惑」(困ったり、戸惑ったり、どうしてよいか分からなくなるような精神的に合理的な判断ができない状況)して、寄附の意思表示をした場合は、その寄附の意思表示を取り消すことができます。
取消しができる期間は、「不当な寄附勧誘行為」の内容に応じて次のように定められています。

  • 霊感等による知見を用いた告知の場合((6)の場合)は、被害にあったと気づいた時から3年又は寄附時から10年のいずれか短い方
  • それ以外の場合((1)から(5)の場合)は、被害にあったと気づいた時から1年又は寄附時から5年のいずれか短い方

Point

禁止された(1)から(6)と同様の不当な寄附勧誘によって寄附の意思表示を行ったときに、消費者契約法に基づく取消権によって保護が図られる場合もありますが、寄附の性質により、消費者契約に該当しない寄附がされた場合でも、不当寄附勧誘防止法に基づく取消しによって保護が図られます。

寄附をした人の家族からも寄附の取消しができる

寄附者本人が寄附の取消しを行わない場合でも、寄附者に扶養されている配偶者やこどもは、婚姻費用(※)や養育費などの権利を保全するために必要な場合であれば本人に代わって取消権を行使することができます。また、不当寄附勧誘防止法により、将来に必要なこれらの費用について保全するための特例が設けられました。

※:婚姻費用とは、夫婦とこどもを含む婚姻共同生活を営む上で必要な一切の費用であり、衣食住の費用のほか、出産費、医療費、こどもの養育費、教育費、相当の交際費などのおよそ夫婦が生活していくために必要な費用が含まれると考えられています。

(3)寄附の勧誘を行う法人等が禁止行為に違反したときの措置・刑罰

不当寄附勧誘防止法では法人等の禁止行為を確認し、特に必要と認める場合、法人等に必要な報告を求めることができる規定が設けられました。また、不特定・多数の個人への違反行為が認められ、引き続き違反行為をするおそれが著しい場合は、勧誘の停止など必要な措置をとるよう勧告を行うことができます。さらに、このように勧告した措置がとられない場合はそのような措置をとるべきことを命じることができます。加えて、このような命令をした場合には、その旨が公表されます。
さらに、法人等が虚偽の報告をした場合は50万円以下の罰金が、命令に違反した場合は1年以下の拘禁刑(以前の懲役刑と禁固刑が一本化されたもの)や100万円以下の罰金が科されます。
また、法人等が配慮義務を遵守していない場合にも、寄附の勧誘を受ける個人の権利保護に著しい支障が生じていると明らかに認められる場合等、一定の要件の下で報告徴収、勧告、公表を行うことができます。

2消費者契約法が改正され霊感商法等による被害の救済がどう拡充されたの?

令和4年(2022年)末の臨時国会において、霊感等による知見を用いた勧誘による消費者被害の深刻化に対応するため「消費者契約法」が改正され、令和5年(2023年)1月5日に施行されました。同改正法は、事業者からの不当な勧誘を受ける人の保護を図るものです。

霊感等による告知を用いた勧誘による契約に対する取消しの対象範囲の拡大、行使期間の延長

今般の法改正によって、霊感等による告知を用いた勧誘により締結された契約について取り消しできる範囲が拡大されました。消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、霊感等の特別な能力により、消費者又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、又はそのような不安を抱いていることに乗じて、契約を締結することが必要不可欠である旨を告げることにより、困惑し、契約をした場合には、これを取り消すことができるようになりました。
※太字部分(強調部分)が改正により対象が拡大された点

改正前 改正後
本人の不利益に関する不安 本人の不利益に関する不安に加え、親族の不利益に関する不安も含める。
将来生じ得る不利益に関する不安が対象 将来だけでなく現在生じている不利益に関する不安も対象とする。
不安をあおること 不安をあおることに加え、不安を抱えていることに乗じた場合も対象とする。

また、霊感等による告知を用いた勧誘により締結された契約の取消しができる期間が延長されました。なお、改正前の規定に基づく時効が成立していない契約についても、改正前の取消権の行使期間が延長されます。

改正前 改正後
契約締結から5年 契約締結から10年
被害にあったと気づいてから1年 被害にあったと気づいてから3年

※上記のいずれか短い方が適用。

3不当な寄附勧誘や霊感商法等で困っている人、悩んでいる人の相談窓口は?

不当な勧誘により寄附をした人やその家族が被害の回復を図れるようにするための無料の相談窓口があります。「寄附したお金を取り戻したい」といったトラブルでお悩みがあるかたは、以下の「消費者ホットライン188」又は「霊感商法等対応ダイヤル」までご連絡ください。なお、「霊感商法等対応ダイヤル」では、霊感商法に限らない金銭的トラブル、心の悩み、家族の悩み、修学、就労、生活困窮などについても、お悩みに応じて、適切な相談窓口をご案内いたします。また、不当な寄附勧誘を受けた、不当な寄附勧誘を行っている法人を知っている、といった場合の情報提供窓口を設置し、情報を広く受け付けています。法人等による寄附の不当な勧誘と考えられる行為に関する情報を提供いただくことは、寄附の不当な勧誘による将来の被害を防止することにつながりますので、ご協力をお願いします。

消費者ホットライン 188(いやや)

全国共通の電話番号「188」で、地方公共団体が設置している身近な消費生活相談窓口をご案内いたします。

電話番号

【受付時間】

平日:9時00分から17時00分
土曜・日曜・祝日:10時00分から16時00分
※相談窓口によって受付時間が異なります。
※年末年始(12月29日から1月3日まで)を除き、原則毎日利用できます。

消費者ホットライン188のキャラクター「イヤヤン」が描かれた消費者ホットラインのバナー

霊感商法等対応ダイヤル(法テラス)

霊感商法に限らない金銭的トラブル、心の悩み、家族の悩み、修学、就労、生活困窮など、「旧統一教会」問題やこれと同種の問題でお悩みのかたはお電話ください。お悩みに応じて、適切な相談窓口をご案内します。

電話番号

海外からのお問合せ

【受付時間】

平日9時30分から17時00分(土日・祝日・年末年始を除く)
メールでのお問合せについては以下のリンクからお問い合わせください。

法人等による寄附の不当な勧誘と考えられる行為に関する情報提供窓口(消費者庁)

不当な寄附勧誘を受けた、不当な寄附勧誘を行っている法人を知っている、といった場合の情報提供窓口を設置し、情報を広く受け付けています。
消費者庁ウェブサイトからのオンラインによる情報提供及び書面による情報提供の方法については以下のリンクからご確認ください。

(取材協力:消費者庁 文責:政府広報オンライン)

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