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令和3年(2021年)6月8日

ご注意ください!
お肉の生食・加熱不足による食中毒

食中毒は1年中発生していますが、梅雨の時期から夏にかけては、細菌による食中毒が発生しやすくなります。なかでも注意したいのが、牛肉や鶏肉などに付着する「腸管出血性大腸菌(O157、O111など)」や「カンピロバクター」などで、特に、抵抗力の弱い子どもや妊婦、高齢者は気をつけなければなりません。これらの細菌による食中毒を防ぎ、食品を安全に食べるためのポイントを紹介します。

1.食中毒を引き起こす原因はさまざまあります

食中毒というと夏に多いイメージがありますが、実は1年を通じて発生しています。食中毒を引き起こす原因には、「細菌」「ウイルス」「自然毒」などがあります。
腸管出血性大腸菌(O157、O111など)などの細菌による食中毒は、6月から8月にかけての夏季に多く発生しています。これは、細菌が高温多湿を好み、梅雨から残暑のころにかけて、増殖が活発になるためです。
気温が低く、空気が乾燥する冬は、細菌による食中毒は減りますが、「ノロウイルス」など、ウイルスによる食中毒が発生しやすくなっています。
自然毒は、キノコや野草、フグなどが体内に持つ毒成分です。自然毒による食中毒は、細菌やウイルスによる食中毒ほど発生件数は多くありませんが、毎年発生しています。

病因物質別事件数の月別発生状況(令和2年)

資料提供:厚生労働省

2.近年増えている「カンピロバクター」「腸管出血性大腸菌(O157、O111など)」の食中毒

梅雨から夏にかけては、細菌による食中毒が発生しやすくなります。食中毒の原因となる細菌にはたくさんの種類がありますが、その中でも、発生件数が多かったり、幼児の重症化事例が発生したりして問題となっているのが、「カンピロバクター」と「腸管出血性大腸菌(O157、O111など)」による食中毒です。

カンピロバクターは鶏や牛などの家畜の腸にいる細菌です。生の鶏肉や牛肉に付着していたり、肝臓(レバー)の内部に存在しており、生肉に触れた手やまな板などから、野菜やほかの食品にも菌が付着します。少量でも感染し、菌が体内に入ると2日から7日くらいで、発熱や腹痛、下痢、吐き気などの症状が現れます。

腸管出血性大腸菌(O157、O111など)は、主に牛の腸にいる細菌です。牛の糞などを介して牛肉やその他の食品・井戸水等に付着します。腸管出血性大腸菌もカンピロバクターと同様、少量で感染します。菌が付いた食品を食べると、2日から7日くらいで、発熱や激しい腹痛、水溶性の下痢、血便、吐き気、嘔吐(おうと)などの症状が現れます。特に抵抗力の弱い子どもや妊婦、高齢者は、重い症状になりやすく、注意が必要です。

3.肉の生食や加熱不足の肉料理は避けましょう

カンピロバクターや腸管出血性大腸菌などの細菌は、家畜の腸にいる細菌なので、肉に付着する菌をゼロにすることは非常に困難です。また、重い肝炎を引き起こすおそれのあるE型肝炎ウイルスは、豚のレバーや肉の内部からも検出されることもあります。ただ、これらの細菌などは熱に弱いため、十分加熱して食べれば、食中毒にはなりません。

近年、増えている食中毒は、刺身や生レバーなどのように肉等を生で食べたり、加熱が不十分な肉料理を食べたりすることによって発生しています。また、手指やまな板を通して細菌などが付着した野菜などを生で食べたりして、食中毒が発生しているケースもあります。

食中毒を防ぐためには、生肉や加熱が不十分な肉の料理は食べないことが重要です。また、肉や脂をつなぎ合わせた結着肉(※)や挽肉、筋切りした肉、タレ等に漬け込んだ肉、牛や豚、鶏のレバーなどの内臓は、内部まで十分に加熱してから食べましょう。目安は、肉の内部の温度が75度で1分間以上加熱することです。例えば、ハンバーグなら、竹串を刺してみて肉汁が透明になり、中の赤身がなくなった状態になれば、加熱は十分です。

