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September 2022

コスモスの花でつつまれるアイランドパーク

  • のこのしまアイランドパークの早咲きコスモス
  • 昔懐かしい町並みの「思い出通り」にある店
  • 撮影スポットとして人気の、大きな木から吊したブランコ
のこのしまアイランドパークの早咲きコスモス

福岡県福岡市の能古島(のこのしま)に秋が訪れると、アイランドパークはコスモスの花でつつまれ、“心を癒す”ことができる。

昔懐かしい町並みの「思い出通り」にある店

福岡県福岡市の博多湾内にある能古島(のこのしま)には、秋に80万本のコスモスが咲き乱れる「のこのしまアイランドパーク」がある。

能古島は周囲12キロメートルほどの小さな島で、福岡の港からフェリーで10分ほどの距離にあり、行楽地として知られる。のこのしまアイランドパークがオープンしたのは1969年。サツマイモ農家を営んでいた久保田耕作さん(1934~2005年)が19歳の頃、小さな島では大規模農業に太刀打ちできない、人々の心を癒す自然公園を作ろうと決意したのが始まりだ。久保田さんはイモ作りのかたわら、ツツジなどを植え続け、15年あまりかけて開園にこぎ着けた。

「開園当時のアイランドパークはあまり人気がなく、ジェットコースターや観覧車の導入を勧める業者も多かったと聞きます。しかし、久保田はそんな声に耳を傾けませんでした」と話すのはアイランドパークで広報課長を務める山崎裕昭さんだ。山崎さんは「日本が急速な経済成長を続けていた時代、やがて人々は自然の美しさや優しさに癒しを求めるようになると確信していたからです」と言う。

春の菜の花から冬の水仙まで、一年を通じて様々な花が咲き乱れるなかで、最も人気があるのは秋のコスモス。園内には二つの大きなコスモス畑があり、その一つには約50万本の早咲きコスモス、もう一つには約30万本の遅咲きコスモスが植えられている。早咲きコスモスは10月上旬から下旬にかけて、遅咲きコスモスは10月下旬から11月中旬にかけて見頃を迎えるため、長期間、たっぷりとコスモスの花を楽しめる。潮風に揺れるコスモスの花の向こうには博多湾の青い海と島々が見える。ここ能古島でしか見られない素晴らしい風景である。

「私たちが一番気を遣っているのは、いかに来園者に美しい写真を撮っていただき楽しんでもらえるかです。そのためコスモス畑の中に通路を作り、絨毯のような一面の花の上に来られた方が顔を出して写真を撮れるようにしています」と山崎さんは話す。「また、早咲きコスモス畑の脇には大きな木から吊したブランコがあり、まるで海に向かって漕いでいるような写真も撮れます。ここは海外から問合せが来るほど人気の高い撮影スポットなんですよ」

撮影スポットとして人気の、大きな木から吊したブランコ

のこのしまアイランドパークには「思い出通り」という昔懐かしい町並みが再現され、そこでは島の名物料理能古うどんを味わうことができる。

ピンクのコスモスの花と青い空と海が織りなす光景は美しく、都会の喧噪を忘れて秋の一日をのんびり過ごすには絶好のスポットである。