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令和元年(2019年)11月15日
「逃げ遅れ」を防ぐために。
住宅火災から命を守る7つのポイント
住宅火災によって毎年約1,000人の方が亡くなっています。その半数が「逃げ遅れ」によって亡くなっており、死者の約7割を65歳以上の高齢者が占めています。住宅などの財産だけでなく命をも奪う恐ろしい火災。住宅火災の発生や逃げ遅れを防ぎ、命を守るために、日頃から取り組むべき「住宅防火7つのポイント」を紹介します。
1.住宅火災はどのくらい起きているの?
1年に約1万1,000件の火災が起き、約1,000人が亡くなっています
平成29年(2017年)に起きた住宅火災(住宅で起きた火災)の件数は1万1,408件を数え、そのために亡くなった人は889人です。(放火自殺者等を除く。)そのうち約70%にあたる646人が65歳以上の高齢者となっています。
住宅火災で亡くなった理由をみると、病気や体が不自由なために逃げ遅れたり、熟睡していたために逃げ遅れたりするなど、「逃げ遅れ」が全体の半分を超えて最多となっています。
住宅火災による経過別死者発生状況(平成29年中)
消防庁「平成30年版消防白書」
また、死者を伴う住宅火災の火元をみると、「たばこ」「ストーブ」「電気器具」「こんろ」が主な原因となっています。たばこの火が布団に燃え移ったり、ストーブの火が衣類に燃え移ったりするなど、火種が布製品などに移って燃え広がることによって起こっています。
住宅火災による経過別死者発生状況(平成29年中)
消防庁「平成30年版消防白書」
では、住宅火災を防ぎ、それにより亡くなる方をなくすために、どのようにすればよいでしょうか。
2.住宅防火7つのポイント
日頃から「3つの習慣」と「4つの対策」を
住宅火災の発生を防ぎ、火災から命を守るためには、どのような対策をすればよいのでしょうか。消防庁では、「いのちを守る7つのポイント-3つの習慣、4つの対策」として、以下のような防火対策を呼びかけています。
3つの習慣
火災の発生を防ぐために、次の3つの習慣を守りましょう。
(1)寝たばこは絶対しない
(2)ストーブの近くに燃えやすいものを置かない
(3)こんろに火を点けたままでそばから離れない
4つの対策
万一火災が発生しても、被害を抑え人命を守るために、日ごろから次の4つの対策をとりましょう。
(4)逃げ遅れを防ぐために、「住宅用火災警報器」を設置する
※詳しくは「3章」へ
(5)寝具やカーテンなどには防炎品を使用する
※詳しくは「4章」へ
(6)火災を小さいうちに消すために、住宅用消火器等を設置する
※詳しくは「5章」へ
(7)日ごろから隣近所との協力体制をつくる
住宅防火 7つのポイント
コラム1
ストーブや電気器具など、身近な製品にもご注意を。
住宅火災の火元として、1位「こんろ」の次に、2位「たばこ」、3位「ストーブ」が続いています。これらの製品については、長期間の使用による部品の劣化や誤った使い方などによって発火し、近くの衣類や布団などの可燃物に燃え移って火災になる場合があります。
住宅火災を防ぐために、ストーブをはじめとする暖房機器や電気器具などにも注意しましょう。
詳しくはこちらへ
・暮らしに役立つ情報
政府インターネットテレビ
3.逃げ遅れを防ぐために
住宅用火災警報器を適切に設置して定期的に点検・交換を
火災で亡くなる原因で最も多い「逃げ遅れ」を防ぎ、火災から命を守るために、火災の発生を感知し知らせる「住宅用火災警報器」の設置がすべての住宅に義務付けられています。
住宅用火災警報器は、熱や煙を感知して、火災の発生を警報音や音声で知らせるものです。住宅内で火災が発生したことを早期に感知して住宅内の人に知らせることで、初期消火や避難などを素早く行えるようにするものです。
〇住宅用火災警報器を適切な場所に設置しよう
住宅用火災警報器は、「寝室」と「寝室がある階段の上部」に設置する必要があります。次の図を参考に、適切な場所に住宅用火災警報器を設置してください。
図6:住宅用火災警報器の設置場所(例)
住宅用火災警報器は、ホームセンターや家電量販店、メーカーのウェブサイトなどで購入できます。住宅用火災警報器を購入するときには、感度やブザーの音量などが基準に合格したマークが付いた製品を目印にしましょう。
こちらもどうぞ:
政府インターネットテレビ「今すぐ設置してください「住宅用火災警報器」」(約9分)
○住宅用火災警報器がきちんと作動するか定期的に点検し、10年を目安に交換を
住宅用火災警報器を適切な場所に設置しても、万一の時にきちんと作動しないと意味がありません。取扱説明書に従い定期的に点検(少なくとも年に2回)をして、正常に作動することを確認し、もし正常に作動しない場合は住宅用火災警報器を交換しましょう。点検は下図のような方法で行うことができます。詳細は取扱説明書などをご確認ください。
図7:住宅用火災警報器の点検方法
住宅用火災警報器は電子機器の一種であり、製造後、長い期間が経過すると部品が劣化したりして正常に作動しなくなることがあります。電池切れの際に、設置から10年以上経過している場合は、本体の交換をお奨めしています。