※加工をしていない肉と外観上の区別がつきにくいため、結着肉や筋切りした肉などについては処理を行った旨と十分に加熱をする旨の記載をしなければならないので、表示をよく確認してください。

飲食店などで食べるときには、生肉や肉を生焼けで食べる料理がメニューにあっても、なるべく避けたほうが安全です。また、焼肉やバーベキュー等、自分で肉を焼きながら食べる場合も、十分加熱し、生焼けのまま食べないようにしましょう。(※)

※生食用食肉については強制力のある基準(専用の設備や器具での加工、肉の表面から深さ1cm以上の加熱殺菌等)が設けられており、また、加熱用を除き、生の牛レバーや生の豚肉・レバーを含む内臓を販売・提供することは禁止されています。

平成28年4月から5月にかけて、全国5会場で開催されたイベントのうち、お台場と福岡の2会場において、加熱不十分な鶏肉(鶏肉の寿司)を原因とする、カンピロバクターの大規模食中毒が発生しました。厚生労働省では、地方自治体を通じて、鶏肉を生食用や加熱不十分な状態で提供しないよう飲食店に対する重点的な監視指導を行っています。

〈参考〉厚生労働省ホームページ

4.食中毒予防の原則

飲食店だけでなく、家庭でも食中毒は発生しています。食中毒の原因になる細菌やウイルスは、私たちの周りの至るところにいます。細菌による食中毒を防ぐ基本は、細菌を食べ物に「つけない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」という3つのことが原則となります。また、ウイルスの場合は、食品中では増えないので、「増やさない」は、当てはまりません。ウイルスによる食中毒を予防するためには、ウイルスを調理場内に「持ち込まない」、食べ物や調理器具にウイルスを「ひろげない」、食べ物にウイルスを「つけない」、付着してしまったウイルスを加熱して「やっつける」という4つのことが原則となります。

家庭でも、食材を買うときから、保存、下準備、調理、そして食べるときまで、各段階で、細菌やウイルスによる食中毒予防の原則を実践することが大切です。それぞれの段階で実践すべきポイントを紹介します。

1.買い物

  • 消費期限を確認する
  • 肉や魚などの生鮮食品や冷凍食品は最後に買う
  • 肉や魚などは汁が他の食品に付かないようにそれぞれ分けてビニール袋に入れる
  • 寄り道をしないで、すぐに帰る

2.家庭での保存

  • 冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に保管する
  • 肉や魚はビニール袋や容器に入れ、他の食品に肉汁などがかからないようにする
  • 肉、魚、卵などを取り扱うときは、取り扱う前と後に必ず手指を洗う
  • 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に保つ
  • 冷蔵庫や冷凍庫に詰めすぎない(詰めすぎると冷気の循環が悪くなる)

3.下準備

  • 調理の前に石けんで丁寧に手を洗う
  • 野菜などの食材を流水できれいに洗う(カット野菜もよく洗う)
  • 生肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べるものや調理の済んだものにかからないようにする
  • 生肉や魚、卵を触ったら手を洗う
  • 包丁やまな板は肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて使い分けると安全
  • 冷凍食品の解凍は冷蔵庫や電子レンジを利用し、自然解凍は避ける
  • 冷凍食品は使う分だけ解凍し、冷凍や解凍を繰り返さない
  • 使用後のふきんやタオルは熱湯で煮沸した後しっかり乾燥させる
  • 使用後の調理器具は洗った後、熱湯をかけて殺菌する(特に生肉や魚を切ったまな板や包丁)。台所用殺菌剤の使用も効果的。

4.調理

  • 調理の前に手を洗う
  • 肉や魚は十分に加熱。中心部を75℃で1分間以上の加熱が目安。

5.食事

  • 食べる前に石けんで手を洗う
  • 清潔な食器を使う
  • 作った料理は、長時間、室温で放置しない

6.残った食品

  • 残った食品を扱う前にも手を洗う
  • 清潔な容器に保存する
  • 温め直すときも十分に加熱
  • 時間が経ちすぎたものは思い切って捨てる
  • ちょっとでもあやしいと思ったら食べずに捨てる

(取材協力:厚生労働省 文責:政府広報オンライン)

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