住まいが被害を受けたとき 最初にすること
災害で住まいが被害を受けたときは、あまりのショックに、何から手を付けたらいいか分からなくなるかもしれません。被災者の方々が一日も早く日常の生活を取り戻せるように、行政や災害ボランティアなども様々な支援に動き出します。それらの支援も受けながら、一歩ずつ再建を進めていきましょう。
1被災したときに最初にすること
住まいが被害を受けたときは、早く家の片付けや修復作業に取り掛かりたくなるかもしれません。しかし、その前に、まずやっておきたい重要なことがあります。
被害状況を写真で記録する
家の被害状況を写真に撮っておきましょう。市区町村から罹災証明書(※「第4章 罹災証明書と住まい・生活への公的支援」を参照)を取得して支援を受ける際や、損害保険を請求する際などに、たいへん役に立ちます。
家の外の写真の撮り方のポイント
- カメラ・スマホなどでなるべく4方向から撮る
- 浸水した場合は浸水の深さも分かるように撮る
家の中の写真の撮り方のポイント
- 被災した部屋ごとの全景を撮る
- 被害箇所の「寄り」にて撮る。
- システムキッチンや洗面台などの住宅設備、家電などの被害状況も撮っておく
- 自動車、物置、農機具などの被害状況も撮っておく
電気の復旧と注意点
停電していた場合、急に電源を入れると、通電火災などの二次災害が発生する危険があります。
電気を復旧させるときの注意点
- 避難などで家を離れるときはブレーカーを切っておく
- 停電時は、すべてのコンセントからプラグを抜く
電気を復旧させるときは
- ブレーカーがすべて「切(OFF)」になっているか確認
- アンペアブレーカーを入れる
- 漏電遮断器を入れる(ON)
- 安全ブレーカーを一つずつ入れる(ON)
安全ブレーカーをONにしても、漏電遮断器が再び自動的に「切(OFF)」になってしまう場合は、漏電のおそれがあります。ブレーカーを切ってください。
ガスの復帰と注意点
ガス漏れがあると爆発や火災などの危険があります。ガスを復帰させるときには次の点にご注意ください。
ガスを復帰させる前に
- ガスのにおいがないか確認
ガス漏れのおそれがある場合は窓を開ける。換気扇や火は使わない - プロパンガスはガスボンベを点検
ガスボンベが元の位置から動いてしまっていた場合は、復帰する前にガス業者に点検してもらいましょう。 - ガス漏れや異常がなければ、マイコンメーター(※)でガスを復帰
※マイコンメーターは震度5相当以上の大きな揺れを感知すると自動的にガスを止めるガスメーターです。
ガスの復帰の仕方
【都市ガスの場合】
- すべてのガス機器の使用を止める
- ガスメーターで赤いランプの点滅を確認
復帰ボタンのキャップを手で左に回して外す - 復帰ボタンを奥まで押し、ランプの点灯を確認したら手を離す
- 3分ほど待って赤いランプの点滅が消えたら使用可能
復帰ボタンのキャップを元に戻す
→参考
LPガスの場合
- 器具栓と未使用のガス栓をすべて閉める
- 左側のボタンを押す「ガス止」の文字が消える
- 液晶の文字とランプが点滅したら1分間待つ
- 液晶の文字とランプが消えたら復帰完了。ガスが使用可能に。
→参考
ガスの復帰方法については、下記のウェブサイトでも確認できます。
※動画や多言語でも紹介されています。
ガスが復帰しない場合は、ご契約のガス会社にご連絡ください。
2水道やトイレが使えないとき
災害で水道が止まると、避難所などで給水が行われます。給水の水を運ぶときには、ポリタンクや手押し車があると便利ですが、それらがなくても別のもので代用できます。
また、水洗トイレが使えないときは、簡易トイレを作って問題を解決しましょう。
水道が復旧した場合、水が濁っていることがありますので、最初は十分に水を流してから使ってください。浸水による被害があった場合、井戸水は細菌などで汚染されている可能性がありますので、必ず水質検査を受けて安全が確認されてから使いましょう。
また、大きな地震や浸水などが発生したときは、トイレなどの生活排水を処理する浄化槽も被害を受けている可能性があります。そのままトイレの水を流すと汚水が漏れてしまいますので、トイレを使用する前に、浄化槽が使えるかどうかを確認してください。
水の運び方
ポリタンクや手押し車がない場合には、ポリ袋と風呂敷を使う方法があります。また、リュックサックにポリ袋を二重にして入れ、その中に水を入れて運ぶ方法もあります。
簡易トイレの作り方
