将来の生活や夢の実現のために、資産づくりを考えているかたは多いでしょう。資産形成のために、より高い利回りが期待できる株式や投資信託への投資も注目されています。そのような投資による資産形成を助けるために、少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」が設けられています。皆さんも、「NISA」を活用して、投資や将来の資産形成を始めてみませんか。
1NISAってなに?
通常、株式や投資信託などから得られた配当や譲渡益は、所得税や住民税の課税対象(※1)となります。NISAは、毎年一定の新規購入分を対象に、その配当や譲渡益を最長5年間、非課税にする制度です。
NISAを利用するためには、証券会社や銀行、郵便局などの金融機関で「NISA口座」を開設する必要があります。NISA口座は、日本国内に住む18歳以上のかたなら誰でも、1人につき1口座を開設することができます。NISA口座を利用して投資を行える期間は、今のところ2014年~2023年までの10年間です。
なお、2024年以降、より多くの国民に積立・分散投資による安定的な資産形成を促す観点から、積立てを行っている場合には別枠の非課税投資を可能とする2階建ての制度に見直されることとなりました。
※1:所得税:15%、住民税:5%、復興特別所得税:所得税額の2.1%(合計20.315%)
制度対象者 | 18歳以上の日本国内居住者 ※口座を開設する年の1月1日において18歳以上であることが必要です。 |
---|---|
非課税対象 | 上場株式・公募株式投資信託などの配当や譲渡益 |
非課税投資枠 | 新規投資額で年間120万円が上限 |
非課税期間 | 最長5年間 ※期間終了後、新たな非課税枠への移行による継続保有が可能 |
投資可能期間 | 2014年~2023年(10年間) ※2024年~2028年は、新NISA(仮称)に移行 |
口座開設数 | 1人につき1口座 ※1年ごとに、金融機関の変更が可能 |
2NISAを利用するには?
NISAを利用するには、銀行や証券会社などの金融機関で専用のNISA口座(非課税口座ともいいます)を開設することが必要です。
なお、NISA利用時の注意点は次のとおりです。
1. 開設できる口座は1人につき1口座のみ
NISA口座は、1人につき1口座のみ開設可能(例えば、銀行と証券会社にそれぞれ1口座ずつ開設するのは不可)。
※金融機関を変更した場合には、複数のNISA口座を持つことになりますが、買付けができるのは変更後の金融機関にあるNISA口座だけです。
2. 未使用の非課税枠の翌年繰り越し、売却した非課税枠の再利用は不可
投資を行わなかった年の非課税枠を翌年に繰り越すことはできません。また、NISA口座で保有中の金融商品を売却しても、その金融商品の購入で費消した非課税枠は再利用できません。
3. すでに保有している上場株式などは対象外
NISA口座は、新たに購入した上場株式・公募株式投資信託などが対象となるため、他の口座(一般口座や特定口座など)ですでに保有しているものをそのままNISA口座に移管することはできません。
4. 他の口座との損益通算・損失の繰越控除はできません
NISA口座で生じた売買による損失は、課税される他の口座(一般口座や特定口座など)の収益との損益通算はできず、損失の繰越控除もできません。
なお、金融機関によって購入できる商品は異なります(投資信託は証券会社や銀行などほとんどの金融機関で取り扱い可能、株式は証券会社のみ)。NISA口座を開設する際は、投資したい金融商品を十分に検討し、金融機関を選びましょう。
制度の内容や対象となる商品については、下記のウェブサイトをご覧ください。
コラム1
初めてのかたでも始めやすい「つみたてNISA」
2018年1月から、「NISA」(以下、「一般NISA」という)に加え、「つみたてNISA」が開始されました。これは、毎月決まった金額を投資信託などに積み立てるもので、年間投資上限額は40万円とNISAよりも低いのですが、非課税期間は20年間と長期にわたります。長期運用を見据えて、毎月コツコツ積み立てたいというかたに向いています。
なお、「一般NISA」と「つみたてNISA」は選択制で、同じ年に二つの制度を利用することはできません。現在、NISA口座をお持ちのかたで、「つみたてNISA」に変えたいかたは、ご利用の金融機関において所定の手続きが必要です。詳しくはご利用の金融機関にお問い合わせください。
→詳しくはこちらへ。
コラム2
NISAによる積立投資の普及へ「職場つみたてNISA」
給与からの天引き等によりNISA口座を利用して投資をする「職場つみたてNISA」サービスの提供が各金融機関で始まっています。
職場つみたてNISAは、NISAを用いて資産形成を始めるきっかけを提供するとともに長期的な資産形成に有効な積立投資の普及につながることが期待されています。
3投資の心がまえは?
将来のための資産づくりは大切なことです。資産づくりの方法(金融商品)には、大きく分けて、預ける「貯蓄」と運用する「投資」があります。
主な金融商品 | 内容 | |
---|---|---|
貯蓄 | 預貯金(普通預金、定期預金、財形貯蓄 など) | 元本・利息確定型 |
投資 | 株式、投資信託 など | 貯蓄よりも積極的に運用してリターンを増やす |
※上記のほか、ケガや病気などに備えるための「保険(生命保険・損害保険)」もある。
資産づくりのための金融商品といえばかつては預貯金が中心でしたが、近年は株式や債券購入などによる投資も身近になってきています。しかし、株価や債券価格は変動するリスクがあり、それによる利益・損失(特に元本割れリスク)については、一人ひとりが十分に理解しておく必要があります。
これから投資を考えているかたは、次のような心がまえで準備を進めましょう。
1. 自分のライフプランを踏まえ、投資の目的を考える
結婚や住宅購入、子育てや教育、老後といった人生設計において、必要となる資金をシミュレーションしてみましょう。まずは、投資の目的や計画を考えましょう。
2. 「安全性」「流動性」「収益性」という3つの基準で検討
基本的には、収益(リターン)が高い金融商品ほど、リスクも大きくなります。金融商品を知るための手がかりとして、次の基準があります。
- 安全性・・・どのくらい元本が目減り、あるいは予想外の損をする可能性があるか?
- 流動性・・・どのくらい自由に換金できるのか?
- 収益性・・・どのくらいの運用利益が見込めるか?
原則として、これらすべてが優れている商品は存在しません。金融商品を選ぶ際には、この3つの基準を踏まえながら各々の長所・短所について正しく理解しておくことが大切です。自分が許容できるリスクの範囲を確認し、目的に応じた無理のない投資を検討しましょう。

3. 分散して投資
投資のリスクを減らすためには、複数の地域や資産に分散投資するのが有効です。一つの地域や資産のみに投資を集中した場合、それが値下がりすると、資産全体も減ってしまうためです。多様な地域や資産をバランスよく保有することで、何か一つに損失が生じてもほかの利益がカバーし、全体のリスクを減らすことにつながります。(※コラム3参照)
4. 投資や金融商品に関する正しい知識の習得
自分の目的に適した金融商品を選ぶためには、正しい知識を身につけることも大切です。詳しく知りたい場合は、下記のウェブサイトなどを参考にしてください。
コラム3
「卵を一つのカゴに盛るな」
イギリスで古くから伝わる投資に関する格言です。これには次のような意味があります。
◆すべての卵を1つのカゴに入れた場合
→カゴがひっくり返れば、すべての卵が割れてダメになるおそれ
◆3つのカゴを用意して、卵を分けた場合
→1つのカゴがひっくり返っても、残りのカゴは大丈夫
つまり、リスクは分散することによって減らせる、と昔から知られていたことが分かります。

(取材 金融庁 文責 政府広報オンライン)
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