災害時の燃料供給の拠り所 自家発電設備付き給油所「住民拠点SS」

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自家発電設備付き給油所「住民拠点SS」で給油するドライバーのイラスト

大きな地震のたびにガソリンスタンドにできる大渋滞。台風による停電で多くのガソリンスタンドが休業した際にも、営業しているガソリンスタンドには大行列ができました。私たちの日常生活に、自動車のガソリンや軽油、暖房用の灯油などの燃料は欠かせません。停電になってもガソリンスタンドが営業できるように自家発電設備を持ち、災害時でも住民向けに燃料供給を続けられる給油所「住民拠点SS(サービスステーション)」の整備が全国で進められています。災害はいつ起きるかわかりません。日ごろから近くの住民拠点SSの場所を知っておきましょう。

1住民拠点SSとは?災害時でも住民に燃料供給ができるSS

「住民拠点SS」とは、自家発電設備を備え、災害などが原因の停電時にも継続し地域の住民の方々に給油できるガソリンスタンドのことです。「SS」は、サービスステーションの略称で、ガソリンスタンドを意味します。
通常、SSではガソリンをはじめとする軽油・灯油などの燃料油を、地下タンクに保管しています。広い敷地の地下に円筒形の大きなタンクが埋められており、電力を使いポンプで各燃料油をくみ上げて給油します。しかし、災害などで停電になると、ポンプが停止し電力を利用した給油ができなくなります。この場合、手動のポンプで給油することになり、給油時間が普段よりかかってしまい、給油待ちの渋滞の発生が懸念されます。平成23年(2011年)3月の東日本大震災や平成28年(2016年)4月の熊本地震などの際には、渋滞が発生しました。

そこで、災害などで停電になっても給油ができるように、自家発電設備を持つ住民拠点SSの整備が進められてきました。

そんな中、平成30年(2018年)9月の北海道胆振東部地震が起き、停電の中でも、自家発電設備を持つ住民拠点SSは営業を維持できました。しかし、そのSSに多くの住民が集中するといった事態を招き、品切れ状態が発生しました。

北海道胆振東部地震後、自家発電設備を備えたSSに並んだ車列は最長で300から400メートル
自家発電設備を稼働させて給油を続けたSS
SSの配電盤につないだ緊急用自家発電設備

地震が多い日本では、全国どこでも地震が発生する可能性があり、被災した場合には同じような問題が発生するおそれがあります。また、大規模な停電が長期化した場合などでも、SSの燃料の供給力を十分に確保する必要があります。
そこで、地域のSSが、自家発電設備や大型タンクなどを備えることにより、災害時でも、住民にガソリンや灯油などの供給を継続できる「住民拠点SS」の全国的な配備が進められています。

2住民拠点SSはどこにあるの?全国各地に14,507ステーション。お近くの住民拠点SSを知っておきましょう

住民拠点SSは、令和5年(2023年)8月31日時点で、全国に14,507ステーションが整備されており、令和7年度(2025年度)までに、1,660ステーションが整備される予定です。(コラム参照)万が一、災害が起きたときのために、お近くの住民拠点SSを知っておきましょう。

資源エネルギー庁「住民拠点SS一覧」のページで、住所や電話番号が確認できます。
なお、国から住民拠点SSの指定を受けたSSは、災害が起こったときでも可能な限り、地域住民に給油を継続する役割を担います。

コラム

「満タン&灯油プラス1缶運動」について

「満タン&灯油プラス1缶運動」とは、災害時に備えて、車の燃料は常に満タンに、灯油は1缶余分に持っておこうという運動です。
車の燃料が満タンであれば、タンク容量、車両燃費により異なりますが、400km程度の移動が可能になります。
また、灯油1缶(18L)があれば、7畳程度でしたら暖かい空間を85時間程度維持できます。
近年の熊本地震や北海道胆振東部地震においても、燃料を求めてSSに長蛇の列ができましたが、私たち一人ひとりが「満タン&灯油プラス1缶運動」を日ごろから心がけることで災害時の安心度が高まります。

コラム

激甚化する自然災害に対応できる日本へ
「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」

平成30年(2018年)は、平成30年7月豪雨、平成30年台風第21号、平成30年北海道胆振東部地震が発生するなど、災害が頻発、激甚化しました。災害により多くの尊い人命が失われ、また、関西国際空港の浸水、上水道の長期断水、大規模停電(ブラックアウト)、幹線鉄道の長期運行休止、携帯電話基地局の停波等、重要インフラの機能に支障を来すなど、我が国の経済や人々の生活に多大な影響が発生しました。
政府では、国民の生命を守り、電力や空港、鉄道など国民の生活や経済活動を支える重要インフラが、あらゆる災害に際して、その機能を発揮できるよう、 重要インフラの緊急点検を行い、その結果等を踏まえて、特に緊急に実施すべきハード・ソフト対策について3年間集中で実施することとして、 平成30年(2018年)12月に「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を閣議決定し、対策を進めました。
その対策の一環として、SSにおける自家発電設備の整備を加速化し、令和2年度(2020年度)までに全国で8,000か所の住民拠点SSを整備することとしました。
さらに、令和2年(2020年)12月に閣議決定した「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」では、令和7年度(2025年度)までに全国で約 16,600か所の住民拠点SSを整備することとしています。


防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策(内閣官房)

政府の国土強靱化の取組について、詳しくは下記のウェブサイトをご覧ください。

(取材協力:資源エネルギー庁、内閣官房 文責:政府広報オンライン)

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