便座を上げ、ポリ袋ですっぽり覆い、2枚目のポリ袋を便座の上からかぶせ、細かく砕いた新聞紙を重ねます。
3片付けや修復作業をするとき
被災した住まいの片付けや修復作業は、ほこりなどを避け、釘や木材などでけがをしないような服装で行いましょう。焦らずに、体調を管理しながら作業を進めましょう。ボランティアの支援が得られることもありますので、手助けが必要なときは、災害ボランティアセンターに相談しましょう。
なお、災害後は、修復作業の請負いを装う詐欺が発生する傾向がありますので、十分注意してください。
作業時の服装と注意点
- クギや木材でケガをしないよう肌の露出を避けます。
- ホコリや砂を避けるようマスクなどをします。
- こまめに水分を取り、休憩をとることも大切です。
→参考
ボランティアの手助け
大きな災害のときは、市町村の社会福祉協議会などに災害ボランティアセンターが設けられます。家の片付けや修復作業などの手助けが必要なときは災害ボランティアセンターを通じてボランティアの派遣を依頼しましょう。
→参考
家の修理などにまつわる不審な勧誘への注意
災害後は、自然災害や家の修理などを口実とした消費者トラブルが多くなる傾向があります。不審な勧誘を受けたときは、「消費者ホットライン」(局番なしの188)にお電話を。最寄りの消費生活センターなどをご案内します。
→詳しくはこちら
- 国民生活センター「全国の消費生活センター等」
※自然災害に関連して起こる不審な勧誘については、こちらの記事もご覧ください。 - 被災地以外でも発生! 自然災害に関連した消費者トラブル
4罹災証明書と住まい・生活への公的支援
罹災証明書は、災害による住宅の被害の程度を証明するものです。支援金や災害義援金の受け取り、税金などの減免、仮設住宅への入居申請などの際に必要となります。
罹災証明書の発行手続き
発行の窓口は市区町村です。申請すると、市区町村職員による被害認定調査が行われ、後日、調査結果に基づき罹災証明書が発行されます。
手続には、申請書・身分証明書などが必要になります。
詳しくは、お住まいの市区町村にお問い合わせください。
住まい・生活への公的支援
被災者生活再建支援法に基づく「被災者生活再建支援金」や、災害救助法に基づく「応急仮設住宅」への入居や住宅の「応急修理制度」などの支援があります。これらを受ける際に、罹災証明書が必要になります。
被災者生活再建支援金
被災者生活再建支援法が適用されると、住宅が全壊するなど著しい被害を受けた世帯は、最大300万円の支援金を受けることができます。
支援金は、住宅の被害程度に応じた「基礎支援金」と住宅の再建方法に応じた「加算支援金」を合わせた額になります。単身世帯はその3/4です。現金で支給(振込)され、使途に制限はありません。
詳しくは、お住まいの市区町村に確認してください。
仮設住宅など当面の住まいのあっせん
災害救助法が適用されると、民間賃貸住宅を借り上げた「賃貸型応急住宅」や新たに建設する「建設型応急住宅」への入居が、都道府県や市町村によってあっせんされます。また、公営住宅、UR賃貸住宅、国家公務員宿舎などがあっせんされることもあります。
住宅の応急修理
お住まいの市区町村に災害救助法が適用された場合、半壊した住宅の居室、台所、トイレなど日常生活に必要不可欠な部分の応急的な修理の支援が受けられます。修理限度額は一世帯当たり59万5千円です。資力のない方が対象ですが、大規模半壊では資力を問いません。
また、令和元年8月28日以降に発生した災害では、一部損壊(損害割合10%以上20%未満)の場合にも、一世帯当たり30万円を限度として支援が受けられます。
なお、この支援は、都道府県または市区町村が修理業者に修理作業を委託し、その費用を支払うもので、被災者に費用が支給されるものではありません。
詳しくはお住まいの市区町村に確認してください。
障害物の除去
お住まいの市区町村に災害救助法が適用された場合、住家の全部または一部に土石や竹木等の障害物が運び込まれ、日常生活に支障をきたすような場合、これらの土石や竹木等の除去に対する支援が受けられます。費用の限度額は一世帯当たり13万7千9百円以内です。自力では当該障害物を除去できない方が対象です。
なお、この支援は、都道府県または市区町村が修理業者に修理作業を委託し、その費用を支払うもので、被災者に費用が支給されるものではありません。
詳しくはお住まいの市区町村に確認してください。
(取材協力:内閣府防災担当、厚生労働省、経済産業省 文責:政府広報オンライン)