詳しくはこちらへ
コラム2
住宅用火災警報器には種類があります。
住宅用火災警報器には、「単独型」と「連動型」の2つの種類があります。各世帯の住宅の構造や世帯構成に応じて、それぞれの家庭に合った種類を選びましょう。
- 単独型:
火災を感知した住宅用火災警報器だけが警報を発するもの
- 連動型:
火災を感知した住宅用火災警報器だけでなく、連動設定を行っているすべての住宅用火災警報器が火災信号を受け警報を発するもの
詳しくはこちらへ
4.火がついても燃え広がりにくい「防炎品」のご利用を
カーテンや寝具類、衣類など身の回りの布製品を防炎品に
住宅火災の多くは、たばこの火が布団に燃え移ったり、コンロを使用中に衣類に火が燃え移ったりするなど、火種が布製品など移って 燃え広がることによって起こっています。
このような火災を防ぐために活用したいのが、「防炎品」です。「防炎品」は、素材に特殊な加工を施すことで「燃えにくさ」を備えたものをいい、たばこやライター程度の小さな火ならば、それに接しても簡単には火がつきませんし、火がついても大きく燃え上がらない性質を持っています。そのため火に接しても、多くの場合は焦げたり小さく燃えたりするだけで、火種から遠ざければ自然と火が消えます。
防炎品には、パジャマやシーツ、エプロン、カーテン・ブラインド、じゅうたん、枕や布団など、さまざまなものがあります。こうした防炎品を使用することで、火災発生の危険を減らすことができます。また、万一、火災が発生した場合でも、延焼を抑え、避難する時間を確保し、「逃げ遅れ」を減らすことにもつながります。
様々な防炎品
写真:消防庁資料より
信頼できる防炎品を選ぶためには、「防炎ラベル」や「防炎製品ラベル」を目印にしましょう。カーテンやじゅうたんなどの防炎品には「防炎ラベル」が、寝具や衣類などの防炎品には「防炎製品ラベル」がついています。
「防炎ラベル」 「防炎製品ラベル」
こちらもどうぞ:
公益財団法人 日本防炎協会「防炎表示と防炎ラベル」
公益財団法人 日本防炎協会「わたし達のくらしと防炎品」
(独)国民生活センター「危険!着衣着火に注意-未然防止には防炎製品が効果的-」
※防炎品と非防炎品を比較した実験動画が掲載されています。
防炎品は大きな家具店やホームセンターなどで取り扱っています。また、公益財団法人日本防炎協会のホームページから、全国の防炎品取扱店を検索することができます。
5.初期消火に役立つ住宅用消火器等を備えましょう
必要な用途に合った住宅用消火器等を選び、使い方も知っておきましょう
住宅用消火器は、一般家庭で使いやすいように開発された消火器で、軽量で、お年寄りや女性などでも使いやすく、火元をねらいやすくなっています。外観は赤だけでなく様々な色があり、デザインが豊富です。また、ホースがないものもあります。
写真:消防庁提供
家庭で起こり得る火災には、紙や木材、布などが燃える「普通火災」のほか、天ぷら油で起こる「天ぷら油火災」、電気コードなどで起こる「電気火災」、石油ストーブなどで起こる「ストーブ火災」などがあります。住宅用消火器には、適応する火災が絵で分かりやすく表示されていますので、必要な用途に合わせて、住宅用消火器を選びましょう。
また、消火器の補助的な役割を果たすエアゾール式簡易消火具も、家庭内で発生する天ぷら鍋の油の過熱による発火、石油ストーブの注油中の引火による火災、火の不始末によるくずかごの火災などの比較的初期段階の火災に有効です。
住宅用消火器は、業務用消火器のように消火薬剤の詰め替えや点検をする必要はありません。ただし、使用期限はありますので、定期的に交換するようにしましょう。住宅用消火器は一般廃棄物として出すことはできません。廃棄の仕方については、下記をご覧ください。
住宅用消火器の廃棄については、こちらをどうぞ:
暮らしに役立つ情報「消火器は放置せずリサイクル。腐食したものに要注意」
政府インターネットテレビ「あなたの家の消火器は大丈夫?!~点検とリサイクル」(約7分)
コラム3
悪質商法にご注意を
~住宅用火災警報器や消火器などの購入・設置は信頼できる店や業者から

住宅用火災警報器や消火器などの訪問販売による消費者トラブルが増えています。消防職員や市町村職員などを装って個人宅を訪問し、法外な値段で販売するなどの悪質な手口が報告されています。消防署や自治体の職員などが個人宅を訪問し、住宅用火災警報器や消火器などを販売したりすることはありません。また、特定の業者に販売を委託することもありません。これらの悪質な業者には注意してください。
なお、訪問販売によって住宅用火災警報器や消火器などを購入した場合は、クーリング・オフ制度の対象になり、契約日を含む8日間以内は契約を解除できる場合があります。
不審な訪問販売を受けたときは、お近くの消費生活センターにご相談ください。
<取材協力:消防庁 文責:政府広報オンライン>
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