音声広報CD「明日への声」トラックナンバー4(HTML版)|令和5年(2023年)3月発行分
音声広報CD「明日への声」 vol.90(令和5年(2023年)3月発行)
トラックナンバー4
(タイトル:畠山)
大切なひとを守る「ゲートキーパー」
(イントロダクション:畠山)
人は誰でも思い悩むことがあります。時には、大きな悩みを一人で抱え、精神的に追い詰められ、最悪の場合は自ら命を絶ってしまうことも…
元気がない、ため息が目立つなど、身近な人や大切な人の「いつもと違う」様子に気がついたら、やさしく声をかけてあげてください。そうした行動をとれる人を「ゲートキーパー」と呼びます。
(本文:Q.畠山/A.南雲)
Q1:生きていれば誰だって多かれ少なかれ悩みは抱えているものだと思います。
A1:そうですね。厚生労働省が行ったアンケートでは、およそ4人に1人が「本気で自殺を考えたことがある」と答えています。自殺の背景はひとそれぞれ千差万別、様々な問題が複合的に絡み合い、心理的に追い込まれてしまった末のものです。「死にたい」とまで思い詰めている人自身も、「生きたい」という本心との間で激しく心が揺れ動いており、何らかのサインを出していることが多いようです。
Q2:では、そのサインや状況を見逃さずに、気が付けるかどうかが大切になりますね。どのようなことを意識していればよいのでしょうか?
A2:例えば、元気がない、口数が減った、ため息が目立つなど「いつもと様子が違う」ときは要注意です。また、うつ病などの精神疾患にかかっていることもあります。眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの徴候にも注意が必要です。
Q3:実際に、「なにか様子が違うな」と気が付いたときにはどういった行動が必要になるのでしょうか?
A3:もしも、あなたの周りの人が「最近元気がないな」など、なにか気が付くことがあったら、まずは勇気をもって「どうしたの?」「眠れている?」などと声をかけてみましょう。声をかけることで、不安や悩みを少しでも和らげることができるかもしれません。また、「あなたのことを気にかけていますよ」という気持ちを伝えることができます。
Q4:分かりました。では、声をかけるときに気を付けることはあるでしょうか?また、実際に声をかけたあとは、どうすればいいのでしょう?
A4:はい、声をかけるときには、本人の気持ちを尊重します。悩みを話してもらえたのなら、耳を傾けてみましょう。心配していることを伝え、真剣な態度で受け止めましょう。
本人にも問題があるなどと責めたり、考え方を否定するのは避けましょう。
つらい気持ちについて「つらかったんだね」「今まで一人で抱えてつらかったね」と共感を示しながら聞いてあげてください。「今抱えていることを一緒に考えたい」と伝えてください。そして、話を聞いたら、相手のこれまでの苦労をねぎらいましょう。
Q5:悩み事には回答を出すことではなく、聞いてあげることそのものが大事なことなのですね。
A5:はい。その上で話を聞けたなら、悩みの内容によって様々な専門家がいますので、早めに専門家に相談するよう促してみましょう。深刻な悩みを抱えている人は、余裕を失い、正常な判断ができなかったり、自分で具体的な行動を取ることができなくなっていたりする場合もあります。専門家に相談するに当たって、本人が「自分で行うことは困難だ」と感じている場合には周囲がサポートしていく必要があります。確実に専門家へ相談をつなぎ、相談に行ったあとも「相談してみてどうだった?」「いつでも相談にのるよ」など声をかけて、継続して見守っていくことが大切です。
Q6:ゲートキーパーの心得などあれば教えてください。
A6:そうですね、今までお話した中にも、たくさんの大事な心得がありましたが、改めて大事なことを二つ掘り下げてみます。
一つは、温かみのある対応を心掛けることです。悩みを抱えている人は苦労を抱え、辛い状況に陥っています。そのような方には、穏やかで温かみのある対応で接することが大切です。温かみのある対応は、それだけでも困難を抱えている人の大きな支援になります。
Q7:穏やかで、温かい対応ですね。もう一つはなんでしょうか?
A7:それは、ゲートキーパー自身の健康管理、悩み相談も大切、ということです。友達や家族の相談にのっていると、自分が疲れてしまうことがあるかもしれません。そんなときは、全てを一人で抱え込む必要はありません。少し休んだり、誰かに相談するなど、まずは自分の心を大切にしてください。一人だけで支えるのではなく、誰かと一緒に支えることで、よりよい支援が届けられるかもしれません。
Q8:自分が抱え過ぎないように気を付けること、確かに忘れてしまいがちかもしれませんね。
A8:最後に今、悩みを抱えている方へ、お伝えしたいことがあります。心身の不調を感じたり、不安があったりしたら、一人で悩まずにまずは相談をしてください。
身近な人に相談しにくい場合は、「こころの健康相談統一ダイヤル」へ電話してみてください。全国共通の電話番号で、お住まいの近くの公的な相談窓口につながります。
電話番号は0570-064-556 おこなおう まもろうよ こころ と覚えてください。
(エンディング:畠山)
ストレス社会とも言われる現代では、誰もが何かしらの悩みを抱えながら暮らしています。ゲートキーパーとしての役割は「変化に気づく」「じっくりと耳を傾ける」「支援先につなげる」「温かく見守る」という四つが期待されていますが、そのうちどれか一つができるだけでも、悩みを抱えている方にとっては大きな支えになるでしょう。話をよく聞き、一緒に考えてくれるゲートキーパーの存在は、悩んでいる人の孤立を防ぎ、安心を与えます。
ゲートキーパーは、特別な資格は必要なく誰でもなることができます。ゲートキーパーがたくさん増えれば増えるほど、思いやりにあふれる優しい社会に。あなたもゲートキーパーの輪に加わりませんか?
もっとゲートキーパーについて知りたい方は、厚生労働省のウェブサイトでご案内していますので【ゲートキーパーになろう】と検索してみてください。