音声広報CD「明日への声」トラックナンバー5(HTML版)|令和5年(2023年)7月発行分
音声広報CD「明日への声」 vol.92(令和5年(2023年)7月発行)
トラックナンバー5
子宮頸がん予防のワクチン接種はお済みですか?
(イントロダクション:女性ナレーター)
比較的若い世代の女性に発症しやすい子宮頸がんは、HPVワクチンの接種により、発症のリスクを低くすることができます。令和5年4月からは、従来から公費による接種が可能だった2種類のHPVワクチンに加え、より多くの種類のHPVの感染を防ぐ「9価HPVワクチン」も公費で接種できるようになりました。
(本文:Q.女性ナレーター/A.男性ナレーター)
Q1:子宮頸がんとは、どのような病気なのでしょうか?
A1:子宮頸がんは、子宮の出口付近の子宮頸部にできるがんです。日本では毎年約1.1万人の女性がかかっており、毎年約2,900人が子宮頸がんで亡くなっています。がんの中でも若年層で発症する割合が比較的高いのが特徴で、年代別の発症割合は、20代から増え始め、40代をピークにその後徐々に減少していきます。日本では、25歳から40歳の女性のがんによる死亡の第2位は、子宮頸がんによるものです。また、30代までに子宮頸がんの治療で子宮を失って妊娠ができなくなってしまう人が年間に約1,000人います。
Q2:若い世代の人もかかるがんなのですね。何が原因で、子宮頸がんになるのでしょうか?
A2:子宮頸がんになる原因のほとんどは「ヒトパピローマウイルス」いわゆる「HPV」というウイルスの感染が原因とされています。HPVは女性の多くが「一生に一度は感染する」といわれるウイルスで、感染しても多くの場合は免疫機能などによりウイルスは自然に消滅します。しかし、一部の人では、ウイルスが体に残り続ける持続感染の状態となり、がんになってしまうことがあります。
Q3:子宮頸がんにならないようにするためには、どうすればいいでしょうか?
A3:子宮頸がんは早期に発見し、手術などの治療を受けることで、多くの場合は命を落とさず治すことができる病気です。そのため、子宮頸がんのリスクが増える20歳以降は2年に1回の子宮頸がん検診を受け早期発見に努めることが大切です。加えて、HPVワクチンを接種することにより、子宮頸がんそのものを予防することができます。
Q4:感染を予防できるHPVワクチンとは、どのようなものですか?
A4:HPVワクチンは、防ぐことができるHPVのタイプによって「2価ワクチン」、「4価ワクチン」、「9価ワクチン」の3種類があります。
子宮頸がんの原因の50%から70%を占めるHPV16型や18型は、どのHPVワクチンでも感染の予防が期待できます。加えて、HPV31型、33型、45型、52型、58型の感染も防げるHPVワクチンが「9価ワクチン」です。「9価ワクチン」で、子宮頸がんの原因となるHPVの80%から90%を防ぐことができます。
接種後は感染予防の効果を持つ抗体が体内でつくられ、少なくとも10年から12年後までは維持される可能性があることが、これまでの研究で分かっています。日本では現在、小学校6年から高校1年相当の女子を対象に定期接種が行われており、対象者は公費でHPVワクチンの接種を受けられます。
Q5:HPVワクチンは公費で接種できるのですね。
A5:「2価ワクチン」、「4価ワクチン」は以前から公費による接種が可能でしたが、「9価ワクチン」についても、令和5年4月から公費で接種できるようになりました。HPVワクチンの定期接種のお知らせは、お住まいの市町村から送付されます。
Q6:HPVワクチンは1回接種すればいいのでしょうか?
A6:HPVワクチンは1回のみの接種ではなく、ワクチンの種類や年齢によって、同じ種類のワクチンを合計2回から3回接種する必要があります。一定の間隔をあける必要があり、タイミングもワクチンの種類や年齢によって異なるため、どのワクチンを接種するかは、接種を受ける医療機関で相談して決めましょう。
Q7:HPVワクチンの「キャッチアップ接種」とは、どのようなものなのでしょうか?
A7:平成9年度から平成18年度までに生まれた女性で、過去に合計3回の接種を受けていない方に、改めて公費による接種の機会を提供する制度のことです。キャッチアップ接種として、公費による接種が受けられる期間は、令和4年4月から令和7年3月までの3年間です。15歳以上の方は合計3回の接種が必要となり、一般的な接種スケジュールでは最短でも6か月ほどかかるため、接種をご希望される場合は、早めの接種をお勧めします。これまでの接種の状況やワクチンの種類などは、母子手帳または予防接種済証などでご確認ください。
Q8:子宮頸がんは“予防と早期発見が大事”でしたね。ワクチン接種で予防して、さらに、早期発見につながる子宮頸がん検診も重要ですね。
A8:そうですね。20歳になってからは2年に1回、子宮頸がん検診を受けることが大切です。HPVワクチンだけでは防げない種類のHPVがあることや、HPV感染以外の原因によって発症するリスクもあるためです。検診では子宮頸がんになる手前の状態である前がん病変も調べるため、予防としての効果も期待できます。なお、不正出血や体調不良などがある場合は、2年に1回の子宮頸がん検診を待たずに医療機関に受診してください。
(エンディング:女性ナレーター)
子宮頸がんは、予防と早期発見により命を落とすリスクを抑えることができます。
HPVワクチンの接種は、子宮頸がんを予防するための有効な手段です。令和5年4月からは9価HPVワクチンも公費で接種ができるようになりました。医師などと相談をして接種を検討してください。将来の子宮頸がんを防ぐためにも、まずは子宮頸がんとその予防方法について知っていただくことが重要です。