これだけは知っておきたい! 最新花粉症対策
「花粉症」で悩んでいませんか!?番組MCの足立さん青木さんをはじめお悩みの方は、こどもから大人まで全国各地に。多くの国民を悩ませ続け社会問題とも言える状況に、政府全体として対策に乗り出しました!番組では、政府の打ち出す対策のうち、「発症・曝露対策」を取り上げ、特に日本で多いスギ花粉症の最新治療法「アレルゲン免疫療法」について深堀り!こどもでも利用しやすく、注目が高まる「舌下免疫療法」とは!?

- ゲスト
- 厚生労働省
健康局がん・疾病対策課長
西嶋 康浩
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和5年(2023年)6月25日
- 時間
- 18分24秒
- 配信終了予定日
- 令和6年(2024年)6月24日
文字で読む
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青木 - 足立さんは、今年の春、花粉症に悩まされましたよね。
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足立 - 3月頃だったかな、花粉症で声が出にくくなってしまい、この番組でも声がガサガサなまま2週ほど放送したときがありましたね。
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青木 - そのときの放送を聴いたリスナーから心配の声が寄せられていましたよ。静岡県ラジオネームなおみさん奈良県ラジオネームみよさんTwitterではユウさん「あだっちーの声があああ。昔から花粉症で苦しんでるのを見ているから、この時期、本当に大変だよね。声は誰か拾ってくれたかな?早く治りますように」
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足立 - 「声をどこかに落としてきたかもしれない」という話をしていたんですよね。今は、元の声に戻っていますけど、大変でした。青木さんも花粉症ですよね?
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青木 - 私も、20年以上悩まされていますが、私の場合は、スギ花粉なんです。スギ花粉が飛んでいる時期だけがきついんです。そもそも花粉症とは、木や雑草などの花粉に対して人間の体が起こすアレルギー疾患のことで、主な症状は鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎と、目のかゆみなどのアレルギー性結膜炎を生じるものですよね。
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足立 - 今、花粉症で悩まれている方ってどれくらいいるんですか?
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青木 - 2020年版の日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会の「鼻アレルギー診療ガイドライン」によりますと、学会が、2019年に約2万人を対象にアンケート調査を行い、そこでスギやヒノキなど何かしらの花粉症があると答えた人の割合は、およそ43パーセント。私もそうですが、日本で最も多い「スギ花粉症」の割合は、およそ39パーセントで、これらの数字は10年間で10ポイント以上増加しているそうです。
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足立 - 3人に1人はスギ花粉症だと言えるってことですね!?
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青木 - そうなんです。実は「スギ花粉症がある」と答えた人の割合は都道府県別でも調べてありまして、最も高いのはどの都道府県だと思いますか?
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足立 - 山が近い地域でしょうか?長野県とか?
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青木 - スギ花粉症の割合が最も高いのは「山梨県」で65パーセントです。
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足立 - 2人に1人以上がスギ花粉症ってことですよね。
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青木 - 続いて、栃木県、埼玉県、京都府、長野県と続きます。ちなみに、東京は47パーセントなので、やはり、およそ2人に1人はスギ花粉症です。これはもう、花粉症は国民病と言っても過言ではありませんよね。そこで、政府でも今年4月に花粉症に関する関係閣僚会議を開き、「花粉症は日本の社会問題」として今後10年を視野に対策を立てていくこととしました。
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足立 - 花粉症対策ってこれまでもいろいろと行っていますよね。
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青木 - そうですね。例えば、農林水産省では花粉の少ないスギの苗木の開発や、その植え替えなどを進めています。足立さんも覚えていると思いますが、以前、この番組で木材の利用促進を深掘りしたときに、日本の人工林の半分以上が50年生を超えており、まさに伐(き)り時を迎えているという話でしたよね。
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足立 - 覚えています!
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青木 - 実は「伐って利用」は進んでいる一方で、花粉の少ない苗木への植え替えは思うように進んでいないといった課題があるようなんです。また、花粉の飛散量の予測の精度が十分でないなど、この他の課題もあるといいます。そこで政府は、花粉症対策の3本柱として、スギの伐採の加速、花粉の少ない森林への転換などの「発生源対策」、スーパーコンピューターやAIを活用した予報内容の充実やスギ花粉の飛散を防止する薬剤の実用化などの「飛散対策」、治療法の開発・普及などの「発症・曝露対策」、「曝露」とは「さらされる」といった意味ですが、これらを掲げて、この5月に、農林水産省、環境省、国土交通省、厚生労働省などが対策を取りまとめたところなんです。
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足立 - 花粉症に悩まされてきた一人なので、対策はどんどん進めていってほしいと思います。
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青木 - そうですよね。そこで、ここでは厚生労働省健康局がん・疾病対策課長の西嶋康浩さんに3本柱の一つである「発症・曝露対策」の観点から最新の花粉症の治療法などについて伺っていきます。
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足立 - 西嶋さん、先ほど、この10年で花粉症に悩んでいる人が増えていると聞いたんですが、増えている理由はどんなことですか?
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西嶋 - 花粉症の原因として言われているものは「花粉の飛散量が増えたこと」「食生活が欧米化したこと」「腸内細菌の変化」「感染症の減少」「喫煙」「黄砂」など、実に様々です。つまり、一人の患者さんに複数の要因が重なってしまうために、どれが一番影響しているかを評価するのは難しいのですが、実際に、「花粉飛散量が増えるほど、花粉によると思われるアレルギー性鼻炎にかかる患者の割合が増加する」という研究結果はあります。
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青木 - スギ花粉の場合、飛散量は年によって大きく変化しますが、近年、戦後に植えられたスギの木が大きく成長し花粉を生産する能力が高い状態になっているといいます。また、温暖化の影響で花粉が多く生産されるようになっているとも言われています。こうしたことから花粉の飛散量が増え、花粉症の患者数も増えている可能性があるわけですね。
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足立 - 温暖化の影響がこんなところにまできているとは思わなかったです。やっぱり、問題っていろいろな背景が絡み合っているものだなって、つくづく感じますね。
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青木 - 何より花粉症が厄介なのは、誰もが突然発症する可能性があるということです。だからこそ、知っておきたいのが、花粉症治療の最新情報です。ここからは花粉症の最新の治療法について伺っていきます。
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足立 - 花粉症の治療法には、いろいろなものがあると思いますけど、何があるんですか?
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西嶋 - 花粉症の治療は、基本的には花粉以外の原因によるアレルギー性鼻炎や、アレルギー性結膜炎に対する治療と同じです。例えば、スギの花粉症の場合、治療には「対症療法」「アレルゲン免疫療法」、重症の方なら「手術療法」、この3つがあります。また、花粉そのものを浴びないようにすることも重要です。
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足立 - もちろん浴びないようにしていますよね。マスクを付けたり、衣服に付着する花粉をできるだけ抑えられるようにナイロンなどのツルツルの生地の服を着たり、室内では空気清浄機を使用したり、私も含め花粉症の方は意識的にいろいろやっていると思いますそれでも症状が出てしまうというのが悩ましいですよね。
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西嶋 - そうですね。マスクを付けたり、衣服に気を配ったり、これだけでも花粉の影響を大きく減らすことはできますが、それでも症状が出てしまうときもあります。そのような場合に適切なタイミングで「対症療法」や「アレルゲン免疫療法」を行うことが大事なんです。
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足立 - 対症療法とは、病気の原因を除くのではなく、現れた症状を抑えるための治療法ですよね。
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西嶋 - そうですね。花粉症で鼻水や鼻づまりの症状が出た場合には、飲み薬や点鼻薬などを使い症状を抑えることになります。医療機関で花粉症に対して処方される代表的なお薬は、鼻水を抑える抗ヒスタミン薬の飲み薬や、鼻の炎症を抑えるステロイドの点鼻薬、また、鼻づまりを改善する作用がある飲み薬などです。
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青木 - ただし、これらは薬の効果が切れると症状が同じように出てくることが欠点です。また、抗ヒスタミン薬は内服すると倦怠感や眠気といった副作用が出るケースもあります。ですから車を運転するときなどは服用しにくいですよね。私も花粉症の薬を飲むときは、寝る前とかに飲みます。
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足立 - では、「アレルゲン免疫療法」はどういった治療法なんですか?
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西嶋 - アレルゲン免疫療法とは、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少しずつ投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。
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青木 - 花粉症の症状は体が花粉を異物と判断して排除しようとするために引き起こされます。ですから、スギ花粉症のアレルゲン免疫療法では、アレルゲンとして認識することをやめさせるため、スギ花粉の成分を取りだして少しずつ投与して体に慣れさせるというわけです。
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足立 - 初めて会った人と少しずつ話すうちに、打ち解けて仲良くなるみたいなイメージですかね?
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青木 - 足立さん、良い例えですね!このアレルゲン免疫療法は、日本では現在、スギ花粉症に対して実用化されています。一つは、皮下免疫療法と言って、「皮下」とは、皮膚の下と書きます。これは、アレルゲンを注射で投与する方法となります。次に、舌下免疫療法と言って、舌の下、つまりベロの下と書きます。これはベロの下に投与する方法となります。アレルゲン免疫療法は、この二つがあるんですよね。
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西嶋 - はい。スギ花粉症の治療について、皮下免疫療法は1960年代から行われているんですが、最近、利用者が増えているのは舌下免疫療法です。これは2014年頃から始まった治療法で、当初は液体をベロの下に数滴垂らす方法でしたが、現在は2018年に登場した錠剤タイプで治療が行われるようになり、以前よりも利用しやすくなっています。
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青木 - 以前の液体タイプは、アレルゲンの濃度の調整が必要で、手間も掛かったそうなんですが、錠剤タイプはそうした手間が掛からなくなりました。ただ、1日1錠を、3年以上、毎日服用し続けることが必要で、さらに、内服前後2時間は激しい運動や入浴、飲酒ができないなどの制限もあるそうです。
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足立 - 毎日、服用を続けるとなると、続けられるかな?と思っちゃいますね。
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西嶋 - そうですね。ただ、対症療法が効かなかった患者さんや、症状が強かった患者さんにおいても一定の効果が認められているようですし、舌下免疫療法を終了しても効果が持続すると言われています。
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足立 - え!?そうなんですか?ということは、行く行くは、内服しなくても症状が抑えられるようになるんですか?
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西嶋 - そうですね。舌下錠での治療がスタートしてまだ5年ほどですが、治療終了後も効果が持続しているケースがあるということです。ただし、人によっては、舌下免疫療法がうまく効かない方もいます。皮下免疫療法にしても、舌下免疫療法にしても、人によって合う・合わないがありますから、やはり治療する際には医師とよく相談していただければと思います。
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青木 - この舌下免疫療法の良い点は、うまく薬が飲めるこどもなら、5歳から利用できるということです。ベロの下に錠剤を入れて1分間キープする必要がありますが、お母さんやお父さんに見てもらいながら慣れていけば、こどもでも問題なく服用できるそうです。
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足立 - 5歳から利用できるということですが、こどもが花粉症になっているイメージが余りないんですけど。
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青木 - それがですね、近年は5歳から9歳のこどもで、スギ花粉症がある子の割合がおよそ30パーセントもあって、これは20年前の4倍に当たるんです。さらに、5歳未満の割合も3.8パーセントと上昇しているんです。
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足立 - 5歳未満の子も花粉症になっているんですか!?
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青木 - 小さい頃から花粉症で悩んで、青春時代も、大人になってもずっと悩み続けるとなると、これは辛いですよね。
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足立 - 早めに対処したいですね。
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青木 - この治療は花粉が飛んでいない時期に始める必要があるので、こどもも含めて、スギ花粉症と診断された上で舌下免疫療法が自分に合っているか相談してみてください。お近くの医療機関で治療が受けられるかどうか、ウェブなどを使って調べることができます。
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足立 - いずれにしても、花粉症で苦しまなくて済むように、いろいろある治療法の中から自分に合う方法を見付けて次の花粉シーズンに備えたいですね。
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西嶋 - 厚生労働省ではアレルギーポータルというウェブサイトなどを通じて、花粉症治療も含めたアレルギー疾患対策の情報を発信しています。花粉症に悩まれている方は、是非、ご覧になってください。
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足立 - 今日の話にもあった、アレルゲン免疫療法は、私も知っていたんですが、その中でも、舌下免疫療法に錠剤タイプがあることを知ることができましたし、さらに、その錠剤タイプのものだと、5歳から利用できるんですが、小さなお子さんも花粉症になっているということに驚きました。皆さん、少しずつでも良いので解消していって、花粉症がなくなればうれしいなと思いました。
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青木 - 花粉症がなくなれば良いなと願っている人、多いと思うんです。そんな花粉症の方の中でも「3人に1人はスギ花粉症だと言える。」これには驚きました。私もスギ花粉症に悩まされているので、同じ悩みをこれだけ抱えている人がいるということは、症状の改善であったり、対処を望んでいる人がいるということですよね。
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